「ディズニーランド」になりたかった5歳

(これはムジカノーヴァ8月号に寄稿した内容ですがここにも載せてみます。)

大きくなったら何になりたいの?って子供のころ大人によく聞かれますよね。

僕が覚えている限りで最も早い将来の夢は5歳の頃の「ディズニーランドになりたい」でした。

えっディズニーランドってなに?ディズニーランドのキャストとかでもなくて?

自分でもわからない。ディズニーのキャラクターが特別好きだったわけでもない。けどディズニーランドになりたかった。誰もがディズニーランドで楽しんでいる様子を見てすごく幸せな気分になったのは覚えている。その後小学生に上がると宇宙に憧れて「宇宙飛行士」になって、そのあと何故か「大工さん」になって、高学年になると「ピアニストか科学者」とかいう曖昧な回答になって、中高生の頃になると将来を語るのが気恥ずかしくなって「まともな大人になる」とか多分言ってた。

自分でも何であの頃ディズニーランドになりたかったのか全然分からなかったし、しばしばネタにしていたけど、最近一周回ってディズニーランドになりたい気持ちが分かるような気がします。

ディズニーランドの人気はエンタメ業界で圧倒的なわけですが、何でディズニーランドがあれほどまで支持され続けるかってたぶん、一見分かりやすいから子供も楽しめるのに、細部まで非常にこだわって作られているから大人も楽しめるんですよね。単なる子供騙しではない、最高のクオリティ。絶対不快な思いを受けないという圧倒的信頼感。

エンターテイメントはこうあるべきという全てが、ディズニーランドという概念には詰まってるような気がします。エンタメを提供する側の人間になると、今まで見えてなかったものが気になってくるんですよね。どこかに遊びに行っても、ああここはこういう配慮があるんだとか、ここはこういう工夫があるからワクワクするんだとか。そういうこと言うと友達に、「いやもっと純粋に楽しみなよ」とか言われるんですけど、僕の感覚としてはRPG2周目みたいな面白さです。

ということで「ディズニーランドになりたい」を意訳すると、「ディズニーランドのように、万人をワクワクさせられる存在になりたい」ということです。ディズニーランドになりたい。

もちろん5歳の頃にそんなことまで考えているわけはないんですけど、単純に初めて行ったディズニーランドの楽しさに感動して、自分もこんな風に人を楽しませられるような人間になりたいって直感的に思ったのなら、5歳の俺はイケている・・

次ディズニーランドに行けるのはいつだろう。


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