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この世でいちばん怖いもの
「死んだらどうなるの?」
幼稚園児だった私は、ギャン泣きして
家族を困らせた。
この疑問に取りつかれると
私は怖くて怖くて
いたたまれないような気持ちに襲われ
不安という風船が
大きく 大きく膨らんで
パァーンと破裂するまで
泣き止むことができなかった。
母と祖父に仏壇の前に連行され
「マンマンちゃんに抱っこしてもらうんやで」と優しく諭された。
「マンマンちゃんって誰やねん???」と突っ込まなかった私は偉い。
当時の私は、身近に死を経験していなかった。
ちびっ子の悩みにしては、少々早熟な気もする。「命が3個くらいあったらいいのに」と考えていたのもこの頃だ。
美しく咲き誇る花もいつか必ず散る。
グイグイ両腕を伸ばすように成長する若々しい枝木も枯れ木となる日が必ず来る。
祖父母、両親が順序よく
マンマンちゃんのところに旅立った今
「死んだらどうなるの?」の恐怖から
「死ぬ時苦しいやろなぁ」の恐怖にとりつかれるようになった。
この悩みも いくら考えてもキリがない。
私の死のきわには4人が仲良く
「ちびちゃん一緒に行くよ!」と、お迎えに来てくれると妄想する事で
自分の気持ちをなだめるようにしている。
そう言えば「死んだらどうなるの?」と泣きわめいていた頃の私には、もう1つ怖いものがあった。
「お化け」である。
ちびっ子らしい悩み!!!
「お化けが怖い!お化けが怖い!」と泣きわめく私に、祖父が言い放った言葉を生涯忘れないだろう。
「ちびちゃん、お化けは怖くない
この世でいちばん怖いのは、人間やで!!!」
確かに、人間やなっ・・・
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