【読書記録】2023年10月

気温の変動が大きすぎて体調を崩しそうです……。今回は10月分の読書記録です。


1冊目:朝井リョウ『正欲』

あらすじ(文庫版裏表紙より引用)

自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。

稲垣吾郎さんと新垣結衣さんで映画化しましたね。そちらの原作小説です。

夏月と佳道、同じ秘密を共有する二人の関係性が好きでした。世間体をうまく誤魔化すための関係のようでいて、徐々に信頼関係を築いていく様子が良かったです。
夏月にしても佳道にしても「いなくならないから」と伝えたい相手になっていて、この先二人の未来が真っ暗ではないんだなと思わせてくれました。


2冊目:齊藤彩『母という呪縛 娘という牢獄』

あらすじ(単行本帯より引用)

2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物のものかさえ判断が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか――。司法記者出身のライターが、獄中の娘と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、渾身のノンフィクション。

「しんどいなあ」と思いながら読了しました。
娘は実の母親を手にかけ、最終的には加害者になってしまったけれど、彼女の人生の大半は母親が加害者で彼女が被害者のように思えました。

犯罪に手を染めることは許されません。しかし、司法で裁くことのできない被害を訴えるにはどうしたらいいのでしょう。

加害者が絶対的に悪いとは言い切れない事件だと思いました。


3冊目:山本幸久『カイシャデイズ』

あらすじ(文庫版裏表紙より引用)

わがままで強面だが人望厚い営業チーフ、いつも作業着姿の昭和二枚目施工監理部員、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”三人組と内装会社の同僚達が、莫迦で無茶で情熱一杯に働く姿を描いた、胸を熱くさせる傑作ワーキングストーリー。

大好きな山本幸久さんの小説です。

こちらはお仕事小説のようでいて、人情小説っぽさもあります。
「あの人から買いたい」「あの人と一緒に仕事がしたい」など、仕事は人柄で繋がることもありますよね。それを存分に感じることができる小説だなあ、と思います。

同じ会社の社員たちを描く短編連作集なのですが、私はその中でも特に統括室長の大屋さんのお話が好きでした。会社の古株。口うるささで距離を置かれることもあるお局的な存在。でも、絶対に居なければならない人。頼りになるその姿がカッコいいなあと思いました。


4冊目:町田そのこ『コンビニ兄弟〈3〉』

あらすじ(文庫版裏表紙より引用)

推しが門司港にやってくる⁉ コンビニ店員中尾はアイドルの来訪に歓喜するが、彼には深刻な悩みがあった。故郷を遠く離れ、ホームシックに陥った専業主婦の佳織は、男を豪快に振るド派手な女性に出会う。かつてツギを深く傷つけた魔性の女の要求は「偽装恋愛」で……。北九州門司港の小さなコンビニを舞台に、大人たちの物語が幕を上げる。元気がもらえる大人気シリーズ第三弾。

大好きなコンビニ兄弟シリーズの最新刊です。今回もめちゃくちゃ面白かったし、涙腺は刺激されるし、感情が忙しかったです。

2巻で不穏な雰囲気を纏った女性の正体がついに判明します。……が、悪人じゃなくて本当に良かった。ツギが愛する人を裏切るようなダメ男じゃなくて良かった。

佳織と宝の話は、共感と羨ましさが凄かった。私も知らない土地に引っ越して5か月だけど相変わらず話し相手は夫くらい。宝と出会えた佳織が羨ましくなってしまった。

次の巻も楽しみだなあ。いつか門司港に聖地巡礼しに行きたい。


おわりに

10月は4冊の読了でした。4冊とも積読でした。

積読は残り16冊+αです。+αには昔ハマったラノベ全巻等が含まれます。性懲りもなく本を買ってしまうのは悪い癖です。

ラノベといえば先日埼玉県所沢市にある角川武蔵野ミュージアムに行きました。
マンガラノベ図書館が最高でした。「あんまりラノベって読んでこなかったなあ」とか思っていたのですが、棚を見て歩いていたらちらほらと「これ読んだことがあるな……?」というタイトルと再会することができました。内容はほとんど覚えていませんが、私の青春の1ページがそこにありました。
また行きたい施設です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?