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古民家に学んだ、伝統工芸の大切さ

私は元々、
伝統工芸
とか手仕事みたいな事には
あまり興味を持っていませんでした。

なんとなく古臭さそう
値段が高いイメージがあり、
そこまでして欲しい
買いたいとは思わなかったし、

巷には安くて、見た目が華やかで、
それなりに質も良さそうな物が溢れており、
買い物の利便性からしても、
つい手が伸びるのは身近にある
大量生産の品物だったのです。

ところが、予期せぬ展開から
築100年以上の古い建物に住む事となり
約7年、100年以上も前に作られた
壁や床、家具、装飾に囲まれて生活しました。

日々の暮らしの中で、当時
この建物の建築に携わっていた
職人の方々の手仕事直接触れた事で、
まるで、それを肌で感じるかのような
不思議な感覚が芽生え始め、
少しずつではありますが、
伝統工芸手仕事といったものに
興味を持つようになりました。

例えば、表題写真は室内の床ですが、
この床の木は建築当時のもので、
加工されていない自然の状態の木が、
100年以上経った今でも
そのまま使われているそうです。

その1枚1枚にが打たれており、
その釘は一直線に見えるようでも
実は少しずつ、ずれていたりして、
手仕事ならではの丁寧さの中にある
不規則さや人間らしさが感じられます。

この床を見ていると、

建築当時作業音雰囲気が、
なんとなく伝わってくるというか、
とても、あたたかい気持ちになるのです。

建築の事など全く知識のない私ですが、
例えば、この床を通して、
過去に生きていた人達の存在を感じ、
当時の暮らし仕事ぶり
生活様式などについて
思いを巡らせる事ができます。

床板用の木を切り、釘を打ち、
ここで生活していた人達はもう、
この世にはいないのでしょうけれど、
100年以上経ったでも、
彼らの存在確かにここにあり
仕事の成果という実体ある物を通して、
現代に伝わってくるメッセージがある。

そういう事が、もしかしたら
伝統工芸手仕事の素晴らしさであり、
だからこそ、今でも大切にされていて、
今後も残していくべきなのかもしれないと、
生まれて初めて感じるようになりました。

ここで生活する機会を与えて頂いた事は、
私にとって、とても幸運な事だったと
今、心から思っています。

残念ながら、もうじき
この場所とはお別れですが、
引っ越しを決断する事が
こんなに辛かったのは、
人生初めてです。

この場所で暮らす事ができて、
本当に良かったです。

これまで、ありがとう。
心から感謝しています。