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毒親が私の結婚に与えた影響

当時は本当に落ち込んで、精神的に真っ逆さまになってそのまま黒い沼にずぶずぶ入り込んでいって死んでしまうかと思った。
今でも全然傷は癒えてないけれど、言葉にしてもいいかな、と思えるようになったので、少しだけ吐き出したい。
同じような悩みを持っていたり、同じような状況に置かれている人の何かの助けになれば幸いです。

主観でしか話せないので、どうしても私の(悪い)感情がたくさん練り込まれてしまいそうなので、時系列順に、なるべくあっさりと書こうと思う。

私は結婚するよりも前、夫がまだ恋人だった頃から、自分の母親と折り合いが良くないことを夫に打ち明けていた。(筆者は母子家庭です。)
夫は一見幸せな家庭で育っている人で(内実は私にはわからないけれど)、両親の仲がとてもよく、頻繁に両親と電話したり、頻繁に帰省したりして、「親を大切にするのは当然のこと」という真っ当な常識を持っている人であった。

私が最初に親のことを打ち明けた時、おそらく夫は「毒親」みたいなものの存在が理解できず、当然受容もできず、未来に恐怖すら覚え、私とは破局の寸前までいった。
ざっくりというと、そんな頭のおかしな人とは家族になれない、ということである。
その時は、「私は親とは追々は縁を切るつもりだ」と伝えることにより、破局を回避した。

そして、交際期間が長くなり、私はプロポーズを受けた。
私は自分が結婚に向かっていっている感覚はあったし、夫と家族となることや、夫とともに新しい生活を築くことを夢見てはいた。
けれど、それと同時に、「でも、プロポーズをされてしまったら、お互いの両親への挨拶回りや、両家顔合わせをしなければならない」という途方もなく憂鬱な気持ちが、ずーっと心の中にあって、苦しかった。

事前に母との関係を夫に打ち明けていたとは言ったが、夫の心境としては、「毒親みたいなものとでも家族になる覚悟ができた、筋を通すために挨拶でも顔合わせでもする、しておくべきだ」といった感じだったようで。
私としては、母との絶縁をもう心に決めていたので、挨拶回りも両家顔合わせも絶対にできない、したくないという主張だったので、まずその段階で意見の対立が起こった。

夫の覚悟はありがたいし、真っ当な常識を持っているのは素晴らしいことだと思う。
頭のおかしな人を相手にするときは、こちらはあくまで常識的な態度をとっておくことが重要な防衛線となる、という考え方も、とてもわかる。

でも、私には、無理だった。
もしも邂逅を行うのならば、母が夫を傷つけることは確定だったし、母は私の悪口をひたすら吹き込むのだろうなということも予測ができた。なんなら、夫にお金の無心をする可能性すらあった。
なにより私自身が母に会いたくなかったし、母のことを考えるだけで憂鬱な気持ちになったり、涙が止まらなくなったり、動悸がして手が震えたりした。
もう、交際を辞めて、お付き合いを終了にして、そして私が死ぬしかないとまで思った。もしくは、母を殺して、私も死ぬしかないと思ったこともあった。本気で、思っていたのだ。

夫は、「1度だけ会って、それで無理だと思ったら今後は会いに行かなければいいし。結婚相手の親と会ったこともないというのはやっぱりおかしいから、挨拶に行かないと」と言った。
そりゃあ、夫からしたらそうであろう。家族になるだなんて言っても、同居するわけでもないし、居住地は遠いし、1度会った後に縁を切っても構わない、赤の他人だ。
でも、私にとっては、血の繋がった実の親だ。
絶縁したとしても、2度と会わないと決めていたとしても、親なのだ。
1度だけお試しで、無理なら離れようなんてことは、できやしない。そして私は、生まれてこの方ずっと、その「無理なら」の中で生きてきたのだ。

けれど、夫は折れなかった。
夫が頑固なのはわかっていたので、私がとれる選択肢は2つだけだった。
憂鬱な気持ちになって、涙が止まらなくなって、動悸がして手が震えたりしてゲロ吐いても、挨拶や顔合わせに向けて私が動く。
そうでなければ、別れて死ぬ。
私の精神はだいぶやばかったので、本当にその2択しか考えられなかった。

とりあえず、死ぬのは最終手段にしようと思い、母に電話を掛けた。
スマホを持つ手が震え、心臓がドキドキして吐きそうになり、涙がにじんだから、本当はLINEで済ませたかったのだけれど。
以前LINEで連絡を取ったときに、「大事な話は普通対面で伝えるものなのに」「私は対面で伝えるほどの価値もないどうでもいい人間ってこと?」「お前は本当に常識のないクズ」と人格否定の嵐が止まなかったから、対面は無理だけれど覚悟を決めて通話を選んだ。

結婚しようと思う。そう伝えた時に、帰ってきた言葉は、「はあ」それだけだった。
疑問形の「はあ?」ではなく、溜息のような、でも息ではなくしっかりと声になっている、「はあ」だ。

その後に、挨拶回りや顔合わせを計画していること、時期も場所もまだ決まっていないから母に合わせられるよということ、体調が優れないならテレビ電話や電話もありかなと考えていることを伝えた。
返ってきたのは、「心身ともに具合が悪いから、誰にも会いたくない」「別に母の言動は結婚には影響しないでしょ?(母の言動次第で結婚がだめになるような関係性を築いてるお前が悪い、の意)」だった。

私としては挨拶回りも顔合わせもしたくなかったので、母がしたくないと主張するのは好都合だった。
とはいえ、あっさり引いてしまうと、後々母がずるずると文句を言ったりちょっかいを掛けてくることは明白だったし、夫を納得させることもできないと思ったから、何かしらの言質のような結果が必要だった。

両家顔合わせは確かに気を遣う畏まった会食だと思うから、しんどいのはわかるよ。じゃあ、顔合わせはなしの方向でいくね。私が夫だけ連れて実家に帰るとか、実家の近くでちょっとだけ外食するとかもできるけど、どう?夫に会うのも厳しい?会いたいと思えない?
私は最大限の気遣いと礼節を込めた、つもりだった。
まともじゃない精神状態の中で、よく冷静に頑張ったと思う。本当に。
これでも「したくない」と言われれば、わかりましたと言って終了だ。

母から返ってきたのは、こういう言葉だった。
「結婚するなら、普通は娘さんをくださいって頭を下げに来るのが普通でしょ?なんでそんな常識もないの?夫と会えるかどうかってどういうこと?会えるかじゃなくてそっちから来て頭を下げに来いよ、なんでそんな普通のことすらできないの?頭がおかしいの?」

私は返す言葉が思いつかなかった。
とりあえず、私も夫も挨拶をしに行くつもりがあるんだよ、とやっとの思いで伝えたが、そこからは「お前は本当に人間の屑」「人として終わってる」の無限人格否定のコーナーに入り、会話にならなかった。
ちなみに私は、話が進むようなら、本当に挨拶や両家顔合わせをちゃんとするつもりがあったのだけれど。
最終的には「勝手にすれば」と吐き捨てられたため、この言葉を言質とし、このやり取りを最後に絶縁を実行した。

勝手にするね。

新しい苗字も、新しい住所も伝えない。連絡も一切取らない。
私には親はいない。
私には、親はいない。

そう思えてやっと、追い詰められていた心が解放された。
別に、怒られるの嫌だとか、人格否定されるの嫌だとか、それでも親だからとか、歩み寄ってあげないととか、死ぬとか殺すとか考えなくてもよかった。気を遣う必要なんてどこにもなかったし、今後も一切、必要ない。
絶縁を決意して、ようやく、私の心は呼吸の仕方を思い出したのだ。

それで、絶縁成功のハッピーエンド!といけばよかったのだけれど。
当然、夫の気持ちや、夫のご両親の気持ちなどがあるので、私1人の気持ちが軽くなっておしまい、というわけにはいかない。
それでは誰からの納得も得られなかったので(結婚の際はお互いの両親に挨拶に行くのが常識だということは私もわかっている)、結局は、親の代わりという形で上のきょうだいを召喚するに至った。

このきょうだいというのが本当によくできた人で、私にとっては同じ毒親を持った被害者であり仲間であるから、本当はこんなことをさせたくはなかった。
まともな親がいない苦しみを同じように味わっている人に対して、「親の代わりをしてください」なんて愚かな頼みをしてはいけないと思った。悍ましい浅はかさだと思った。
でも、他に、どうしようもなかった。
挨拶も、顔合わせもきょうだいに出てもらって、きょうだいはその場をそつなくこなし、穏やかな空気と円満な思い出を創出してくれた。

私が死ぬだとか殺すだとかの物騒なことを考えているとはつゆ知らない夫や義両親には、たぶん、「嫁の母がおかしい(=円満な関係を築けていない嫁にも少なからず問題はある)」「親と絶縁するなんて嫁は幼稚で薄情なところがある」とうっすら思われていると思う。
まあ、否定はしない。私は幼稚で薄情で親不孝で頭がおかしいのだろう。
今はなんとなく穏やかな時間を過ごせてはいるが、例えば子供ができたりなどして環境が変われば、再びこの問題は浮上すると思う。
ありていに言えば、「孫の顔も見せてあげないなんて!」ということだ。

私はもう私の幸せを手放したくないので、誰かに人生をぶち壊しにされたくないので、今後の憂いを取り除くための準備を、また少しずつ進めていくしかない。
だって、私が自殺しても、私が母を殺しても、誰も責任をとってはくれないでしょう?
そういう家族問題の影響で、そのストレスで妊娠できなかったり出産ができなくなったりしても、誰も責任をとってはくれないでしょう?
母が私の(未来の)子供をめちゃくちゃにしてやろうと思ってそれを実行したとしても、誰も責任をとってはくれないでしょう?
だから、邪魔をする存在は、計画的に、除去するしかない。それが誰であろうとも。
私は私を守るし、私の(未来の)子供も守るのだ。自分の手で。

とはいえ、1人で何もかもを頑張ろうと思っているわけではない。
別にみんな、敵ではない。
夫も、義両親も。(母はもういない。)
できないことは頭を下げてお願いして、頼ったり甘えたりして、なんとかやってきたいと思っている。
1人で全部しようと思うと、絶対にうまくできないと思うので。
共有、大事。頼るの、大事。

そんなこんなで、婚約期間のあれこれの乗り越え方と、現状とこれからについてでした。
全く同じケースは少ないと思うから、あまり参考にはならないと思うけれど、誰かの何かの役に立てば幸いです。

かなり赤裸々に書いたから、特定されるかもしれない。
まあ、特定するとしたら、母かきょうだいか夫しかいないのだけれど。
もし、特定されたとして、その人が私のことを大切に思ってくれているのならば・・・、そっとしておいてほしい。
そうでないなら、そうでないのなら、うん。どうしようね。
たたかうかもしれない。

あ、ちなみにですが、夫のことはとってもとってもとっても大好きです。
親子関係については、育ちが違いすぎるから永遠に分かり合えはしないと思っているけれど。
でも、それはそれとして、大好きなことに変わりはないし、信頼しているよ。

ではでは、今回はこのへんで。


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