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【野球】阪神タイガースの内野手が守備力向上のために目指すべきスタイルとは

今シーズンこそ、課題解決といきたい。

2月1日から始まる春季キャンプに、阪神タイガースは元読売ジャイアンツの川相昌弘さんを臨時コーチとして招聘。ここ数年の課題となっている失策数の改善を、現役時代に守備の名手として鳴らした職人の実績と経験に託すことにした。

昨年の山本昌さんもそうだったが、こうして他球団OBの指導メソッドを取り入れるのは超賛成。できればシーズン中も面倒を見てほしいくらいだが、そのあたりの椅子は阪神OBが簡単に譲ってくれないからね、仕方ないね。

まだ実際に指導が始まったわけではないが、すでに的を射た指摘をしてくださっているのが非常に心強い。

川相氏はすでに昨季の失策場面を集約した映像から分析。「大半はイージーミス」とした。さらに過去に指導したことのある名手、元中日内野手・井端弘和氏が現役時代に練習で一球一球、足を使って捕球動作を繰り返していた姿を思い返したという。

■ 阪神OBが元G川相臨時コーチに期待すること 守備力向上のカギは? (デイリー)

引用元の記事の中で岡義朗さんも指摘しているけど、まさにこれ。

近年の阪神の試合を見ていて特に感じるのが、内野手のフットワークの固さ。全く足が動いていない。川相さんにはぜひとも「足を使った守備」の大切さを叩き込んでほしい。

中でも二遊間は正面に飛んだゴロをみんな待って取ろうとする。身体で止めようとする。だから強い打球の勢いに負けて弾いてしまったり、目の前でバウンドが変わって後逸したり..あるいは捕球はできてもスムーズに送球動作に入れず悪送球を犯したり..そんなシーンを散々見てきた。
川相さんの言う「大半はイージーミス」とはそういうことでしょう。難しい打球を捌き切れず「E」ランプが灯るのは仕方がない。アウトにして当然の打球をアウトにすることで、失策数も記録に残らないミスだって減っていく。

では、なぜ阪神の内野手たちはゴロを身体で止めようとするのか。これまた岡さんのご指摘通りなのだが、ひとことで言うなら「甲子園の土」でしょう間違いなく。
イレギュラーバウンドで後逸するのが恐いから、ゴロはとりあえず身体に当ててでも前に落とそう、大事に取ろうとする。結果的にそれが失策の原因になっているのだが、気付いていないのかわかっていても改善できないのか。
さらに厄介なのが、この悪癖が身体に染み付いてしまっているせいで、イレギュラーなどまず起こらない人工芝のグラウンドでも同じ捕り方しかできていない。だから魔境・東京ドームでもポロポロするし、とんでもない悪送球も連発してしまうのだ。

阪神の守備の問題点が論じられる際に「本拠地が甲子園だから仕方がない」という主張に対し、「いやいや、彼ら京セラドームでも同じようなエラーしてますよね?」と反論する流れも見かけるが、その原因を作っているのも甲子園の土なんですよね結局。人工芝ホームで足を使った守備を仕込まれてた他球団の選手たちが、甲子園で軽快にゴロを捌いている姿を見るとズルいぞ!と言いたくなる。逆に、彼らですら不慣れな土のグラウンドに手こずる場面があると、阪神の内野手たちがいかに特殊な環境に身を置いているかということもわかる。

求められるのは、もっと打球に対して攻めるフットワーク。前で捕る、変な跳ね方をする前に捕ってしまうという意識が必要。

たまたまYouTubeでお手本となる例を見つけた。

ノウミサンの輝かしいキャリアを振り返っている途中で、ハッとさせられた。

この二塁手はたぶん関本賢太郎ですよね? 前に転がった弱いゴロをダッシュして捕球し、ベースカバーの遊撃手にトス。めちゃくちゃスムーズに送球まで移行している。これ、今の某レギュラー二塁手なら待って取って、その場で二塁方向へクルッと回転して投げてそうじゃないですか? で、もちろん一塁転送は間に合わず併殺は取れてない..

これだけ課題がハッキリしているにもかかわらず、一向に改善しない守備に対して、主に槍玉に挙げられているのが久慈照嘉コーチ。確かに管轄部門の問題が解決しないのは責任者としてどうなのという気持ちもあるが、それ以上に改めないといけないのは選手一人ひとりの意識ではないだろうか。果たして普段の練習から「どんな動きがベストなのか」を考えているか? そしてそれを試合で発揮しようと試みているか?

打撃の話になるが、2020シーズンに大きく成績を伸ばした大山悠輔のフォームが話題になった。あの、バットのヘッドをクイッと投手側に向ける構えは、真弓明信解説員いわく「コーチが教える構えではない」とのこと。つまり、自分で試行錯誤を重ねた結果、あのフォームにたどり着いたわけだ。打撃にせよ守備にせよ、コーチに言われた通りにだけやるのではなく、レベルアップを目指す上でよりよい形を模索するのはプロとして当然の心構えではないだろうか。

その証拠に、先ほどの動画で紹介した09年も守備走塁コーチを務めていたのは久慈さんだった。当時の遊撃手は言うまでもなく鳥谷敬が盤石のレギュラーとして安定した守備を見せていたし、二塁手も関本以外に平野恵一が広い守備範囲で投手をもり立てていた。仮に久慈流の守備が「大事に取れ」だとしても、彼らがそれだけを心がけていたらあれだけの名手にはなれなかった(もっともその時点で彼らの守備は完成していたとも考えられるが)。

最初にも書いた通り、川相さんには「足を使うこと」の重要性を伝えてもらうと同時に、「自分でよりよい形を探す」姿勢もぜひ説いてもらいたい。そうすることで木浪聖也や糸原健斗らが名手と呼ばれる可能性だって芽生えてくるはずだから。


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