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競馬

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2022年10月の記事一覧

【競馬コラム】豪脚ラヴェルと坂井瑠星、2023年クラシックを駆け抜けろ

期待と不安が交錯しながら迎えたアルテミスS。しかし、最後の直線に向いた瞬間の手応えが、勝利を確信させてくれた。余裕たっぷりの坂井瑠星。そして、ゴーサインが出されてからの豪脚。2023年牝馬クラシックの有力候補ラヴェルの誕生である。 課題のスタートこそ今回も失敗したが、折り合い面の問題が全くなかったのが大きい。鞍上も少し出遅れた程度では全く慌てることなくレースを進められた。このへんはG1ジョッキーの心のゆとりか。 直線での豪脚は見ていて本当に気持ちよかった。馬群に包まれて追い

【競馬コラム】究極のスピードと瞬発力の激突

もうさ、いろんなところで語られてるから新鮮味には欠けるけども書く。上がり3F32.7秒のイクイノックスと、前半1000m57.4秒のパンサラッサのワンツーが成立するってすごいよ。 お互いに全く別の競馬をしている。 昨年の福島記念でツインターボばりの大逃げを決めて以降、国内外でそのスタイルを貫きながらどんどん強くなっていったパンサラッサ。競りかけてくる同型がいようともハナは譲らず、中途半端にケンカを売られたらぶっつぶしてきた。 舞台は秋の天皇賞。サイレンススズカの悲劇を持ち

【競馬】運命のアルテミスS

今週は天皇賞そっちのけでアルテミスSのことばかり考えてる。何しろPOGドライチのラヴェルが坂井瑠星とコンビを組んで参戦という、ドキドキハラハラ展開が待っているわけだ。勝てば文句なしの来春クラシック候補。先日の秋華賞で晴れてG1ジョッキーとなった勢いでビッグチャンスをつかんでほしい。 もちろん心配はある。新馬戦は難なく差し切り勝ちを収めたものの、スタートは大失敗。再びあんな出遅れを喫するようだと、重賞のメンバーでは即アウトの可能性も。ゲートには細心の注意を払いたい。それから中

【競馬コラム】だから菊花賞はおもしろい

春のタイトルホースが威厳を示すか、それとも惜敗を重ねた馬が悲願を成就するか。それとも上がり馬が一気に台東するか。菊花賞はどんな結末が待っていてもおもしろい。勝った馬はその後も「一発屋」に終わることなく古馬と戦ってもその称号に相応しい強さを見せてくれるし、昨年の勝ち馬タイトルホルダーもその後、天皇賞と宝塚記念を制し日本馬の総大将として凱旋門賞に挑戦した。 今年は皐月賞馬ジオグリフと日本ダービー馬ドウデュースが揃って不在。両レースで2着だったイクイノックスも天皇賞に回るというこ

【競馬コラム】菊花賞の原風景

この写真を見て、ふとペンを執りたくなったので何となく書き連ねてみる。 いやー、美しい。西に傾いた陽射しと、少し霞んだ秋の空気。これよ、これが菊花賞なのよ。10月下旬にはこの景色は見られないのよ。 やっぱり菊花賞は11月なのよ。 競馬ファンとして初めて菊花賞を見たのが97年のマチカネフクキタル。セイウンスカイの98年、そしてナリタトップロードの99年はどちらも現地で観戦した。もちろん開門ダッシュ付きである。だが、その翌年から番組の大幅な改訂があって菊花賞は現在と同じ10月

【競馬】ウンブライルとかいう不思議な天才少女

POG指名馬のウンブライルがもみじSを勝ってくれた。相手にも恵まれ、単勝1.3倍の圧倒的人気を背負う「勝ち確」レースではあったが、競馬は何が起こるかわからない。無事に結果が出てよかった。いやー、こうやって拾えるところをしっかり拾ってくれるのありがたいっす。志高く強力メンバーの重賞にガンガンぶつけるのもロマンあるけどさ。 それにしても不思議な子である。デビュー戦から1400mを続けて使われたように、陣営は上のステルヴィオやステルナティーアと比べても距離適性をやや短めのところに

【競馬コラム】「世界に通用するジョッキー」への大きな一歩、坂井瑠星のJRA・G1初勝利

坂井瑠星を応援しようと決めたのは、あの矢作芳人調教師が初めて迎え入れた所属騎手という理由だった。開業直後から工夫と改革を重ね、リーディングトレーナーにまで上り詰めた名伯楽が弟子を取る..どうやって育てていくのかを見てみたくなったのだ。 生半可な覚悟で他人の人生を預かる人ではない。実際、デビュー時から「世界に通用するジョッキーにしなければならないと思っている」と公言していた通り、他の若手騎手では経験できないような道のりを早くから歩ませ続けた。デビュー2年目から豪州への長期遠征

【競馬コラム】シンザンの血を引くダートの鬼を

三連休は色々あって競馬は適当にしか見られなかった。まあいつも通りですけどw 毎日王冠も京都大賞典もそこまで特筆に値するようなネタはなかったので振り返りなんかはそこらへんのメディアで読んどいてくださいな。ノッキングポイントの不発にはちょっと言いたいこともあるけどさw それらに代わって、ついに現役を引退することになったメモリーコウについて書きたい。10月6日のレディスプレリュード6着がラストランとなったらしい。7歳の牝馬、ラスト1年は大井に移籍して積み重ねたキャリアは通算35戦

【競馬コラム】スマートボーイとプリエミネンス

初めてオマツリオトコの血統を知った時には軽く衝撃が走ったよね。「父ヴィットリオドーロ 母マツリバヤシ」だけではピンと来ないが、血統表を見てみると一代経たところにプリエミネンスとスマートボーイの名が。こんなん「うおおおお!」ってならんわけがない。 ともにグランド牧場の勝負服で、長くダート界を沸かせた名優である。この2頭の名前が並ぶ配合なんてまさにロマン。プリエミネンスの引退後は米国で繁殖生活を送り、そこでメダリアドーロとの間に産まれたのが父ヴィットリオドーロである。外国産馬と

【競馬コラム】信じられないよ

「Believe」と言われても、そんなこと簡単には信じられないよ。まさか20年もの時を経て、ジャンダルムがスプリンターズSを制し母仔G1制覇を成し遂げるなんて。 20年は長いぞ。 ちょうどビリーヴがスプリンターズSを勝った2002年9月29日はハシスポさんが20歳になった日。若き無力な青年が、一家の大黒柱となるまで成長を遂げられるほどの年月である。まして競馬の世界はもっとサイクルが早い。これほどの長い年月で、「親子」のつながりが結ばれるなんて。 ビリーヴなんて世代でいえ