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「京都たけうち」の続き~今の仕事で役に立っていること~

はじめに

前回「京都たけうち」についてのお話をしました。まだまだ沢山振り返りがあるので今回も「京都たけうち」でのお仕事についてを書いていきたいと思います。振り返れば振り返るほどブラック企業な面も出てきます。どんな点がブラック企業なのか興味のある方も多いと思うので😊そこも、あと少しご紹介していきたいと思います。そして、私の今の新築建売仲介の仕事でも集客接客の面で「京都たけうち」での経験が役にたっていることもあるので、そういったところもみていきたいと思います。長くなりますが、お付き合いよろしくお願いします。

着物の値段

京都たけうち」で扱っていた着物ですが、大きく分けてみると、生地が「正絹」のものと「化繊」ものがありました。正絹のものは50万~100万円位、化繊のものは数千円~2万円で洗える着物としても売り出され、日本舞踊を習われている方の練習着として使われたりしていました。安い着物~高い着物までピンキリで販売していた「京都たけうち」ですが売上の目標設定は月間170万円でした。1人の営業マンにつき170万です!そして目標を超えるとお給料に5%バックという仕組みになっていました。

1件販売すると、高い物だと大体着物が50万円、帯30万円、下駄バック等の小物で合計100万円~、安いものでも合計で50万円なので、月に2件を売る事ができれば販売目標を達成することができます。ここでは、平社員であっても新人でも毎月同期入社の売上順位が出るのです。半年後に1度だけ、初めて売上設定の170万円に到達したことがありましたが、私は同期入社の中でずっとビリの売上成績でした!!

着物の原価

ここで気になるのが着物の原価です。興味ありませんか😊?着物には勿論値札がついているのですが、販売価格の下に例えば「おとくいのうけよし」など平仮名の羅列で暗号が記載されています。

この平仮名には意味があって、「お➡1・と➡2」というように、それぞれ実は数字を表しています。そして文字数が桁を表すので「5文字だったら、5桁」ということになり原価は数万円になります。私がいた時に目にしていた値札は、大体頭文字が「お➡1」や「と➡2」「く➡3」で文字数は5が多くありました。コレ取り扱っていた着物の大体の原価は1万円~3万円ということになります!!着物だけではなくて、帯等も販売価格は30万円~50万円だったとしても原価は1万円位だったり…

中には高い着物もあって販売価格が250万円等。こういったものは原価も100万円を超えていました。それでも100万円以上、販売価格と原価には開きがあったわけです。

私も入社して半年までは原価について教えてもらえていなかったのですが、暗号の意味を教えてもらった時には、若いながらもショックを受けました。

物だけ売っているわけではない

そんなショックを受けている私に他店の成績トップ店長が話をしてくれたことがあります。この店長は営業社員を住宅街に放り出していく凶悪なグイグイ売りつけるとにかく売上重視の人です。前回の話に出てきた店長です☟

その店長に「どうしてお客は着物を買っていくと思う?」と聞かれた私は当然「お客様は着物が欲しいから、気に入ったから。」と答えましたが、店長の答は「お客様は着物を買っているわけではない」というものでした。

「お客は着物を買っているわけじゃない」って、どういうことか?

「店のスタッフに会いにくることで、心の寂しさを埋めている」

「気分よくなるように接客をしてサービスを提供して、楽しい時間空間を過ごしてもらい、その対価として着物を買ってもらっているんだ」

実際に、着物を買いにきたり展示会に来るような方には年配の方が多いのです。スタッフが丁寧に対応し誠実に話を聞いて楽しく素敵な時間を提供することで、普段寂しさを抱えながら生活しているような方の心を満たしてあげているのです。着物を買ったご本人も、着る機会がそんなに無いことだって高い割に使いようが無いことだって分かっているのです。店長曰く「ホストと似ている」そんな感じです。こんな考えができれば、販売価格と原価の差に私のように心を痛めずに、売上重視で売っていくことができるようです。

私もたまに着物を売ることができた時に「自分の営業力で売れたんだ!」と思っていましたが、今になって振り返ると、そんなお客様がお礼で買ってくれていたのかもしれない…と分かります。

着物たけうちの出世システム

ここでの出世に人望とか全く関係ありませんでした。とにかく「売上重視」売上を多く作って上にあがっていくというシステムです。給料体系は新人や平社員は一律で月25万円程度。ボーナス無し、補助や手当も無し、残業代も無し!です。定時はAM10時~PM8時まで、週休2日。

半期の売上が1500万円を超えると「チーフ」に昇進します。チーフになりたいがために、例えば売上1450万円で、あと50万円足りない場合、自腹で着物を購入して自分の売上に計上したり、関連会社の宝石を差額分購入し自らチーフになる人もいました。社員はもちろん原価を知っているわけで…私はとても出世のために購入する気にはなれませんでした。

次に「店長」!これは売上1年で3000万円以上が条件です。店長の基本給は40万円です。そしてエグイのが、店舗スタッフ(パートも含めて)の売上成績によって店長の給料が増減するのです。

例えば10人スタッフがいるとします。スタツフの売上目標は一律170万円/月で、その目標を達成した人がいたら1人につき2万円店長の給料に入ります。達成が4人の場合8万円プラスになりますが逆に目標達成していない人数が6人いるので、その分で「6人×2万=12万」この分はマイナスになるのです。もし10人のスタッフ全員が170万円をクリアしなかった場合は「10人×2万=20万」で20万がマイナスになり、店長の給料40万円ー20万円=20万円になってしまいます。恐ろしい話です。

店長自身は売上を持たずに、店の売上目標だけを持っています。店長の売上が20万円あり、スタッフの中に今月の売上が150万円の人がいた場合はスタッフ売上を170万円の目標に到達させるために、店長の売上をスタッフに回し、170万目標クリアさせるようにしたりもしていました。

私の店の店長は28歳位で、当時流行りの新車エス〇ィマに乗っていました。ものすごく儲かっているのかなと思っていましたが、こんな給料体系の中で、もしかしたら無理をして買っていたのかもしれませんね…

しかも、毎月ほぼ売上を達成していない私にも優しく接してくれた店長は、心が広く優しい人だったんだなと思います。私は福井の武生店という所にいたのですが、店の売上は少ないと月300万円位、多い時は700万円位でした。

イオンの浜松西店にも、以前着物屋が入っていたのですが、ここは東海ナンバー1の売上を上げていて催事4日間を含む月間売上1500万円~2000万円もありました。

たけうちを辞めてから聞いた話ですが、店長の中にはズル賢い人もいて、架空の売上、空売上を作っていたケースもあったようです。偽の売上を作り目標到達していないスタッフの売上に計上、翌月にキャンセルするといった具合に…とにかく今月をしのいでいくという感じです。ブラックですね…店長も1年間の売上12戦12勝は考えていなくて、7勝5敗位で思っていたようですが…良かったのか悪かったのか謎です。

今、役立っていること

「たけうち」を振り返ってみて、今の自分にとって良かったなと思える点もあります。それは、とにかく社員教育が徹底されてたことです。

・挨拶 ・接客基本 ・お客の心のつかみ方

こういった接客の基本の全て「たけうち」で学び身につけることができました。接客は対人であり、この人から買いたいなと思ってもらえるよう、お客様の心を揺さぶる必要があります。アナログですが自己紹介レターとか購入後のサンクスレターの効果もここで学びました。当時は心理学を学んでいるとは思っていなかったけれど心理的トリガーを引く大切さ「お客の心に働きかけ、動かし、購入を決めさせるノウハウ」、浴衣プレゼントのキャンペーンからは「返報性の法則」なども学ぶことができました。「購買心理の8段階」について意識しながら働けていたと思います。

どうやって来店してもらうか   ★どうやって試着してもらうか

★どうやって興味を持ってもらうか ★買った未来をどう想像させるか

こういったことを購買心理の8段階の、段階に当てはめながら考えるということが身につきました。

実践に備えたロールプレイングもよく行っていました。着物も高額なのでローンを組んで買う方が大半です。その高額ローンの抵抗感をなくすため、月々だったら支払い1万円、日に換算したら333円程度で「缶コーヒー2本分ですよ」など伝え方を工夫してみたり「次のイベントが京都であるので、今回購入した着物を着て一緒に町を歩きましょう」など、着物を買ったあとの未来を連想させたり…着物の契約が決まると、スタツフ全員で三三七拍子をすることで、他のお客様が購入したのが分かり「みんなも買ってる、私も買おうかな」と思わせたり、あらゆる工夫をしていました。

当時、心理テクニックとは言ってなかったけれど、振り返ってみると「たけうち」では、心理テクニックを様々な場面で駆使していて、知らず知らずのうちに学んでいました。

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この本ですが「たけうち」の社長が執筆したものです。20年以上前の本であり古いので、今の時代に合ってない部分やアナログな部分もあります。しかし、どんな職種であっても営業活動をしていくうえで参考にできる営業ノウハウが多々見受けられます。ブックオフなどで格安で購入できると思うので、ちょっとしたヒントを得るために目を通してみるのもいいかもしれません。

まとめ

私が退職した後の話にもなりますが、執拗に迫って売りつける方法や資力に見合わない多量の着物を売りつけ「たけうち」は裁判を起こされています。そういった被害に遭われた身内の方や、当事者の方はこの文面を見て不愉快な気分になったかもしれません。その点は申し訳ありません。

私は「たけうち」に勤めていた際に、着物の販売価格と原価の大きな差を知ったことで大きなショックを受けました。そしてその経験があったから

「お値打ちなものを、適正価格で売りたい」

という思いを強く持つようになりました。こういった経験から自分のお店HAPPYROOM(株)では適正な価格での販売、お値打ち感も感じてもらえるようにと仲介手数料無料のシステムで新築建売仲介させて頂いています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。スキや拡散も、よろしくお願いします😊

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