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やがて、ひかりが照らすもの( #磨け感情解像度 によせて)

 #磨け感情解像度 のコンテストが先日の結果発表をもって閉幕した。寄せられた作品は215本。主催のillyさんが、「選べない」と言っていたのがうなずけるほど、どこを見ても光るものに出会う時間だった。

運営パートナーとして関わり、即興劇のようにコンテストが形作られていく様子を見ていた1か月。せっかくなので、ちょっとだけ振り返ってみようかな。

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私は告知文を書き、投稿される作品をマガジンにピックし、主催と共に全作品を読んでTwitterに帯を流し、まとめ隊と称して、これまた全作品に感想を添えるまとめ記事を作った。

仕事のほかに、「毎日書くべきものがある」みたいな日々だった。

まとめ記事をわざわざ作ったのは、コンテストの期間中に作品がもっと読まれるように、何かできないかなと考えたから。

noteもTwitterも、あっという間にタイムラインが流れてしまう。たくさんの記事がアップされるなかで、「気になるけど読むのが追いつかない」感覚はとてもよくわかる。

SNS連携をされていない参加者の方もいるので、noteで感想を紹介できるのもいいアイディアだと我ながら思った(おびコレはもともと主催の企画)。

カラエ智春さんとMicaさんが加わり、まとめ隊が結成されたのは、開始当初は想定していない「偶然」だった。でもその偶然がコンテストに新しい色を添えてくれた。

作品を読んでどんな風に心に響くかは、その人の感性による。主催と共同運営以外の人のコメントが添えられることで、作品の見方がより豊かになる。

書き手の方へ届けることはもちろん、まとめを読んだ人が、紹介の帯に、感想の言葉に、書店で本を手に取るように作品をクリックをしてくれたらいいなという気持ちで記事を作っていた。

智春さんが書いているように、正直、めっちゃ大変だった。だけど、まとめがアップされた後、書き手の喜びの声や、まとめ記事に載っている作品を誰かがシェアしているのを見ると、やってよかったなあと素直に思う。

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投稿作品に、すべてコメントを添える。こうした取り組みは今回がはじめてではない。

去年から続いている「#呑みながら書きました」 の企画は、マリナ油森さんとあきらとさんが全作品コメントのまとめを作っているし、嶋津亮太さん主催の第2回「#教養のエチュード賞」 に至っては、おひとりですべての作品に感想を添えていた。(現在は猫野サラさんの「#方言note」のまとめも進行中だし、ここに書かれていない企画・お題もたくさんある)

コンテスト期間中に作品を紹介するのは、昨年4月にキリンビールさんが開催した「#社会人1年目の私へ 」からはじまったスタイル。まとめ記事のタイトルを作品から引用させていただくのも、キリンさんの投稿ピックを参考にした。

それから、キナリ杯の賞金を原資に急遽設定した「芽生え賞」。最近noteに登録された方を対象に、「はやく発見されるべき」書き手たちとして5名選出させていただいた。

この取り組みも、実はずっと前から似たことをされている方がいる。ヤマシタマサトシさんの「今月のイチオシnoteクリエーター」だ。

2018年5月からヤマシタさんが勝手にはじめられたこの企画は、月に数本の自薦・他薦ピックのなかから、ヤマシタさんの独断と偏見で一人を選び激推しするというもの。

ピック作品が収録されたマガジンをのぞいてみると、げんちゃん、お茶さん、高嶋イチコさん、kaoruさん、宿木雪樹さんと今回の受賞者の名前が並ぶし、ほかにも#磨け感情解像度 に投稿してくださった方がたくさんいて書き切れない。

ヤマシタさんの選出基準はフォロワー1000人以下。むしろ少なければ少ないほど有利。まだ知られていないけど面白い記事を書く人に、光を当てる企画だった。

作品に真摯なコメントをもらえること。コンテストでピックされること。ひとりで書き続けているとき、見つけてもらえること。

言葉にしてしまえば簡単だけれど、時間を使って誰かにむけて喜びの種を送ってくれる人が、noteにはすでにいた。私は、ありがたいことにその喜びを何回もいただいた。

これは自己満足にしか過ぎないのだけれど、これまでの企画を真似して、うれしい気持ちを返せたらいいなと思った。ひとつのタグをつけて、想いを言葉にして、緑の公開ボタンを押してくれた人たちに。


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作品に贈られる言葉は、光のようだなと思う。

あるときは、作品を輝かせる。一つの言葉で、作品本来が持っている輝きが増す。あるときは、書き手の心に灯りをともす。たった一言の感想が、飛び上がるほどうれしくなる。

光を見つめて、思う。

書いていると、トンネルに迷いこんだみたいに書けなくなるときがある。次々と公開される輝かしい作品たちを見て、自分だけが一人取り残される焦燥感に焼かれる。渾身の作が届かないことで、底のない穴に落ちていく。

光は、書けない私を救わない。孤独の暗さにいる苦しみに、寄り添える誰かなんていない。それでも遠くに見える光が照らすのは、書けない私からどうしたって離れていかない、書きたい自分だ。

真っ暗闇の輪郭さえ見えないなかで、隣にいる。もう登り切れないと挫けそうな道の途中で、背中を押す。こんな言葉を綴って誰が読むんだろうと叫ぶときでも、側にいる。

鉛のような重さを抱えて書きたい自分と手を繋ぎ、走り切った先に、知らなかった景色が見える。たぶんその光景は、あたらしいひかりになる。


何が光になるかは、その人にしか決められない。だから、作品に届く光が、すこしでも増えたらいいなと思っていた。

作る喜びと書けない苦しみ。つながる光と孤独の闇。ここには、両方を身をもって知っている人がたくさんいる。

主催の選評やまとめ隊の感想だけでなく、帯をつけてのシェアや、野生まとめ呼ばれる個人的推し紹介。作品をすべて読みましたという声もいくつも聞いた。

たくさんの人が、見守り、応援し、参加して、楽しんでくれたから、#磨け感情解像度 のタグがついた作品が、輝いて見えるのかなあなんて思ったりする。

ほかにも、スキがつく喜びや心にあるものを書き切った達成感。コンテストに参加した方が、道のどこかで光と出会っていたら、とてもうれしい。


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改めて、受賞されたみなさま、おめでとうございます。そして想いのつまった作品をコンテストに届けてくださったすべての参加者の方に、心からの感謝と拍手を。

最後に、約1か月に渡りまとめ隊で真摯な言葉を添えてくれた智春さん、即応してくれたのが頼もしくうれしかったです。最終日翌日に手伝うと声をかけてくれたMicaりん、ちょっと強引に入隊させた気もするけど、おかげで結果発表にすべて間に合いました。本当にありがとう。

そして主催のillyさん、一緒にやれてよかった。おつかれさまでした。


季節の流れのよりも早く過ぎてしまうこの場所で、たとえば1年後、誰がどこにいるかなんてきっとわからない。だから、全力を出して書き、出会った作品に心を動かされ、喜び、涙し、おたがいに讃え合った時間を、愛おしく思います。

結果発表のあと、運営側にたくさんの「ありがとう」をいただいたけれど、このコンテストは215本の作品を書いた参加者の方ふくめ、かかわったすべての人達で作り上げたものだと思う。だから、ありがとうござました。ほんと、楽しかったです。

いつかどこかですれ違ったとき、「あのときの」って、また笑い合えたらいいな。




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