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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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#トーハク

こまりんぼ【埴輪紹介所その1】

埴輪紹介所はじめました。 初回はこまりんぼ。 埴輪ならではのプロポーション。 上着の下のトリック。 横から見ると、とっても細い。 クツは平べったい。 でも鼻は高く、立派なミズラを結っています。 弓もユギもないけど、鞆を腰に下げる。大刀も。 肩甲(かたよろい)と籠手(こて)で腕はがっちりガードも、胴体はのっぺりで甲っぽくない。大丈夫か。 冑は謎多し。 いつもこまり顔。ため息が聞こえる。 そんな彼がわたしは大好き。 群馬県藤岡市白石字滝出土の男子埴輪。 所蔵はトーハ

飛び立つための準備運動中の家【埴輪紹介所その31】

屋根に刻まれたシンプルな線刻、すがすがしい。 入母屋造りの家。埴輪でなければあり得ないプロポーションの家。 いちばん上の切妻部分が大きい。破風が思い切りよくのびている。まだのびそう。翼? ダンボの耳っぽくもある。 ふたつ並んだ窓は目に見えてしまう。 下端の中央が半円に切り取られ、左右に足ができた。もぞもぞ。 飛び立つための準備運動中かな。 側面の開口部は戸口なのか。 奈良県桜井市外山出土の家形埴輪。高さ47.8㎝。 上記サイトでは多数のきれいな画像を拡大できます。 所

ひょろりな家【埴輪紹介所その30】

高さがある、というか、縦長の家。 おとぎばなし感つよし。家というより塔。 斜めになっている長方形の孔は、たぶん戸口でしょう。 側面の丸い孔は通気口かな。 壁に綾杉紋がぐるりと刻まれる。 屋根に点々とあけられている小さな孔はなんだろう。鳥につつかれたわけじゃないよね。 てっぺんがガタガタしているのは、カツオギが取れちゃったのかな? 裏表はないらしい。 裾廻突帯(すそまわりとったい)は控えめというか、申し訳程度につけられている。 肝心の高さデータがないのですが、一緒にいる鳥

屋根から突き出すこれは【埴輪紹介所その28】

チョキ。チョキが8つ。じゃないだろうな。 飾り? 棟覆(むねおおい)の部材かな? それにつけても切妻の角度の鋭さよ。 基部23.2㎝×29.0㎝に対して、屋根の最長部が66.3㎝。屋根が基部の倍以上に伸びている。 家形埴輪はお屋根が決め手。 ちなみに高さは39.2㎝。全体としては小さめの家。 ちょっと粗目の質感と、オレンジ寄りの色も、この埴輪の個性。 宮崎県西都市の西都原古墳群出土の家形埴輪。切妻造り。 所蔵は東京国立博物館。 撮影は2015年、トーハクの平成館にて

のんき?【埴輪紹介所その22】

犬に追われている、とみられている猪。 そのわりには顔つきに緊迫感がない。 ゆううつそうにも見える。笑っているようにも見える。 反対側の顔は そうでもないか? 抜け目なく逃げ道を探してる? どうかな。 あきらめ顔? と思うのは狩をする側の期待? ちょろりなしっぽ。 脚の後ろ側、カットされています。 猪を追いかける犬は、同じ古墳出土。1500年前からの腐れ縁。 猪は逃げ続けているのか。 永遠の追いかけっこ。どっちもあきらめることはない。 群馬県伊勢崎市の天神山古

がんばれ【埴輪紹介所その21】

彼に会うたびに、がんばれ、と思う。 膝の上には琴。 彼は琴を弾いているのか、弾けなくてくやしがっているのか。口が三角。 犬と猪に笑われている気がする。 琴は箱状。 たぶん五弦。 赤彩された立派な大刀も腰に佩いています。 顔にも、ややとんがりぎみの帽子にも赤い色。 座面の丸い椅子は、ちゃんと足置きがついている。 だからというわけでもないが 泣くなよ。鶏も見てるぞ。 埴輪時代はにぎやか。 思うに、泣きそうな彼は立ち去らなかっただけ強いのかもしれない。 作りが。

はにわんわん【埴輪紹介所その13】

舌をぺろり。歯もちらり。 まんまるの目。しっかり立てた耳。鈴のついた首輪。 シッポはくるり。 お尻の孔。 猪を追いかけてる? だいぶ追い込んだ。 もしくは 息を切らして1500年前の飼い主を探してる。 群馬県伊勢崎市の天神山古墳出土の犬形埴輪。高さ46.4㎝。 所蔵はトーハク。 撮影は2012、2016、2017年、トーハクにて。 またね。

魅惑の結び目のユギ【埴輪紹介所その5】

おめかしして袖を広げて立つ。 蝶結びされているのは背負い紐、円板はその結び目らしい。 高さ112.8cmとけっこう大きめ。 ユギは矢の入れ物。背負って運ぶ。 左右、袖を広げているように見えるのは、背負い板らしい。 ちなみにユギを背負った人物埴輪というのもあります。 上部にご注目。 やじりが見えます。埴輪なもので、矢は7本だけ。 鉄の矢だと、何百本と石室に副葬されている例があります。 埴輪は墳墓の上に立つ。 眺めましょう。ぐるりと。 後ろは このように穴があけられて