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【日本株】楽天グループ(4755)の中間決算はとても良い内容!

楽天グループ(4755)が、今期の中間決算を発表していますので、その件について書いてみようと思います。

ポイントは、

① 中間決算はとても良い内容でした。

② インターネット事業とファインテック事業は、相変わらず順調。一方、モバイル事業も契約者数が770万回線となり、黒字化がかなり見えてきた。

③ 2Q単独で見ると、トータルのセグメント損益は4.95億円の黒字になっている!

④ 楽天モバイルに加入している楽天ユーザーさんは、加入していないユーザーさんよりも約4倍、楽天サービスを多く利用している。すると、「仮に、楽天モバイルの契約者数が2,000万人になったら?」と想像すると、楽天経済圏はとても大きなポテンシャルを持っていることになるのではないか?

⑤ インターネット事業とファインテック事業の事業価値は、やはり3~4兆円くらいはあるのではないか? すると、楽天グループとしての企業価値は、少なくとも3兆円くらいになってもいいのではないか?

と、いった感じです。

では、早速。


1.中間決算は「良い内容」!

去年の中間決算に比べて今期の中間決算は、売上げで+8.0%増、営業損失で▲58.7%の縮小、当期損失で▲45.7%の縮小という内容でした。

同社の決算短信の一部を抜粋

楽天モバイルが引き続き赤字のため、全体としても赤字になっていますが、赤字幅は着実に縮小しています。ですので、そう遠くない時期に全体として「黒字化」するように思います。

ご参考までに(楽天グループの)2019年3Q以降の「四半期毎」の売上げ、営業利益、当期利益の推移(グラフ)を下記しています。赤字が着実に縮小しているのがわかっていただけると思います。

同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋

2.各事業セグメントの状況。

ポイントは、トータルのセグメント損益が「2Q単独」で見ると「4.95億円の黒字」になっている点だと思います。ですので、「通期」としての黒字化も、もうすぐやってきそうです。

① インターネット事業

インターネット事業は、楽天市場や楽天トラベルなどのEC事業です - 以下は、インターネット事業の売上げとセグメント損益の推移です。

同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋

インターネット事業の売上げは堅調。しかし、セグメント利益には凹凸があり、やや安定しない印象です。コロナ禍の影響もあるとは思うのですが、販売促進のためのプロモーション費用の増加などもあるのかな・・・と推測します。

② フィンテック事業

フィンテック事業は、楽天銀行、楽天証券、楽天カードなどの金融事業です。

同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋

売上げ、利益ともに安定して伸びており、(利益という視点で見ると)ここが楽天グループの中核になりそうです。

③ モバイル事業

同社の決算短信から数字を抜粋
同社の決算短信から数字を抜粋

懸念のモバイル事業ですが、(昨年度は売上げの伸びと損失の減少が一時的に停滞することもあったのですが)通期の単位で見るとなんとか順調に推移しているように見えます。

今期2Q単独だと606億円のセグメント損失ですが、他の2つのセグメントをあわせると「4.95億円の黒字」になります - 黒字化がかなり現実的になってきています。以下は、3つのセグメント損益の合計額です。

同社の決算短信から数字を抜粋

また、モバイル事業の契約回線数は、8/7時点で770万回線とのこと。3月末が648万回線でしたので、月間30万回線ペースで拡大しています。

セグメントの黒字化の目安は、契約者数が800~1,000回線。ARPU(1回線あたりの月間の平均売上げ)が2,500~3,000円とのことでした。なので、契約回線数は目処が立ったカタチですので、あとはARPUの改善が課題といったところでしょうか? - 現状のARPUは2,031円。

全体として、インターネット事業とファインテック事業がまずまず堅調に伸びている中で、モバイル事業が着実に顧客基盤を拡大しており、「黒字化は時間の問題」といった感じです。

3.モバイル事業が生み出す好循環。

同社によると、楽天モバイルに加入しているユーザーさんは、加入していないユーザーさんに比べて、4.2倍のサービスを利用しているとのこと。

同社の2024年度 中間決算の決算説明会資料より抜粋

上記は、楽天グループの決算説明会資料の1ページです。

図の意味は、楽天ユーザーさんの中で楽天モバイルに加入しているユーザーさんと(同じような属性の)非加入のユーザーさんを比べた場合、加入ユーザーさんは加入から徐々に利用する楽天経済圏のサービスが増え、2年後には平均3.21個のサービスを利用している。

一方、非加入ユーザーさんは、初めて楽天のサービスを利用してから(同じように)徐々に利用サービスは増えるもののそのペースは鈍く、2年後でも平均で0.76個のサービス利用しかない。

よって、楽天モバイルに加入することで(お客様の思考回路の中に占める”楽天”の割合が増し)より多くの楽天サービスを利用する結果となる、ということのようです - 言い換えれば、楽天モバイルは楽天ユーザーさんの「お財布に占める(楽天の)シェア」を大きく引き上げる戦略的ツールになっている、ということかと。

すると、「仮に、楽天モバイルのユーザーさんが2,000万人まで拡大する場合、楽天経済圏の規模はどれくらいまで膨らんでいるのか?」と考えると、とても大きなポテンシャルに思えます。

やはり、楽天グループの魅力は「楽天経済圏」であり、そこにより多くの事業者さんや消費者の方々が入ってこられ、より多くの商売や日常をそこで過ごすようになることが、楽天グループの成長になるのだろうと思います。その意味では、モバイル事業は楽天経済圏をより拡大させる「増幅装置」として機能しているのだな、と改めて感じます。

4.バリュエーション。

現在(8/19 終値)、同社の株価は877.4円。時価総額は 1.9兆円です。

同社は会社予想を発表していない上に、アナリスト予想も今期・来期ともに赤字なので、PERは出せません。

代わりに、インターネット事業とファインテック事業のセグメント損益をベースに(その2つの事業の)事業価値を推計すると3~4兆円ほどになるように思います - PER20倍だと約3兆円、30倍だと約4兆円です。

そして、「仮に、モバイル事業が黒字化したら?」という(可能性の高い)仮定を置くと、「楽天グループの時価総額は、最低でも3兆円くらいはあってもいいのでは?」という(個人的ですが)結論になりそうです。

ちなみに、昨年度のインターネット事業とファインテック事業のセグメント利益はあわせて1,997億円ありました。そこから金融損益を差し引き、法人税を考慮すると、当期利益は1,400億円くらいになると推計されます。それに、PER20倍を掛けると2.8兆円。30倍だと4.2兆円です。

今期のこれまで(中間期まで)のそれら2つの事業のセグメント利益は、(前期よりも)トータルで+32.6%増加しています。よって、さらに高い企業価値として評価されてもいいのではないか、とも思います。

同社の決算短信から数字を抜粋

と、こんな感じで、楽天グループの中間決算にはポジティブな印象を受けています。

今日は、以上です。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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