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部下を育てる勘所は、「働く動機」だった!

部下を育成し、その実力を引き上げることは、マネージャーの重要な仕事です。

そして、(願わくは)自律的に動けるような「できる社員」に育ってくれることが目標です。

しかし、部下の育成をうまく行えているマネージャーの方々はごく少数だと思います。

どうして、部下の育成は難しいのでしょうか?

先日、読んだ本の中に新しい着眼点を見つけたので、それを借りながら「部下の育成」について書いてみたいと思います。

ポイントは、「働く動機」です。

【参考になった本:マッキンゼー流 最高の社風のつくり方(日経BP社)】

部下の成長を左右するのは、「働く動機」

仕事において、人のパフォーマンスを左右する重要な要因は「働く動機」だそうです(これは、個人的に非常に納得です)。

そして、人の成長を左右するのも「働く動機」だと。

なので、「部下を育てる」ためには、部下の「働く動機」がポジティブになるように部下の仕事と役割を設計すること。これが、マネージャーの仕事になる、と。

もし「部下が育たない」のであれば、それは部下の「働く動機」がポジティブなものになっていないのではないか? マネージャーは、そこを再点検する必要がある、と。

「働く動機」という視点に触れて、はっ!としました。

確かに、と。

もう少しかみ砕いて書いてみます。

人が、仕事において実力を高め、成長していくためには、(当然ですが)長期的な努力が必要になります。また、いろいろなことに興味を示し、前向きに学習・吸収しようとする積極的な姿勢も大切になります。こうした「長期的な努力」や「積極的な姿勢」が、成長へとつながっていきます。

反対に、「努力が継続しない」や「積極的に学ぶ姿勢がない」という状態では、人は十分には成長できません。

そうした「長期的な努力」や「積極的な姿勢」は、(部下の)仕事へのモチベーションに大きく影響されます。そして、そのモチベーションを生み出しているのが「働く動機」というわけです。

働く動機 → 働くモチベーション → パフォーマンス & 成長

よって、「部下を育てる」とは、部下が「色あせることのない”働く動機”」を感じられるように、部下の仕事や役割を設計することになります。それこそが、マネージャーの仕事になります。

では、どういう動機がモチベーションを高めるのか?

仕事において、高いモチベーションを生み出す動機は、以下の3つだそうです(モチベーションに高い影響を与える順番で)。

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2と3は、よく理解していましたが、1は目からウロコの着眼点でした。

「好奇心」と「実験」は、人の心に「楽しさ」を生み出す要素だそうです。よって、「仕事が楽しい」と感じるとは、(例えば)仕事において、自分で考え、計画し、実行できる裁量(=自由)を与えられている状態。

すると、自分で考えたことを、自分で実行(=実験)する楽しさが生まれてくる、と。

また、自分で考えたことなので、仕事へのオーナーシップもより強くなるとも(=これも、楽しさの要因)。

これが、「仕事が楽しい」というひとつの事例です。

反対に、指示された仕事を、指示された通りに実行するような場合。自分の考えを加える隙間がどこにもない場合、「仕事がつまらない」と感じる可能性が高まります。

「上司が(部下に対して)指示を出す」ことがあたり前になっている職場では、こうした状態がデファクトになっている可能性もありますよね。

すると、部下のモチベーションは上がりづらく、結果として部下がなかなか成長してくれない、ということになっている場合も多いのかな・・・と想像します。

2つ目の「仕事の目的に共感し、共有している」とは、会社のミッションや部署の存在意義に共感しているということです。なので、自分の仕事に納得し、誇りを持っているということ。この納得感や誇りが、モチベーションを生み出しています。

3つ目の「今の仕事に(または、その先に)大きな可能性を感じている」とは、(例えば)会社や部署の将来性に大きな期待を持っている。あるいは、今の仕事を通して身に付く専門性が、自分のキャリアにとって大きな価値になるだろうと考えている、というニュアンスです。そうした期待値があるから、目の前の仕事にやりがいを感じ、打ち込める、と。

ネガティブに機能する動機

部下(社員)を動かすために使われるパワーの一般的な例として、「上司からの圧力」と「金銭的な報酬」があります。

実は、それらは短期的な効果しかなく、長期的にはネガティブに機能してしまうというのが、研究結果のようです。

例えば、「上司が、部下を詰める」「部下を叱責する」という上司からの圧力は、そうした圧力を避けたい部下にとっては「短期的にがんばる要因」になります。

しかし、長期的に努力を継続する原動力にはならないようです。

そして、(より重要なことに)そうした圧力は、部下の自律性や創造性を奪ってしまう危険性もあるようです。部下の成長には、大きなリスクになりますよね。

また、「金銭的な報酬」も同じで、短期的には大きな(がんばる)インセンティブになりますが、長期的な効果には疑問が残るようです。

「人の心は、必ずしもお金では動かない(特に、長期的には)」というシンプルな真実なのだと思います。

マネージャーの仕事は、仕事の環境整備

以上、部下の成長には長期的な努力が必要であり、その原動力になるのは「仕事へのモチベーション」であること。そのモチベーションを生み出しているのは「働く動機」であることを、ご説明しました。

すると、(ここが重要なのですが)部下を育成するとは、「部下の働く動機をポジティブに設計する」ということから始まるように感じます。

その設計こそが、マネージャーの仕事なのだな、と。

具体的には、部署のミッションや存在意義を、部下が共感できる内容にしっかり定義し、組織内でコミュニケーションを図る。

(部下の実力にあわせて)部下が仕事を自分で考え、計画し、実行できるように、部下に裁量(=自由)を与える。部下が、自分自身の存在意義を認識できるように(部下の)役割設計をする。それらにより、部下が「仕事が楽しい」と感じる環境をつくる。

1on1や日頃のコミュニケーションを通じて、部下が描くキャリア・パスを理解し、部下が目の前の仕事に可能性を感じられるような環境を整える。

こうした環境整備が、「部下を育成する」ためのマネージャーの具体的な仕事になると考えます。

「部下を育てる」とは、部下に知見やノウハウを教えることや、部下にチャンスを与えることと考えがちですが(もちろん、それらも大切です)、部下の「働く動機」がポジティブになるように部下の仕事や役割をちゃんと設計することであるという点が、私にはとても新鮮に感じました。

個人的には、すごく納得しています。

今日は、ここまでです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

もし、異なるご経験などあれば、ぜひご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。

よろしくお願いします。

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