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#17 自分自身を取り戻すことを目的に、抗がん剤を辞める決断をしました。

全8クールの抗がん剤を計画していましたが、6回目の抗がん剤投与後、
①鬱のような症状
②味覚がない
この2つの副作用に激しく苦しみ、抗がん剤を辞める決断をしました。

みそソムリエとして味覚が無いことは、レシピ開発や味噌の探求に大きな影響を与えるほか、お味噌の深みを舌で認識できない自分を精神的に追い詰めるものとなりました。

ごはんが美味しく食べられないということは、単純に生活の質を激しく落とします。


抗がん剤の副作用で生理が止まったせいなのか、入退院を繰り返して筋力(体力)が落ちたせいか、味覚がないせいか、直接の理由は分かりませんが、1ヵ月ほど気持ちが上がってこなく、何をしていても涙が出る日々を過ごしました。

最終的に、心療内科を受診したほうが良いというところまできましたが、
これを機に、抗がん剤を辞めて次の治療に進むことにしました。


乳がんの進行(転移)よりも、今の私にとっては、
お味噌の仕事を自分らしくやること、
ラジオで地域を盛り上げる方法を一生懸命考えること、
これが出来なければ、治療する意味も生きる意味も見出せません。

治療は生きるためにするのものですが、
治療によって生きる目的が阻害されるのであれば、私にとって治療は何の意味もなさないものになってしまいます。

もちろんこのことは家族も理解してくれましたし、
家族も私の笑顔を一番大切にした判断がベストと考えてくれました。

そして主治医も。


鬱のような症状。
これは人生初めてでしたので、かなり苦しみました。

何も考えることが出来ず
ただただボーっとしてしまう。
一人でいると、ただただ涙があふれてくる。


乳がんであるという「癌」そのものが私を苦しめたのではなく、抗がん剤治療の副作用に私の存在そのものを奪われる。

これが癌治療の実態だと感じました。


ただ、これは抗がん剤治療を否定するものでは決してありません。
私自身は、手術も抗がん剤治療も放射線治療もホルモン療法も、乳がんに必要だとされている治療は全て理由を含めて納得しています。

けれども、耐えるべき限度を超えた時は、自分にとってのベストをしっかり選択していきたいということです。

時に、乳がんになって良かったとすら思うことも(乳がんになったおかげで得られたものも)ありましたが、自分を生きるために抗がん剤は諦めました。
薬との付き合いはまだまだ長く続きますが、どんな時も私が私として生きられる選択をしていきたいと思います。

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