亡母の前世(?)

そう言えば、亡母。
他界した亡母には、不思議さ(?)があった。
世界の国々の位置が、まず分かる。

「これこれは、どこにある国でしょう?」
質問と共に、バーンと世界地図。白地図が画面に表示される。
「え~っ、分かんない」
「そんな国、ありましたっけ?」
困惑する回答者。
クイズ番組でお馴染みの場面だ。

すかざず
「あそこらへんの、真ん中辺り」
「右下の、横かな」いの一番に回答。
張り切って答えるのは、我が家ではいつも亡母だ。

正解率は、軽く9割を超えていた。たまに外したりも勿論、あったが、そう遠くない場所だ。

「すっごぉ~い!」
「何で分かるの?」
少々ばかり大袈裟に、我々が驚いて見せると、
「何となく分かるみたいよ」
鼻腔を拡げ、ご自慢だった。答えにならない、答えである。

今でも思う。(何故だろう?)
学生時代、世界史が得意だった、なんて聞いたことない。
世界地図を見るのが好きな少女だった、なんて話も聞かない。

(前世?)ふと思う。

  ♪君の 前・前・前・前世、、、、(後略)

歌があるが、ずっとずっと前。きっと亡母は、その手の関係者だったのではあるまいか?
そうねぇ、あの亡母からすると。

夫が世界を股に駆ける船員か船長で、数か月に1度しか帰宅しない。
帰宅する毎に、夫の浮気を疑っていた。
「今度は、どこそこに」
夫から言われるたびに、「ここなのね、今度は」
壁にかかった世界地図を見ながら、(あのヤロー!)
メラメラと怒りの炎を発していた。
して、夫は?
それなりに(?)傾きかけた経験アリ。が、奥さん(前世の亡母)が怖くて、とても実行には移せなかった。
そんなとこでしょ。





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