わたしだけへのサービス(?)

東京都中央区築地。中央図書館から見れば、ちょい裏側。斜め後ろの裏側の位置に当たろうか?洋食「蜂の子」がある。

入って一番に驚くのは、本物の蜂の巣。でっかい蜂の巣が、ガラスケースに納められ、展示されている点だ。厨房辺りにある。初めて見た時驚いた。めちゃめちゃデカい。どーんとある。長野県で採られたとは、説明書きの旨。1階は4人掛けテーブル、2階は長いテーブル席オンリーの店舗だ。

勤め先の目と鼻の先。勤めていた頃、ほぼ毎日のように使っていた。お昼だ。多種多様なメニューを友人達は楽しむのに、わたしが注文するのは決まっている。オムライス。当時550円だった。

卵料理が好きなのと、飽きない故だ。元々、好きだと思えばずっと執着(?)。飽きる迄食べるのが、わたしの食のスタイルである。「飽きないの?」聞かれ「うん」。「他にもあるじゃん」言われ「今度ね」。お店の人も憶えてしまったらしく「お客様は、オムライスで」。確めるだけだ。

むっちっりとした柔らかな半円形の卵に、スプーンを入れる時、最高級の喜びを味わった。(オムライスってこうなのか。中身があるんだ)。幼少時に亡母が作ってくれたオムライスは、中身がなかった。型でこさえた白米の小山に卵焼きを乗せたのが、我が家ではオムライスであった。だからここで味わうオム様は、衝撃ですらあった。まるで、昭和30年代にか東京に遊来て、クリームソーダを初めて飲んだ地方の少女が、感激と驚きに満ちたりた表情をしたように。

「ごちそう様」と店を出た後で、自販機の缶コーヒーを買って帰社するのが、あの頃のスケジュールでもあった。

とある日。いつものように友人達と食べ終え、お会計をしにレジへ。と、店主らしい人が「いつも食べに来てくれるから、50円おまけ。500円でいいわ」わたしにだけ言ったのだ。(えっ?)迷ったが、従った。

「え~っ、いいな。何であなただけなのよ。わたし達だって毎日、食べに行っているのに」「凄いね、なんか。あるんじゃない?雰囲気が」まさか。

思うにですね。「一番安いのばかり毎日、注文する客がいる」「余程、大変なのに違いない」「明日も来たら、少々ばかりサービスしとくか。助けてやりますかね。しょーがないから」店関係者で決めていたに違いない。

心配される程、大変ではなかったけど、店員さん達の思い込み(?)によって施された、わたしだけへのサービスである。ラッキー!


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