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薄田泣菫『泣菫詩抄』から学ぶ➀「つばくら」

今回は薄田泣菫氏『泣菫詩抄』の「つばくら」をうつして学ぶ。

蛇腹のような詩

この詩で特徴的なのは、前の行の一番最後にある単語と、次の行の一番最初にある単語が同じものを差していることである。

紺の法被に白ぱっち
いきな姿のつばくらさん、

一行目全体は、二行目の「いきな姿」を指す。

いきな姿のつばくらさん、
お前が来ると雨が降り、

二行目の「つばくらさん」は、三行目の「お前」を指す。
このように行の最初と最後が繋がって、蛇腹状の詩になっている。

紺の法被に白ぱっち、
いきな姿のつばくらさん、
お前が来ると雨が降り、
雨が降る日に見たらしい、
むかしの夢を思ひ出す。

薄田泣菫『泣菫詩抄』より「つばくら」

まとめ

つまるところ、このような詩を書くことは連想ゲームの一種だ。
連想ゲームができる人なら、誰でも簡単に書ける詩なのである。
ただし、簡単なのは書くところまで。その連想からどのような表現をするか、どう自他の心を動かすかは腕にかかってくる。

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