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18歳

18歳になった年だった。
祖父が死んだ。
87歳。末期癌で、長く闘病生活をおくっていた。
祖母は「よく頑張ったね」といい、
母は「今までありがとう」と言った。

私は受け入れられずに、ただ泣いて怒っていた。
なぜ祖父が死なねばならんのだ。
わからない。わからない。

人が歳を重ね、いつかは死ぬことはわかっていたが
自分だけ大人になっているような気がしていた。
祖父も老いていたのに。
両親が共働きだったから、実の父同然となった祖父にいつもべったりだった。
歩けなくなり、寝たきりのようになってしまっても、
祖父は幼い私を守ってくれた、70代の祖父そのものだった。
ああ、なんてこと。

同居していた祖父が亡くなり、同じ年に
静岡に住んでいた父方の祖父母が亡くなった。
呆然とした。
これが大人になるということか。

大人というその言葉の晴れやかさはまぶしいけれど、
大人になってしまうことで増える別れを一つ一つ覚えておきたい。

大人になったものだ、なんて気持ちでやすやす飲み込めない。
こんな別れがあるなら、大人になんてなりたくなかった。

ああ、大人になってしまった。


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