欲望ごはん#4〜オムライス〜
通販の段ボールを畳みたいと思っていても、
やる気が起きない。
ちょっと一メートル、這っていくだけでもめんどくさい。
そんな時でも、「なんかオムライスが食べたい気がする」という気持ちだけで
エプロンを取ろうと立ち上がれるという、オムライスの偉大さである。
我が実家では、祖母と暮らしていたこともあってか、
あまり洋風な食事は好まれなかった。
「オムライスが食べたい」というと、祖母は顔をしかめたが、
大抵その日の晩御飯は、望み通りのオムライスでニンマリした。
祖母のオムライスは決まってひし形で、
しっかり卵が焼かれているタイプ。
「とろける〜」とか「絶妙な焼き加減」と言うことはなかったのだが
ちょっと焦げ気味の卵が愛らしかった。
半熟の卵焼きは流行りのオムライスっぽいけれど、
散らかった部屋で一人、段ボールを横目にみながら食べるご飯はなんだか淋しい。
食べ終わると、また動けなくなった。
満腹のせいかな。
段ボールがみてる。
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