緑にまつわるエトセトラ
私のひとり住まいの部屋には、ペンタカンサというサボテンが同居している。これをひとり暮らしではないと考えると、彼は同居人もとい同居草になります。私はペンタ君と呼んでいる。
彼を連れて帰ってきたのは、大学1年生の時の夏前頃だったか。よくお邪魔する花屋さんが水耕栽培のサボテンを多数仕入れた中に、彼がいた。他の子に比べると何とも地味であった。華々しい名前が付けられているわけでもなく、特に目立つ特徴もない。けれど、ぷっくりしたフォルムや細くてうっすらと曲線を描いている棘などが当時の私は気に入ったのだろう、花瓶付きでうちにお迎えした。
あれから2年が経とうとしているが、全く花などは咲かない。基本的に毎日一緒にいるので、些細な変化には気づきにくいかもしれません。帰省の際などは彼に預けますが、彼曰くちょっと大きくなったらしい。
健やかに、ぷくぷくと成長してほしいものだ。
母から、玉ねぎの写真が送られてきた。母は珍しいものがあると、よく写真を撮って送ってきます。今回は、玉ねぎの先端から葉が長く伸びている写真。
「スーパーで買った玉ねぎからちょっと葉っぱが生えてたから、そのままにして観察してたらこうなった」
色々試してみたいひとなのだ。ある時はパイナップルの実の付け根部分を切り取ってそのまま土に挿し、そのまま育成、収穫、脇芽を切り取り株を増やしてみたり。始めてからもう7年ほどになるが、増えたパイナップルたちは母の通う会社の温室や、実家の私の部屋で冬を越し、ぬくぬくと育てられている。
またある時は、会社のひとから貰ってきたアスパラガスを植えてみたり。アスパラガスの成長過程を見たことのなかった私にとって、これは大きな収穫でした。この時初めてアスパラガスは2~3年しないとあの大きさにならないことを知りました。
今年は綿の種を貰ってきたとのことで、また植えてみるらしい。植物などに興味のなかったあの父からも、母の影響を受けたのか、プランターにミニトマト、ナス、落花生を植えたとの報告が写真付きで送られてきた。
母の影響恐るべし。夏の帰省が楽しみです。
「バジル、育ててみる」
今年の春から、彼が自室のベランダでバジルを育て始めた。いわゆるキッチンハーブの類で、1番彼がよく使うのがバジルなのだ。食べられなくても可愛いから、綺麗だからという理由で植物を育てたり飾ったりする私とは対照的に、彼は実用性重視。冬頃から何か植える計画をしていたけれど、その時から食べられるやつが良いと条件を絞っていた。
先日、一緒にホームセンターに行ってプランターや種など必要なものを買ってきた。土や底石などは大きなサイズの袋でしか売っていないのかと思いきや、意外と小さな袋でも売っていたのはとても助かった。帰宅後、早速彼はバジルの種を埋め、水をやった。
「もう芽が出たかな」
「さすがに2時間じゃ無理やと思います…」
彼は私の予想以上にはしゃいでおり、こちらまでなんだかわくわくしました。
「ベランダ見ておいで」
数日が経った頃、促されてベランダを見ると、小さな丸い双葉がいくつか、土から葉をのぞかせていた。思ったより芽が小さかったので驚きました。ぱっと見は植物を育てていそうには見えなそうな彼だが、私よりもずっとずっとマメな性格をしている。今日もさらさらと水をやっているに違いない。高い背を丸めて小さな植物の世話をする彼を想像する。改めて好きになって良かったなと思う。
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