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繊細だからこそ

3月頃から、HSPの症状が強く出るようになった。
HSPとは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、顕著な4つの症状「DOES」がある。

■ D:Depth of Processing/深く処理をする
簡単に結論の出るような物事であっても、深くさまざまな思考をめぐらせる
■ O:Overstimulation/過剰に刺激を受けやすい
刺激に対する反応が強く表れやすく、疲れやすい
■ E:Emotional response and empathy/全体的に感情の反応が強く、共感力が強い
他人との心の境界線が薄く、相手の感情の影響を受けやすい
■ S:Sensitivity to Subtleties/些細な刺激を察知する
他の人が気づかないような音や光、匂いなど、些細な刺激にすぐ気づく

私はこの4つすべてに関して見事に当てはまっており、持病として元々持っている心の病気の周期にも関係しながら症状の起伏が起き、あまり気にしないで過ごせる時と強く出てしまうせいで日常生活に支障が出る時とがある。

5月現在、このHSP症状がかなり強く出てしまっており、どんな些細な刺激(光や音、空気)も拾ってしまうため、常に緊張の糸が解けない状態で過ごしている。特に敏感になってしまうのが音の刺激と人への共感で、レストラン、電車、時には家の中でも、少しでも気になる音を拾ってしまうと全神経がその方向に集中してしまい、肝心の友達の話や映画が全然頭に入ってこなくなってしまう。そして人の表情や声色で、その人が怒っているもしくは悲しんでいるのを察知すると、胸が締め付けられるように苦しくなる。
どちらもHSPの症状に特徴的なもので、いつも通っている心療内科に相談した時は持病の合併症状のようなものだと言われたが、今回のように強い症状の出現は今まであまりなかったので、困憊しているのと同時にどうしようもないもどかしさと辛さで息が詰まりそうになっている。

特につらいと思っているのが、映画館で映画を観れないことだ。私にとって、劇場に行って映画を観ることは本当に心が安らぐ幸せなひと時で、良い映画は映画館で観てこそ、と感じているため、最近ずっと映画館に行けていないのが本当に悲しい。多くの人が気にせずにいられることが、私にとっては気分を左右するほどに重大なことで、体調に直結してしまうことに、やり場のないもどかしさと悔しさを感じる。

元気だった頃のように沢山色々な場所に行って、新しい刺激を受けて楽しみたい。
楽しみにしていた映画を観て、五感で感じて泣いたり笑ったりしたい。

そんな思いを募らせながら、何とか対処法はないものかと本屋に行ってHSP関連の本を探したり、自分なりのリラックス法やダウンタイム(落ち着ける時間)を作ったりしている。

超がつくほど繊細で生きづらい私だが、それでも、文章を書いたり写真を撮ったりする時にこの「超繊細な感性」はまるで泥の中のビー玉みたいにきらきらと輝きだす。日々生きていくのが精一杯で、人一倍に傷つき苦しみ、責任感を感じ、重荷を背負ってしまう私だけれど、人の感情が分かる、小さな美しさに気づける私だからこそ、世に残せるものがあると思うと少しずつ勇気がわいてくる。

誰よりもまず、私は私を愛してあげないといけない。
繊細な私にしかできないこと、書けないもの、撮れない写真がある。

電車の中で息苦しくなった時、映画館の前を通って、観たかった映画が観れないままかもしれないと悲しくなった時、この文章を読んで、自分で自分を励ましたい。

あなたのペースで、ゆっくり元気になればいい。
映画も写真も、心安らぐきれいな世界も逃げずにそこにあるから。

もうすぐ夏が来る。今年の夏は休暇を取って、美味しいかき氷を食べたり町を散歩しようと思っている。
何気ない、穏やかな、けれど素敵な夏になればいいと願う。

2023.5.21

P.S 最近Youtubeの一発録りパフォーマンスチャンネル「THE FIRST TAKE」をきっかけに聴いたYUIの『TOKYO』を聴いて、とても感動した。

彼女の歌は、大学を休学していた時にとある友達とデュオ(といっても、遊びの延長線上だったのだが)を組んで私がボーカル、友達がギターを弾いて演奏していたのもあり、忘れられない思い出の曲が多い。その時のことを、『TOKYO』を聴いて鮮明に思い出した。
我ながらエモーショナルな日々だった。この思い出は、いつか自分の言葉で綴ってみたいと思う。

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