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目的で異なる良い大学(弊息子との議論)

前回の教育関連はこちら:

 高校3年生の部活動も終わり、大学に進学を考えている生徒達は受験勉強モードというところでしょうか。弊息子も「受験勉強うつだ」などと言いながら一生懸命頑張っているようです。大学に行く目的や大学の情報収集をしながら受験したい大学について彼と議論する中で、いろいろな論点があることが分かりました。そこで、議論した主要な論点について徒然なるままに私見を書いてみます。(弊息子は理系のため、理系よりの内容となっております。)ご意見、コメント大歓迎です。

高偏差値大学バイアス | まだ効能はあるのか

 最初の論点は、偏差値の高い大学(以後、ブランド大)に行くと良い教育、教育レベルの高い仲間との出会い(今後の人脈)および潤沢な研究費の使用が可能なため、頑張って勉強して少しでも高い偏差値の大学に行きたいとのことでした。これらについては、平均的にyesといえると考えます。
 まず、良い教育については、学部教育に力を入れている大学とブランド大を比較して、実際の教育効果はどちらが上かというと前者であることもある。なぜなら、ブランド大の教員は研究活動やそれにまつわる活動が多忙を極めることが多く、教育へのリソース配分が高いと言い切ることができないからです。
 次に、仲間については、偏差値と親の年収が強い相関は近年、実証分析で検証されています。すなわち、同様の環境で育った者同士のコミュニティーとなることがあり、それが良いと思うかどうかがポイントであると考えます。
 最後に、潤沢な研究費については、ブランド大に優秀な先生が集まるため、そのような大学の研究費が潤沢が真の理由と考える。よって、最先端の研究をしたい場合、ブランド大を目指すことは合理的であると考えられます。しかし、地方の大学にも「いぶし銀」(失礼)の先生方はいらっしゃって、特定の分野で突き抜けていることもあります。

まだある就職バイアス | 高偏差値大学の強みと理系ならではの迂回方法

 これまでの経験と私見ではまだまだ、就職(いわゆる有名な企業)についてブランド大が有利だと思います。これについては、少ない面接で大量に採用する新卒一括採用のシステムを考えれば、面接官の技量に頼るより出身大学により判断することは理に適うことであります。よって、大学で勉強したいわけでもなく、就職への箔付けなどの観点で大学に行こうと思っている場合、ブランド大を目指すことは合理的だと考えます。
 一方、理系で研究したい(からの就職)という弊息子のような場合は、異なる選択肢もあります。それは、大学院で違う大学を受験できたり、大学院大学や国の研究機関でも学生を受け入れているためです。よって、浪人してまでブランド大に行くのであれば、いける大学に入学し、真剣に学部で専門の基礎学力の力をつけ、大学院でやりたい研究の強い大学に行くことも選択肢になると思います。その結果、高偏差値大学の大学院卒業ということになる方向性もあると思います。

バイアスブレイク | 面白い新設校や特徴ある大学群

 最近の新設の大学が面白い!という印象を持っています。
 文系では、秋田の国際教養大学はいかがでしょう。日本の大学には珍しく卒業要件が厳しく、5年での卒業がざらとのことです。本来、大学卒業の学士号は一定以上の能力を保証するものであり、当大学はそれを担保できた学生に与えていることが素晴らしい。また、海外留学が卒業要件に入っているのも、グローバル化の中で(もはや死語か?)、国内外問わずに仕事をする必要がある世代にとってはとても良いのではないでしょうか。
 同様に、出口先生が学長のAPUもいいと思います。もともと留学生が半数で強制寮生活というユニークな大学に加えて、学長のリーダーシップにより、教員の教育能力向上や起業教育を実施するなど、これも生きる力を持つという意味では良いと考えます。
 一方、理系は一般的にブランド大が強いのですが、大学内で鍛えられるという意味では豊田工業大学は面白い存在です。また、私が最近注目しているのが京都先端科学技術大学です。永守さんが私財を投げうって(すでに>200億円!)、教員の一部入れ替え、面白い教育カリキュラムや新キャンパスにたくさんの機器(工学部目線)などなど、急激に教育レベルが上がっているのではと推察されます。ブランド重視の弊息子にも進めております。
 加えて、大学院にはなりますが、沖縄先端科学技術大学(OIST)は素晴らしいです。私が理系だった米国研究所勤務時代、そこのオープンポジションがあった際、研究所仲間は遊びに行くならいいよなと言っていたのですが、3年前には暑さが嫌いなロシア人研究者がOISTを考えていると言っているのを聞き、驚いたことがありました。
 最後に新設校ではないですが、学際的という観点では、京都工芸繊維大学も面白いと注目しております。理系ではありますが、デザイン関連学部があるため学際的なイノベーションには良いと思ったりしています。また、東京の4大学連合なんかも面白い取り組みだなと思っています。(どの大学もブランド大ではありますが、注目しているため、最後に書きました。)

まとめ

 このように、目的によってブランド大の効能は異なりますが、有名企業への就職には有利です。ここで、元google japan社長の村上さんの講演で「ママが喜ぶ会社に入るのは良いことか?」との問題提起について考えを巡らせてはいかがでしょうか?技術のライフサイクルが極めて短くなり、従来の大企業が生き延びる確率が減少している現在、子供達には、就職先企業に関わらない、生きる力をつけてもらいたいですね。生きる力の源泉は元気な体力と好奇心を持って考える力だと思います。
 よって、受験勉強で基礎学力を磨くのも大事ですが、大学に関するいろいろな情報を与えて、子供が自分の人生を自分で考えて決める第一歩としての大学受験という考え方もあると思います。子供に良い人生をと思うのは、親の共通の願いですが、それが親目線で「困難の少ない」選択肢を示すのではなく、選択する過程を見守り、議論や相談の相手をするなど助力するというのが良いのではと思いました。なにせ、失敗すれば、やり直せばいいので。それが若い子の特権!(私の所属大学も注目してもらえるように精進します。。。)
 弊家庭の話ではありますが、ご参考になったのであれば幸いです。

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