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モグラのトッポス(・稿5)


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 月はまん丸になり三日月になり、又まん丸を3回程繰り返した頃には、トッポスが持っている光りを通す石が、見た事がない虹の海を作り出すと言う話しは遠い森に迄知られる様になっていました。
 頻繁にピピムは誰かを連れて来ては虹の海を自慢しております。
 
「ピピム もう誰かを連れて来ないで欲しいんだけど 最近はゆっくり寝ていない感じで頭がボーとしているみたいなんだよ」

「ああ 悪いな 皆は口々に言うんだよ 死ぬ迄に一度は虹の海が見たいと言われてな~断りきれないんだよ」

「死ぬまでにか~ ・・・」

「そうなんだよ そんな事言われて頼まれたら そいつにしたら一度だけなんだよ」

 ピピムは申し訳ないと言う様な素振りはするが、本心は違っている事が見え隠れしている事が見てとれる。

「ピピム いつも手を後ろに隠しているけど怪我でもしたのかい ?」

「えっ あっ いやなんでもないよ怪我なんかしていないよ ピンピンして元気だろう」

「兎に角 もう誰も連れて来ないで欲しい」

「ああ わかった 悪かったな」

 そそくさと後ろを振り向いたと同時に、ピピムは両手を素早く前にしている、何かを持っている事がチラッと見えた。
 ピピムは悪い奴ではないが知恵が働き抜け目がない、最近のピピムは嫌いな匂いがして我慢できない所迄来ていた、加えて何かが見つかった様に焦って出て行ったのもトッポスには気分の良いものではなかった。

「どうもありがとうございました、これは残りのお礼です」

「いやいや 満足頂けたでしょうか 又見たいと言う方がいたら今度からいつもの倍の報酬が必要になってしまったんですよ 貴方はラッキーだったんですよ」

「そうなんですか 私は運がいいんですね これで孫達に自慢話を聞かせる事が出来ます」

 クマネズミのピピムが受け取った報酬はリスが一年かけて集めたであろう、クルミの実でした。

「おい ピピム何やってんだよ 入れ替わり立ち代わり誰かを連れて来ていると思って見ていたら、そんな事をやっていたのかトッポスは知っているのか ? 」

「あ~ びっくりした~ ビゴルか」

 その驚き様は良からぬ悪さをして見つかった時のようでした。

「オーオー その様子ではトッポスは知らないみたいだな」

「なあ ビゴル・・この次に相談しようと思っていたんだよ 今回は見逃して貰えないだろうか」

「俺が言っているのはそんな事ではないんだよ 今直ぐトッポスに話して誤って来るのが本筋だと思うんだがね~違うか ? 頭のいいクマネズミさんよ~」

「随分 トゲのある言い方だね~ 今回はトッポスの気に入りそうな物を持っていないから日を改めて誤りに来るよ」

「逃げるのか ?」

「誰が逃げるんだよ この次だよ」

 そう言うと、そそくさとクマネズミは笹やぶの中に消えて行った、ビゴルはため息を付き、今迄分からない様になっていたトッポスの巣穴迄の道に、草が無くなっているのを見つめた。

つづく

 

 

 

 

 

 


#創作童話

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