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木瓜の花

1099文字

「いや~ 何食べているのよ~去年、剪定して今年は満開になるんだからね」

 赤い蕾をモグモグ、私の言葉を理解しようとしているのか ? こちらの出方を伺っているのだろう。
 これは3年前の写メ、このメス鹿の向かって右の耳が縦に割れている。
 近付かないと分からないけど、しっかり耳として役をこなしている。
 そして後ろ足の膝の部分には毛がなく、大怪我の跡が残っている。
 耳が切れる程の事、膝の怪我の跡、どんな事があったのだろうと考えてしまった。
 木瓜(ボケ)には鋭い棘があるが、器用に小さな蕾だけを頬張ってモグモグ ಥ⁠‿⁠ಥ 叱って追い払ったとしても、後で来て食べるのだろうと思い見ない振り、前の年、来年は真っ赤になって咲く筈の木瓜を、想像しながらの剪定を思い返してしまった。

 鹿は花を食べる。

 以前、ニュースで鹿の被害は広がり、貴重な天然記念物の植物が北海道から姿を消すだろうと、自然保護の方がインタビューに答えていた。
 その時はふ〜ん、そうなんだ〜、位にしか思っていた。
 だが、眼の前で花だけを食べているのを見てしまった。
 増え続ける鹿・北海道の植物は笹や毒草だけになっても可笑しくはないだろうな〜。
 未来の野山を思うと寒気が・・哀しい出来事が進んでいるんだわ、と、私をチラチラ見ながら木瓜を頬張る鹿を見つめながら、改めて実感してしまった。
 あの猟師さんが言っていた事が本当なら、このメスの鹿は婆さんなのかしら ? 。
 この鹿、実家にいる猫を見つけると、物凄い剣幕で鼻を膨らませ、ブフブフ鼻息荒く追って来て、玄関の中迄入って来たらしい。
 猫に恨みでもあるのだろうか ? どうして〜と不思議でならない。
 かくして実家の可愛い猫達は、鹿の気配で家の中に一目散、ガラスを隔てた外を首をあっちこっち伸ばしたり、縮めたりして外を伺う様になっている。
 ベランダのガラス越しに猫を見つけたこの鹿、突進して来て、縦・・約3メートル横3メートル位かな~大きいガラスに顔を近付けて猫を睨み付けていると言う。
 ガラスが破壊されたら結構なお値段を考えて、追い払ったと弟が笑っていた。
 弟は一人で居る為、この鹿に話し掛けているのを目撃 😓💦 オイオイ、可愛いがっているわ😱
 
 この後で私はメスの鹿を追い払った、弟は

「最近、鹿が来ないんだよな~」

 もう来ないよ、私が追い払ったからね。

 この案件は弟には秘密(笑)私の中に隠している。

 花畑に鹿が入らない様にするには・・相当高く網を張るしかない、高さ2m位は軽々と飛び越えて行くのを幾度も見ている私は、そのままにする方を選び、食べられて短くなっている花達を見つめ続けている。

#エッセイ

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