見出し画像

私の「中之島小説」 -- 有栖川有栖『鍵の掛かった男』

 この作家の本を読むのは、本当に初めて。読む気になったのは、中之島のホテルが舞台というところ。本の頭に、中之島近辺の地図と主な建物が載っているのもよい。
 物語の舞台となる「銀星ホテル」は、もちろんフィクションの中の存在だけれど、レトロなプチホテルで、そこのレストランのフランス料理は、値段は張るがおいしいという評判。これはとてもいい感じがして、実在していたら、泊まりたいと思う。

 そして、小説内で、中之島を繰り返し散歩することになるわけだけれど、中之島を散歩するというのは、大阪のレトロ建築を見ながら歩くということには本当に同感である。大阪のことにものすごく詳しくはないけれど、いいお天気の日に散歩するコースとしては、個人的ランキングではかなりの上位に入る。季節がよいと、川沿いの薔薇を見ながら歩けるので、大変雰囲気がいいのである。

 小説の中の謎解きも面白いけれど、読み終わったら、中之島をうろうろしてコーヒーなど飲みたいなぁと思ってしまったので、これは、私の中では「中之島小説」である。

この記事が参加している募集