服について何も知らない天然の男の人魚さん
【服について何も知らない天然の男の人魚さん】
「俺は男だ!」
路地裏で訴えた。
「よく女に間違われるが、男だ」
「仕方ないよ、男の人魚さん。頭にリボン、服はドレスにフリルと女性要素多いからね」
笑みを浮かべながら、慰められた。
「男らしいところあるだろうが、眼帯してるだろ」
眼帯に指をさしながら、言った。
「それだけじゃ無理、伝わらん。可愛いらしい容姿をしすぎだ」
「じゃあ後は何をしたらいい?」
ムスッとしながら聞いた。
「うーん…可愛いのだから良いと思うんだがな…」
俺の姿を見ながら、悩んでいた。
「お前の前では仕方なくだ、仕方なく」
俺は視線をそらした。
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
「そんなことはどうでもいい。話を戻すぞ、俺の格好を考えろ」
視線を戻した。
「ドレスを変えたらいいのではないか?」
「ドレスを変えたら良いのだな。今から買いに行くぞ!」
よし、と早く行こうと手を重ねた。
「今からだと。まあいい、男装できそうなところ行ってみるか」
「男装ではない!俺は男と言っているだろう」
まったくといった感じに怒った。
「冗談だ、冗談。行くなら行くぞ、時間が無くなっちまう」
笑って、手を引いてくれた。
「お、おう」
少し照れ臭くなった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?