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ゲームレビュー『Dredge』 暗い予感、不穏な海、楽しすぎる泥浚い


ネタバレ無し感想


公式トレーラー↑


ひとこと総評と要素紹介

クトゥルフ風味世界観×簡単操作釣りゲーの
アドベンチャーです。

難易度は高くないので、
雰囲気ゲー好きな人には
おすすめできる作品です。

這い寄るとかとかの知識の
有り無しを問わずに楽しめると思います。

ほかのサブ要素として、
スキル獲得や装備強化、時間管理、
パッキングパズルの積み荷マネジメント、
図鑑埋めなどがあります。

いずれにしても重いやり込みや
成長要素はなく、
ストレスがほとんどないほど
難易度とボリュームの塩梅が
ちょうどよかったです。

プレイ時間とボリューム感

ボリューム感ですが、
平均は10時間程度と言われています。

プレイヤースキルが中の下の
カジュアル程度の私の場合
ゆっくりまったりと
装備開発とクエストのコンプリートをして、

(クエストコンプをするつもりが
 なかったのですが、
 釣りにハマってしまってつい……)

トータルで20時間強でした。
ご参考になればと。

ちなみにクリア時の図鑑埋めは
7~8割でしたが、よしとしました……笑
図鑑コンプリートを目指される場合、
さらにプラス5時間~になるでしょうか。

ホラーやグロが苦手な方へ

このゲームの怖さの表現は、
基本的には
じんわりと天候や状態の演出を通して
行っている印象です。

絵のタッチはリアルではないことに加え、
直接なホラー、グロ、ドッキリ表現が
なかったので
過剰な心配で遠ざけるのは
もったいないと思います。

まあ、気持ち悪いと感じやすいものや
想起させるもの、
怖い状況が一切ないというわけではなく、
あるにはあります……笑
(だって名状のしがたい冒涜的なクトゥルフ風味ではありますから)

迷う方は、
Steamストアページのゲームトレーラーを
一通り見て、
ヤバそうなお魚を受け入れられるかで
判断するのがよいかもしれません。

クトゥルフ大好きで
神話生物図鑑を眺めるのが趣味だぜ、
という方々は心配不要ですね。
かわいらしいものです。
ユー飛び込んじゃいなよ。

アートと音楽


アートと音楽は、
ゲームのテンポにマッチした
シンプルゆったりテイストで
まとまっています。

マップは淡いトーンで調和した
心地よいアートワーク、

音楽は長時間聞いていられる、
メロウで幽遠な奥行きを持たせた
インストゥルメンタルミュージックです。

個人的にとても好きな曲が多く
よく作業BGMとして
SpotifyでOSTを聴いています。

旅商人BGMは心のオアシス



ネタバレあり感想
















ーーーーーーー










割かし久しぶりの
寝ず食べずの通しプレイを
やっちゃいました。

海だけで表現するワールドが
比較的に新鮮で、好きでした。

海でつながっているのに
単調にならないように巧く工夫され、
とはいえオープンワールドの
定番地形アレンジ(崖、南国、火山、密林)も
一通り盛り込んでいて、
とてもよかったです。

シンプルなゲームサイクルの中毒性が高めで、
やることが一杯でのめり込んでしまいますね。

エンジン強化による
成長のワクワクがヤバいです。
移動探索するゲームで、
速度体感の変化をうまくデザインされると
喜びがひとしおです。

序盤のとき、
まだ停泊地になかなかたどり着けず、
霧と夜に怯えながら、
不安の中で手探りしながら少しずつ
海を航行する頼りない我が小舟は
思いもしませんでしたよ。

まさか終盤で
ヒャッハー速いぜ! 
 左下から半日くらいで
 右上の島を往復できちゃうFOOOO!」

「新鮮冷凍スピード便でお届けしまっせ!
 フードのお客様ぁあ」と

すっかり俺SUGEE何も怖くない気分の
暴走船になれるとはね。

もうね、エンディングなんか迎えずに、
あの海で強く早く効率よくなった
我が小舟をぶん回して、
永遠に島回って魚釣って
蟹かごチェックして
彷徨い続けていたいです。

何回見てもやっぱり
冒涜的な奇形種を釣り上げて
うぇ、きも!!! ヤバみぃ!! 
 ふええん……
」とかつぶやきながら。

神話生物の中ボスたちもいい味しています。
というのもストーリー上通過しても、
討伐や退治などは叶いません。
人知を超えて
どうにかできるわけではない点も
クトゥルフ精神が
貫かれていてよい着地と思いました。

まあ、ほとんどのボスは畏怖の念を持って
放置するしかないのに対し、
密林ボスはNPCの仇討ちクエストで、
じっくりと爆薬を3回仕掛けて
粉々にやっつけてしまえます。

私はオープンワールドで
最初に密林クリアしたので、
全員倒せるものとぬか喜びしたものです。

みんな倒せるほど
予定調和仕様になっていないと
分かってから振り返ると、
密林のNPCの戦闘力と執念の強さが
際立つと気づきます。
(万能餌があると図鑑埋めが
 捗るから本当に助かるし)

エンディングはエンディングで、
クトゥルフTRPG風の
かなりビターな後味です。

楽しすぎるサルベージライフで
注ぎ込んできた労力から生まれる
淡い期待を一切合切打ち砕かれたもの
ですから、
ロードして虚しく海をかける
亡霊に成り果ててしまいます。

鏡のくだりが好きです。
深みの書を始めとするヤバ本数冊、
鏡、瓶詰めの日記、
ヤバそうな神話アビリティなどと
これまで煽り立てられてきた、
世界を不安定な靄で満たしてきた
緊張感を一緒に割る感じが
それっぽくて素敵です。

不安定な靄を払ったものの、
さらなる闇に突き落とされる
展開もよいです。

でも、結局は最初から
救えないエンドに突入していた系の
お話でした。
ただハッキリしない事実関係が
いくつかあり、ものすごく難解です。

ここからは考察に至らない
モヤモヤまとめ
です。

儀式を辞める場合、
主人公は深みの書を海に投げ捨て、
ふくよかなマグロみたいなものが
飛び上がり主人公を船ごとパクリ
飲み込んでエンドロールが流れます。

主人公妻が死亡済みで救えないことと、
きっかけの事故は主人公がゲームスタート時に
やってくるほんの少し前であることは
おそらく確定ですが、

主人公自身の生死と、
妻の死亡原因とタイミングが不明。

また、神話生物が主人公と
どのタイミングで接触をして
契約(または憑依or操作)を
行ったかも定かではありません。

本編中に海から引き上げた
ヤバい荷物を受け取って配達すると
配達先が冒涜的力に侵されていた
クエストがありました。
それが瓶詰めの日記に記してある
漁師と引き上げたヤバそうな
布によって目が虚ろになった記述の箇所が
接触のきっかけと想像させます。

主人公が心身ともに死亡済みの場合、
神話生物が彼を妻の復活の悲願で
誘導させるより
別の餌食を利用したほうが手っ取り早い
感じます。
何より、その場に発狂した
先任町長や灯台守もいたはずです。

分かるのは、
主人公の精神の一部は収集家に分裂しており、
無人の島の廃屋にある深みの書のところに
ありました。


それが主人公を、
神話生物復活儀式用の遺品収集に向かうよう誘導をかけていました。

主人公と収集家は同一人物なので、
分かりやすく考えてしまえば、
要はその島に誰もおらず、
そこに立ち寄った主人公が
深みの書を読んでいる、
または影響を受けているとき、
もう一人の自分(=収集家)と対話する幻覚を見ていたような
状態といったところでしょうか。

主人公は最初の接触による妻の事故の際に、
神話生物の主の力などにより、
復活の儀式準備の傀儡として、
変にここまで生き延びさせられました。

それを辞めるために、
自分や他の人の精神を浸食する深みの書を、
主人公は海へ投げ返すことにしました。

事実が少ないのでもう完全に妄想解釈にはなってしまいますが、
普通のクトゥルフ世界観になぞらえて考えると
これまでの主人公のSAN値の状態は
不自然です。

神話生物アビリティをフル活用してきてなお
事もなげに回復します。
SAN値は本来回復しない概念で、
主人公のような時間が経てば正気が戻るSDGSスタイルにできません。
これまで、正気と生命活動を維持できる状態ではなかったはずです。

ということは、
精神がふたつに分裂したのは、
主人公だけではなく、
神話生物(またはその力が宿る深みの書)の力もではないでしょうか。

儀式へ誘導する意思の部分が収集家となり、
肉体と行動を操る領域の力が
主人公となったのです。

主人公が儀式のために奔走していた間、
身体と精神はすでに神話生物の一部であり、
神話生物の手足となって動く代わりに、
加護も手に入れます。

主人公が儀式の執行を徹底的に
拒否するなら、
もう外に出しておく意味がないので、
神話生物は自分の一部を回収するように
主人公を消滅させるのでした。
(カニかごみたいですね)

その結果、主人公はマグロみたいなお魚に
パクりと食べられてしまう代わりに、
海域の主である神話生物が望む儀式は叶わず、
神話生物が町を蹂躙する
災厄は訪れませんでした。

ただ儀式はできなくても、
主である神話生物は、
死んでもいないし消滅でもしていない
気がします。
むしろつまらない食事(=主人公)をして
元気でいらっしゃるのではないでしょうか。

また、これまで中ボスとして接してきた、
海域に棲んでいるほかの神話生物たちも
のびのびと気ままに暮らしてそう
です。

少なくとも、海域の主が消滅すると共に、
海域全体の邪なる力が浄化されるなどの
描写はハッキリとありません。

え、もしかしてこれ……


>>>ふりだしにもどる<<< ?

次の漁師がやってきて、
また深みの書を引き上げたら
…………ドレッジⅡ?()

退治の書を希望します。





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