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第5話「ベリーのケーキと猫の夢」

<<宙の猫島(そらのねこじま)のストーリー>>
不眠症の月が羊と間違えて猫の数を数えているうちに本当に猫があらわれて、天空に猫の島を作ってしまいました。天空の猫島に住む7匹の猫たちはお月さまとおひさまに見守られながら、自然がいっぱいの不思議な島を舞台に、楽しいことや面白いことを探しながら毎日を過ごしています。今日も7匹の猫たちが何やら面白そうなことをはじめました……

<<配信について>>
「宙の猫島」は天空の島で暮らす7匹の猫の物語です。毎週金曜日に1枚の新作絵画をアップロードします。4枚の絵でひとつの物語になっています。4週目に作者・なかひらまい が書いた物語をアップロードします。絵と一緒に摩訶不思議な物語を楽しんでください。インスタグラムのフォローもよろしくお願いします。
●ストーリーのアーカイブ:https://note.com/7cats/n/n87b25b5bdd58
●インスタグラム:https://www.instagram.com/soranonekojima/

<<スマホ用の壁紙をフリーダウンロード>>
気に入った絵があったらスマホ壁紙をダウンロードしてください。画像を長押するか、PCの場合はマウスの右ボタン(Macはcontrolを押しながらクリック)で画像を保存できます。しあわせの猫島で暮らす猫たちと一緒に日常を過ごしてください。素敵なことがおきますように。

<<マンガ版『宙の猫島(そらのねこじま)』>>
『宙の猫島(そらのねこじま)』配信1周年を記念して2024年2月よりマンガ版を随時アップ。『宙の猫島』の世界はどんどん広がっていきます。
●マンガ版『宙の猫島』:https://note.com/7cats/n/n8c65924264f1

<<毎月、額装用の絵画をプレゼント>>
宙の猫島(そらのねこじま)のメールマガジンでは毎月額装用の絵画をプレゼントしています。絵をダウンロードして額装し、お部屋のインテリアとして使ってください。額装の仕方はメルマガ登録フォームのあるオンラインショップサイトに掲載しています。IKEAの10✕15cmの額にちょうどいいサイズにプリントアウトできます。
●メルマガ登録URL:https://mainakahira.base.shop

絵と文:なかひらまい

なかひらまいプロフィール:作家・画家。ユング心理学研究会理事。多摩美術家協会会員。著作は『スプーの日記』シリーズ3部作(トランスビュー刊)。千年の間、口伝のみで伝わってきた紀国の女王伝説の謎を追ったノンフィクション『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』、毎日新聞大阪本社版に連載された童話『貝がらの森』ほかをスタジオ・エム・オー・ジーより刊行。ハンドメイドの絵本「小さな絵本」や『宙の猫島(そらのねこじま)』などオリジナル作品を随時発表している。

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20230701 Wall Paper for Phone
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第5話「ベリーのケーキと猫の夢」

 7匹の猫たちはベリーをたくさん摘んでカゴに入れると、家に向かって歩きはじめました。花は猫たちについて行きました。
「この森はとても居心地がよさそうですがベリーさんたちの場所なので、わたしは別の場所を探します」
 花はいいました。
 猫たちは丘の上にある家に帰ってくるとすぐに眠ってしまいました。花はいつの間にか、いなくなっていました。
 朝が来ると、青空が広がっていました。季節はすっかり夏になっていました。お日さまがキラキラと輝いて、きみどり色の丘を照らしていました。
「あれ? あんなところにお花さんが」
 キキが部屋の窓から遠くを指さしていいました。外に出てみると、黄色い花が丘の真ん中に咲いていました。
「猫さんたち、おはようございます。昨日は挨拶もなく別れてしまってごめんなさい。皆さんの後をついていったら、あまりにもよい場所があったので、ちょっと座り込んだら根付いてしまったのです。ここは山の影で日が当たるのに当たりすぎず、水はけも良いので雨が降っても根っこがくさる心配もありません。最高の場所です。猫さんたちは、よいところにお住まいですね」
「花さんが急にいなくなったので心配していました。それならよかったです」
 モモがいいました。
「それにしても、わたしたちの家がそんなにいい場所に建っていたとは知らなかった」
 キキがそういうと、猫たちは笑顔になりました。
 その様子を見ていたお日さまも、にっこりとほほ笑みました。

「みなさんにお伝えしたいことがあります」
 花はいいました。
「わたしたちの一族はとても強いので、一度根付くとたくさん仲間たちが生えてきます。時が経つと、ここら一面、黄色い花でいっぱいになることでしょう。この花は、猫さんたちにとって万病にきく薬草になります。いくらでもつんでください。花は猫の毛みたいなものですから、根っこから抜かない限り、また生えてきますのでご心配なく。どちらにしろ秋には枯れてしまいますので。もちろん春先から新しい芽をつけて夏の間中、花を咲かせます。いろいろお世話になったお礼に毎年必ずここで花を咲かせます。助けてくれて本当にありがとう」
 花の目から一粒の涙が流れました。
 猫たちは、その日、ベリーのジュースを飲みながら、窓の向こうの花を眺めて過ごしました。 
 午後になると、お天気雨が花に降り注いで、きらきらと輝きました。

「ベリーといえばケーキだね」
 ココがいいました。
「誰も見たことのないすごいケーキを作りたいね!」
 ロロもいいました。
 2人がそういうと、猫たちはどこからかボウルや泡立て器を出してきました。
「すごいケーキって、どんなケーキ?」
 ルルがいいました。
「何段にも重なった大きなケーキがいいな」
 リリがいいました。
「それがいい!」
 キキもいいました。
 猫たちは、大きなスポンジを焼きあげると、丸くカットして、シロップをたっぷり塗りました。それからクリームとベリーをたくさん挟み、大きいスポンジから順番に重ねていきました。その上にクリームとベリーと花を飾ると大きなケーキができあがりました。
「わーい、できた!」
 猫たちは、夢見心地でケーキを眺めました。
 ひとしきりケーキを眺めると、美味しい紅茶をいれて、みんなでケーキを食べました。

 ケーキでお腹をいっぱいにした猫たちは、その晩、夢を見ました。
 猫たちが天に向かって伸びるベリーのツタをのぼっていくと、雲の上にたどり着きました。夜空には、お日さまとお月さまがいて、何やらお話ししていました。お菓子のようなお星さまもたくさん輝いていました。
 朝が来て、起きると、誰ともなく夢の話をはじめました。
「雲の上は、ふかふかだったね」
 ルルがいいました。
「お月さまを、あんなに間近で見たのは初めてだよ」
 ミミがいいました。
 猫たちはみんなで同じ夢を見ていました。

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