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【#20】夏の朝にキャッチボールを
ひとりで辛いことでもふたりなら乗り越えられる。ちなみに私はひとり旅
ツール・ド・コンジョウ3日目、本日はアムステルダムからロッテルダムへ。距離にして72km。走行時間は9時-14時45分なので5時間45分。時間や距離よりもなんだか疲れた走行だった。
今までの日本での走行はいつも相方がいた。でも今回はいない。それは喋り相手がいないということではない。もし喋りたかったら現地の人に話しかければいい。オランダの人はドイツ人に比べて英語をオープンに使う。ドイツ人はドイツ語にプライドを持っているけど、オランダはドイツほどこだわってない感じ。観光客だからそう思うだけかもしれないけど。
今日の走行のペースは結構遅かったと思う。出費をケチってリアキャリアを買わずにバックパック背負って漕いでるからなのか。それとも後輪が慢性的なパンク疑惑が気になってしょうがないからなのか。あるいは群馬県ほどではないけど、海に近いこの国特有の向かい風のせいなのか。
漕いでるときは疲労という線は考えなかった。昨日は42kmの短い走行だったし、観光もたいしてしていない。でも、思い返すとホステルのルームメイトは爆撃機が真横で飛んでいるようなイビキをかいていて、夜中一度起きてからもう一度寝付くまで激闘だった。
同じ2段ベットの女の子、その子のともだちの身体に直に文字を書き込んで爆笑するためにボールペンを初対面の私に借りてきた女の子は、夜耐えかねて寝具一式を持ち出して廊下で寝ていた。朝出発するときに、清掃スタッフが廊下で突然死してしまったようになっていた。
原因がなににせよ、ひとりだとペースが確かに落ちるなぁと思った。ふたりで漕いでいると、大抵どちらかが元気だから片方がペースを引っ張ったりナビゲーターをして、もう一人はついて行く。あとお互い思っていて口に出さないけど、ちょっと風よけにもなるし。
ひとりだとペース落ちると、取り戻すヤツがいない。自分で頑張るしかない。全然進まないのに、だんだかグーグルマップの残りのキロ数と推定所要時間ばかり何度も見ている。いかがでしたか?で終わるアフィリエイト記事のように旅を終わらせるぐらいなら、苦しみながら漕いだ方がいいと漕いでない時は思う。
でも漕いでるときはケツが痛くて痛くて、お尻の痛みを軽減するための変なポジション取りでこの21年間生きてきたのではないかというぐらい変な姿勢で漕いでいる。ロングライドってこんなにキツかったっけと今更ながら思い返してるけど、やっぱり荷物のせいなのかな。
道中の景色は、地理の教科書通りのオランダで、牛がのんびり草を食み、風車が回り、たくさんの水路の中に小綺麗な邸宅が並び、園芸を営んでいた。ロッテルダムはちゃんと国際商業の拠点だった。
ロッテルダムのホステルに15時について、そこから街歩きして明日の水と食料を買って、ホステルのバーでハイネケンを2杯飲んだ。ひとりだけど染み渡る。それから部屋に戻って記事を書こうとしたけど、眠ってしまった。
目が覚めるとルームメイトたちが続々と戻ってきた、イタリア、イタリア、メキシコ、ドイツ、ドイツ、ドイツ、ドイツ留学中の日本人、国籍不明1名。
バーに一緒に行かないかと言われたけど断ったのに、なんだかやっぱ飲みたくてクラフトビールをもう一度飲んで寝ようと思う。
幸せになるのには別に誰の許可もいらない。ハイロウズの「夏の朝にキャッチボールを」のサビの歌詞。ここ最近で一番好きなマーシーの歌。確かに誰の許可もいらない。自分が幸せなペースで漕げばいい。ただ、ビールは誰の許可もいらないけど、お財布とは要相談。
現在までで累積250kmぐらい。東京ー大阪のときに換算するともう浜松ぐらいにいるのかな。明日はまた100km越えの走行。無理しないで無理します。明日はベルギーにちゃんと入国できるように。
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