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【小説】「ある日の想い出」

「ある日の想い出」①


「まりちゃん、朝ごはん出来たわよ~」


母の声で目覚める朝。
毎朝のことである。

私の寝室は2階にあるので急いでパジャマから着替えて1階に降りる。

「いい匂い~」

うん、いい匂い!
焼きたてのパンと目玉焼きとハム、それからアイスコーヒーが私の定番の朝ごはん。 コーヒーはホットよりアイス。 朝はご飯よりパン。 卵、肉、野菜、炭水化物、水分を撮るのが私の決まり。 パンがないときはシリアル。 でも、シリアルがないときは仕方なくご飯を食べるけどね。 仕方なくとは失礼かもねw


私?
自己紹介がまだでしたね。

私はこの家の次女で名前は鞠莉。

お姉ちゃんは一昨年社会人になり家を出た。
今は東京で印刷会社でバリバリと働いている(らしい)。

姉妹2人でずっと仲良く遊んだり勉強したりしてたけどお姉ちゃんが家を出てから庭で遊ぶこともコンビニで新商品がでたら知らせ合うのもなくなった。 あらゆることで競う相手がいなk


お姉ちゃんと私はずっとずっとお互いを意識しあって生きてきた。
と、私は勝手に思っている。


「まりちゃん、今日は部活遅いの?」
朝ごはん食べながらママが聞いてきた。

「19時頃には家に着くとは思うけど」

鉄道会社のアプリを見せて私はそう言った。

「最近はアプリでなんでもわかるのねすごいねぇ~」
ってママw


毎日、学校から帰るのが遅くなるときはママが駅まで車で迎えにきてくれる。 今日もママが来てくれるらしいので安心して帰宅れる。


「いってきます!」


ママに見送られて玄関のドアを閉めて駅まで歩いて向かう。
私にはこの駅までの道でちょっとした楽しみがある。

いつもの道でいつもの時間に出会う人たち。
犬の散歩してるひともいる。

学校を卒業したらこの風景も見なくなるのかな?
そう思うとこの時間を大切にしたくなる。


「おはよ!」


突然声をかけられて背中をドンっ!


「朝なのに顔が暗いよ~?」
そういったのは同級生で近所に住む歩夢。


歩夢は中学から学校が一緒で時々通学路で一緒になる。
私と違って歩夢は結構さっぱりした性格で可愛いから結構モテる。


「おはよ。今日おそくない? いつも10分くらい早いはずなのに」
歩夢は毎朝クラスルームの掃除などするために毎日10分くらい早く通学している。

「今日、寝坊しちゃったw たまには掃除お休みしてもダイジョブっしょ」

歩夢は楽天家。
私はこういう歩夢の性格に本当に憧れる。


駅に着き二人で満員電車に乗る。
学校の最寄りの駅まで20分電車に揺られることとなる。

たいてい朝の通学時間には電車では座れない。
座れるときは居眠りしたり単語覚えたりできるのだけれど。

20分って中途半端なのよね。
寝てもすぐ起きることになる。


「ね、あの人、恰好よくない?」
歩夢はそう言うと左斜め向こうのほうを指刺した。


指を刺した場所は電車のドアの傍。
手すりに背もたれして本を読んでるスーツの男性がいた。

私にはごく普通のサラリーマンにしか見えなかった。


「どこで降りるのかなぁ?」
歩夢はそのひとがどこで下車するのか気になるみたい。

私は適当に、
「もしかして、うちらと同じ駅かもよ?」

って、返事してみた。


「うっそー! じゃ、今まで毎朝見かけてたはずじゃん!」
歩夢が鼻で笑いながらそう言った。

そ....そりゃそうだw

でも、私が適当に言ったことが現実となる。
同じ駅で下車するだけでなくそのサラリーマン風の男性は私の学校のある方向に向かって歩き続けたのだ。

今まで見かけたことないけどこの辺で仕事してるのかな?

学校への道の途中で歩夢がコンビニに寄ってパンを買っていきたいというので私も付き添う。

支払いが済んでコンビニから出た瞬間にさっきの男性の姿が…….

ぶつかりそうになり道をゆずるために右に体を避けた。
歩夢もビックリしたみたい。


でも、私も歩夢もコンビニを出て学校へ向かう道ではそのひとのことを気にしなくなっていた。


そのひとが学校の前にあるバス停で並んでいる姿をみるまでは..........…

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