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【実話】『お金を積まれて、生きたまま幽霊にされる仕事』/『AIの中の人』

『お金を積まれて、生きたまま幽霊にされる仕事』

これは、私が失業保険をもらっていた時に、必死こいて面接や、派遣会社の登録会に参加していた時の話だ。

noteでは心霊お笑いホラー話ばかり書いているが、私の本業はITエンジニアだ。

数年前、不景気でもないのに、複数社登録している派遣会社からの仕事の紹介がゼロの時期が続いた。
さすがに焦りが出てきたし、これでは職探しの実績が出来ない。
仕方がないので、釣り求人ばかりの某求人サイトで、名前も聞いたことがないような極小派遣会社の募集を見つけてエントリーした。
すると翌日、派遣社員の登録をする前なのに、仕事の紹介メールが来た。私のスキルとぴったりマッチするので、話を進めてもらった。
先方が急いでいるらしく、私が派遣社員として登録する前に、派遣先との顔合わせの日時が決まり、登録会と顔合わせを1日で済ませる運びとなった。
「ふーん、そんなこともあるのかあ。小さすぎる派遣会社だから、なんでもありなんだろうか」と思っていた。

登録会と顔合わせの当日。
派遣会社の個室で数枚の用紙に記入した後、担当者と軽く面談をし、派遣社員の登録が完了した。次に、紹介された仕事の詳細を聞いて、そのまま面接に挑んだ。

派遣先は、小さなベンチャー企業であった。
コロナ禍前の年であったが、リモート面接だった。
私と派遣会社側は、カメラオン。
派遣先の社員は3名全員、カメラオフ。
名前も、苗字のひらがなかローマ字しかない。普通は1人くらい社員の顔は出すものだと思うが・・・。派遣先の社員達がカメラオフどころか、顔写真すら無しを徹底するのは初めてだったので驚いた。

仕事内容は、大手SIer(エスアイヤー)が手がける案件で、大手ドラッグストアチェーンのポイントカードやアプリのデータを活用するシステム開発とデータ利活用。仕事量が膨大で、データが複雑なため、作業の人手が足りなくなり、急遽、派遣社員を雇い入れることにしたらしい。
ここまでは、よくある話だ。
私は類似の仕事を今までしてきたので、そのベンチャー企業から「早急に来て欲しい」と言われ、即決で決まりかけた。

だが、この後の「出社当日の流れの説明」から、話がおかしくなっていく。

出社当日
①まずはクライアント先に赴く。
②ビルには入らないで、ロビーで派遣先ベンチャー企業の社員と会う。
③業務資料をもらい、業務の説明を受ける。
④会社支給のパソコンもスマホもないので、資料を受け取ったら帰宅する。
⑤自宅から、私所有の個人のパソコンをクライアントのシステムに繋いで仕事をする。
⑥なお、私が大手SIerとオンラインミーティング等で対面する機会はない。私が参画していることは秘密なので、名前も出してはいけない。大手SIer側には絶対気が付かれてはいけないので、余計なことはしないように。

普通「幽霊社員」というと「仕事をしておらず何をしているのかわからない」「存在感が無い」という意味で使われるが、なんと私のポジションは「存在が悟られぬよう」徹底されている、ガチの幽霊派遣社員なのだ!

会社のパソコンすら支給されず、クライアントのシステムに「個人のパソコンを繋いでください」だって!?
大手ドラッグストアの個人情報満載のデータベースに、私個人のパソコンでアクセスしろって?
いくら存在を隠した幽霊社員でも、ログから存在がバレるだろうが!
VPN接続なども、どうなっているのか?セキュリティはガバガバなのか?

不正アクセスでお縄になって、全国ニュースで流されて、世間からバッシングされ絶望した挙句、富士の樹海で本物の幽霊になるストーリーが頭に浮かんだ。
最悪、2度、幽霊にされてしまう!

しかし、何故そんなことをするのか???
普通に、1人増えましたで良いだろうに。
意味不明なので、潔く断った!

その場はそれで収まったが、30分後、派遣会社から電話がかかってきて、派遣先から「報酬を上げるので、どうしても就業してほしい」と言われた。

「その額の月収は今まで貰ったことないよ」という驚きの金額を提示された。フリーランスでもない派遣で、その月収額は異例!

こんなに、お金を積まれるなんて。

怖えぇよぉ〜。
逆に怖えぇよぉ〜!

お金を積まれても、私の判断は狂わなかった。この仕事は危険だ!そもそも、クライアントのシステムに、内緒で個人のパソコンを繋げというクレイジーな奴らだ。お金を払わず逃げる気がする。

なので断固としてお断りして、もう関わらないことにした。

この一件を思い出す度に、あの大手SIerに「求人で、とんでもない話がありましたよ」って、通報したほうが良かったかなあと考える。でも、手元に資料も証拠もないし、めんどくさいから何もしない。

ITの求人で下請けの下請けの下請けの・・・となるほど、怪しい求人の出現率が上がる。
特に派遣会社が小さくなればなるほど危ない。知識がないのか、犯罪行為である偽装請負を平気でやってしまうところすら、未だにある。

不祥事続きのマイナンバー事業も、こんな感じで展開されていないことを祈る。

落ちぶれが止まらない日本の闇の一角は、今もまだ、放置され続けたままである。


『AIの中の人』

AIシステムを使って、膨大な仕事を受託している、とある企業の話。

私は「繁忙期の期間限定業務」で働いたのだが、AIを駆使しているという割には、募集要員の数が多すぎるなあと、当初から疑問に思っていた。

業務を始めて2週間した時点で、ようやく、この業務の意味と全貌が掴めた。

なんと!
売り出しているAIサービスは、性能があまりにもへっぽこ過ぎて、まぐれ当たりくらいでしか仕事が出来ていないという秘密があったのだ!
そのため、膨大な仕事を捌いているのは、事務所にいる人!人!人!
しかもリモートですらない、全員出社。
なんというアナログ。

私はエンジニアなので、からくりがわかったが、他のアルバイトの人は、そんなことには微塵も気が付いていないようだった。

AIの中には人がいたのだ!!!

派遣会社や求人アプリでも求人が追いつかないらしく、かなりの数、シルバー人材センターから来ていた。ご老人達が怒涛の如く入力作業に勤しんでおられた。肩こりでヒーヒーいっていた私は、8時間座り作業で、1時間に10分の休憩すらないのに、苦にせず、文句も言わずデータ入力し続ける老人集団に驚いていた。

この光景に題名をつけるとしたら『ポンコツAIとスーパー老人集団』だ。

『ポンコツAIとスーパー老人集団』

ちなみに、この画像は、マイクロソフトの画像生成AI「Bing Image Creator」が作成した『ポンコツAIとスーパー老人集団』だ。

ポンコツなセンスが輝いていて、ゾワッとくるものを感じる。これが「不気味の谷現象」というやつか。


デジタル大辞泉 「不気味の谷」の意味・読み・例文・類語

  1. ぶきみ‐の‐たに【不気味の谷】

  2. 人型ロボットなどの様態があまりにも人間に近いときに、見る者に違和感や嫌悪感を抱かせるとされる現象

  3. [補説]ロボットの他、CG映像などについても用いられる。


あ、いや、ただ悪趣味な感じの絵面にゾワゾワくるだけなのか?
「おばあちゃんがセーラー服」の組み合わせは意味不明!アウト!
アンマッチでも『セーラー服と機関銃』(赤川次郎 作)は名作だけど、
現時点のAIは、名作を作るセンスが欠けているのかもしれない。



「AIの中に人がいた光景」を見てしまった私は、今でも疑ってしまうのだ。

ChatGPTの正体は、実は博識の「Chat爺PT」なのではなかろうか?と。

マイクロソフトの画像生成AI [Bing Image Creator] が作成した 「Chat 爺PT」の絵

不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。