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【実話ホラー】最先端の病院にも、やはり"奴"はいた

2年半もの間、"謎の呪われ怪現象"に見舞われ続けた私は、生まれてこの方、ずっと健康体だったのに、いつのまにかに極度の貧血と、最高血圧216、最低血圧155になっていた。

半年間通院していたが、ついに、根治治療のために大病院に入院して手術をすることになった。※血圧の治療ではなく貧血の根治治療
(ちなみに血圧は200を超えても、まるで自覚症状はなかった)

これは2番目に高かった時

人より霊感が強い私には気をつけなくてはいけない事があった。それは「古い病院は避ける事」だった。私は家にいても、しょっちゅう心霊現象に遭うのに、古い病院にいては、余計に遭遇率が上がってしまう。以前、古い病院に親戚が入院していたのだが、そこで夕方に死神に遭遇した。ただただ暇人の様に座り込んで壁に寄りかかっている死神の周りの空気は、少し冷たかった、と記憶している。
ああいうのには遭いたくないので、病院は新しいところを選ぶことにした。幸い、最先端の出来立ての大病院が近くにあったので、かかりつけ医に紹介状を書いて貰った。

もちろん、すぐに入院にはならず、何回か通院した。最先端のピカピカの病院で、パワフルな空気清浄機が稼働していた。空気に澱みがない。
空気清浄機といえば「除霊ができる?」と、一時期話題になったもんだ。

空気清浄機の除霊効果はわからないが、古い病院の薬品の染みついた様な独特の匂いは、このピカピカの病院にはなかった。高性能な空気清浄機の他にも、光を用いて文字やアイコンを床面に表示する、ライティング誘導ソリューションなんかも使われていた。
そのせいか、通院期間中も、未成仏霊などはお持ち帰りしなかった。

幽霊が好む、暗くてジメジメしたレトロさが微塵もない!デジタル化を拒絶する会社の"窓際族"さながら、幽霊はハイテクが苦手なのかもしれない。

血圧は薬の力で、1ヶ月半で216から100まで落ちた。ほとんど副作用も起きず、薬でここまで出来るのか!
現代医学の力には、心霊現象なんかよりも、ずっと驚かされた。

ちなみに総合病院なので、副腎などのMRI検査、心エコーや心電図も全部した

こうして手術の準備が整ったので、ようやく入院が出来た。
腹腔鏡手術を終え、地獄の抗生剤の副作用に耐え、退院前日には、院内の売店で買い物できるくらい体力が戻ってきた。

自分が不調のうちは気がつかなくて、元気になるにつれてわかるようなのだが、病人から発せられる邪気溜まりの凄さに気がついた。
4人床では、しょうがないか。
個室にしたいけど差額ベッド代が高すぎて無理!しかし、絶対自分からも邪気が出まくっていたので、他人のことは責められない。
霊感体質者の必需品「ホワイトセージスプレー」があれば、浄化できたのに〜、と後悔したが、明日には退院だ!

やはり、新しい病院にはいないのか?
約1週間、幽霊らしきものは深夜でも見かけることはなかった。
「もし幽霊のようなものが見えたとしても、この病院の中なら、プロジェクションマッピングとか、VR体験かと思っちゃうだろうなあ。それこそ、本格的にメタバースな世界になったら、幽霊の存在意義って、どうなるのかなあ・・・」などと、哲学的なことを考えていたら、眠れなくなってしまった。

・・・眠れないまま、丑三つ時になってしまった。
まあ、幽霊来なかったし、全然平気。
と、思っていたら、なんと!

なんか来たーーー!!!
とうとう、来たのである。

瞼の裏に映像が映る。
ジブリのキャラクターのカオナシに似た、鉄仮面のような硬直した表情の面長の男が、ジッと私のことを凝視しているのである。ただの、幽霊ではなさそうだ。

死神ではない。死神なら、もう少し冷たさをまとっている。これは、病魔の一種か?
疫病退散厄除け札で全国的に有名な「角大師」のような雰囲気を醸し出していた。


昨今では”ゆるかわ”キャラクターと思われている 恐ろしい角大師

幽霊慣れしている私は、そんなに焦らない。
「看護師でもない、お前なんかが回診に来るな!」とムカついた。
無言でジッと見てくる、そいつに向かって、心の中で「超元気ーーーーーーーーーッ!!!」と叫んでみた。だが、そいつは表情一つ変えずに、完全に無視して、覗き込みを続行している。ストーカー気質で、ウザい。"無"なくせに、その情熱は何処から来るのか。

以前はよく、お経を唱えて除霊していたのだが、ここは4人床だ。
深夜にお経なんて唱えだしたら「お経唱えてる奴がいる!ご臨終なのか?」と、部屋の誰かにナースコールをされて、噂になってしまう!!!
明日退院なのに最後の最後で、そんな黒歴史を作るのは、ごめんだっ!

「うう、お経もダメか!」
だが、一つだけ手があった!私は、スピリチュアルの技術の1つ、浄化の炎"シルバーバイオレットフレーム"という霊的炎が使えるのだ。


「シルバーバイオレットフレームーーーー!!!」と、少年漫画の必殺技のように、心の中で叫び、炎のエネルギーイメージで、鉄仮面のカオナシを灼き払ってみた!
消滅したのか去ったのかはわからないけど、奴は、その直後には、いなくなった。
「この技、そんなに効くんだあ」
まさかあいつも、突然燃やされるとは思わなかったろうな・・・。


「なにはともあれ、めでたし、めでたし!」
その後は、安心して爆睡した。

翌朝、突然、退院前の回診に主治医が来た。
来ると聞いていなかったので、私はパニくった。

昨晩の"病魔による恐ろしい回診"の余韻が残っていた私は、主治医に「どう?」と聞かれ「めっちゃくちゃ、元気でーーーっす!!!」と、爆上げテンションで答えてしまった。

主治医は、目をパチクリさせて、面白そうにニコニコしていた。

こんな患者は、珍しかったかも・・・。

不運な人を助けるための活動をしています。フィールドワークで現地を訪ね、取材して記事にします。クオリティの高い記事を提供出来るように心がけています。