我が家とマリファナ 娘編

娘は生後あっという間に頭が座り、うつ伏せにすると頭を持ち上げて腕で支えていた。とにかく運動神経がとても良い子供で、とにかく転ばない。
怪我が非常に少なかったのでバンドエイドとは縁がなく、接種後のバンドエイドが怖くて泣くほどだった。手先も器用で、2歳になる頃にはハサミを上手に使い折り紙で雪の結晶を作っていた。
当時夫はPh.Dを取るため大学に通いながら私立学校のソフトウェアを作っていた。その私立校は保育園から高校まであり、娘は2歳からモンテソーリ教育を受け始めた。

2年間保育園に入った後幼稚園に上がったのだが、日本で言うと5月生まれで前学年に、つまり他の子よりも1年早く入ることになった。
学校側は勧めはしなかったが、私たちの希望でそうしてもらった。これはも後ほど後悔する事になる。

娘は、私たち夫婦とは全く違い社交的、運動神経抜群、所謂『女の子』的な遊びよりも『男の子』的な遊びの方が好きだったようだ。
小学生になると苦手な教科とか出てきたが、努力して学ぶのは苦手なようだった。
授業中はずっと絵を描いて逃避していた。
理数系は苦手だが言語能力は非常に良く、州のテストでも年齢よりもはるかに上の成績を取っていた。(これはずっと続いた)
小学校高学年になり女の子がより女子化してくる頃、彼女はそうならなかった。私も同じだったので特に何とも思わなかったが。

その後引っ越したこともあり、中学生からは公立中学に通うこととなった。
これまでの1クラス10人程度だったのが一気に増えた。
そこで娘のおかしい部分が見えてきた。
 授業を聞いてない。
 提出物は持って行ってもいつ出すのかいいかわからなかったという。
 バックパックの中はぐちゃぐちゃ。
 やりたくないことはどうしてもやりたくないと逃げる。
 年齢よりも幼い気がする(注1)。
 やたらと人のせいにする。
1年目はずっと通っていた私立学校とのシステムの違いで慣れてないからだと思ったが、2年目には母の勘で絶対娘はどこか違う、と思った。
夫は最初信じなかったが、調べるうちに同意するようになった。
それまで私は夫がアスペルガーだと言っても信用してくれなかったのだが、やっと彼自身にも娘と同じものがあるのを納得した。
その頃私はカサンドラ症候群になっていた。

学校や先生とはいろいろとあったものの(注2)、小児科医の勧めもあってADDの投薬を始めた。この薬は覚醒剤成分も含まれるので食欲はグッと落ち、夜もなかなか眠れなくなる。しかし効果はすぐに表れた。宿題は提出してくるし授業も聞くようになった。(相変わらず授業中絵は描いていたが)
残念ながら薬が効いている時は冷静すぎるくらいで、以前の明るい可愛さは消える。
しかし週末や学校の休みの日は薬を飲まなかったので全く普通通り、食欲も普通に戻るので特に薬に対する心配はしていなかった。

投薬のお陰で成績も上の下か中の上程度を続け大学生となり寮に入った。
当然のごとくマリファナやマジックマッシュルームの機会が来る。
(後で聞いたところ高校生の時もそういう機会はあったそうだ)
夫も夫だったから私たちは何も言わなかったし、娘もマリファナについて普段匂わすことすらなかった。
しかしアルバイトをしない彼女は金銭的に余裕もなく、貰いマリファナ程度だった。

大学卒業後に医療用マリファナが解禁され、メディカルカードを作り、夜になるとガレージに行って吸っていた。
薬で食べられないのが食欲増進そして快眠に、彼女にとってはマリファナも薬の一部となった。

メディカルカードを作るのは簡単で、専門の医者に行けばほぼ100%簡単に手に入る。
マリファナが効果があると言われる症状はとにかく多いので、誰でも何かしら該当するものはあるかと思う。

彼女の夫はマリファナに理解はあるが、仕事上絶対にやらない人である。
やりたいと思わないそうだ。
彼と同居してからは、仕事のためにも投薬は続けている。
ただマリファナ事情は変わり、たまにエディブル(チョコレート)を楽しんでいるだけとのこと。娘も結婚して自分の責任を持つようになり、いろいろな面で成長したようだ。

(注1)この幼さに関しては1年早かったせいだと思っている。
精神的な成長をもっと考慮するべきであった。

(注2)学校側は、娘は授業を邪魔するタイプではなく、特に出来ないわけでもなく、大人しいので問題があるのを認めたがらなかった。
私にしてみると『もっとできるのに』と残念に思うが、学校側は『そういうものです』と。



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