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◆母の旅支度③

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続いて母本人にも病状を説明をするとのことで看護師が病室へ迎えに行った。

母の状況を聞いて男三人で沈黙した、、
すぐさま看護師と母が車椅子に乗せられてやってきた。
1ヶ月分ぶりにあった母の第一印象、弱っている。生気がない。
つま先はもう突っ込んでいるかもしれない

肝臓が悪いからなのか、黄疸が出ている。
身体から管が伸びている
肩で息をしている。呼吸がしんどそう…
意識はハッキリ声は少ししゃがれてる。

コミュニケーションは可能だか流暢に喋れない。
相槌はでき、一言二言絞り出すように話す。

母が朝から水も飲めていないというので
看護師に自動販売機でペットボトルの水を買ってきてもらう。

ペットボトルのキャップを私が開け、母に渡す
少しずつ飲む、ボトルを傾けるのも少しおぼつかない。                                    
こぼれそうなので、自分のポケットに入っていたタオルハンカチを差し出す。
母を体感したのか、安堵と心配が交差した。
眼に涙を浮かべ、涙をこぼすまいと上を向い鼻をすする。

再度、医師から母を含め病状の説明。
わかりやすく丁寧な説明を母はうなづいて聞き入れていた。
ショックを与えないよう命が危険な状態というワードは伏せ、
現状況と生検を実施するかを家族で考えてほしいと
医師の皆さんそっと席を外した。。
先生が立った後、瀬戸際の家族会議が始まった…

沈黙を破ったのは父
原因がわからないと治療出来ないから原因を調べてみようと母へ諭すように話した。
母はふぅ〜んとなんとも言えない返事をし、そういうならやるわ、と返事をした
そのあと、どうしてこうなっちゃったんだろうねぇ〜とぼやいていた

家族会議の結論はでた。
しかしながら私は感情が溢れて涙をこぼさないよう必死だった。
なぜ母がこんな目に、、、お母さん死んじゃうの?という気持ちだった。
とても母を安心させるような気丈な振る舞いはできなかった…

一方、父と弟は冷静に気丈な振る舞いをしていたようにみえた。
まだ、望みはあるような瞳をしていた。

私は多分直感的に母の生命が瀬戸際にいることを、感じてしまったのかもしれない。
その事実を受け入れることができず、感情に呑み込まれる始末
30すぎのおっさんがなんとも情けない。

父が私を見て、大丈夫かお前?というが、
花粉症が酷くて…と母の前たでめいいっぱいの嘘をつく。

母が「この時期花粉症すごいよね、でも病院内は不思議と大丈夫よ!」と雑談する。

あぁ、まだしっかりと話せる元気はあるんだなとすこし安堵

感情の起伏が落ち着いたところを見計らって、外に待機している看護師へ結論を報告。
看護師が医師へ確認しに行き、返ってきて今日は解散となった。

看護師に車椅子を押され、病室に戻る母の後ろ姿を見送った!
まだしっかりとしており振り返ってじゃあねと手を振る。


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