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紡がれる物語【星包】

星喰が摂取したものが結晶化したもの。
摂取したものにより結晶内に内包されるものが変わる。
星喰は天災級の魔物のため討伐は非常に難しく1体討伐するまでに2つの国が滅ぶと言われている。


滅んだって構わない。私を武器として扱おうとした、私を実験台にした、あんな国なんて。
〈泡沫美月〉


「星喰さん、おねがいです。もう星をたべないでください。病気のおかあさんは、まどから星をみたときだけ、わらうんです。だから、おねがい…」「………」
「わたしは、おかあさんの笑顔が、みたいんです」
「………」
「これは、なあに?…星の、かけら?」
「………」
「くれるの?ありがとう!」
〈星奈〉


「天文学者だった父は、一度書斎に篭もると全く相手にしてくれなくて。」彼女は風に舞う髪を抑えてそう言った。
「書斎の部屋の鍵をなくして入れなくなってしまえばいいと、幼い私は思ったの。」
悪巧みするように笑う。
「鍵には、装飾がついていて、陽に当てるとキラキラしてた。」
「だからね」
「呑み込んだのよ」
こちらを見た彼女。その瞳。銀河。
〈カイ〉


ああ、あなたがここまで逃げてしまって本当によかった! 私達はこれで永遠ね
〈もるね〉


星が瞬く夜空に翠光のカーテンが揺らめき、夜の色を深い蒼黒色に染め上げる夜に切り出された木材の中には時折、その夜空に染まった木が見つかる〈翠雪〉


『星喰の墓場って知ってる?まぁ、ここらじゃ有名なパワースポットだから知ってるか。これね、原石がたまーに墓場に落ちてるんだよ。これを加工して、大事にしてくれる人に買ってもらうのが、僕の仕事。さぁお客さん、どれにする?』
〈金属〉


星喰の墓標。発掘者はそれが生きて死んだ物語に敬意など払わず、淡々と結晶を集める。
曰く。
「旦那。あんなに大きくて強い生き物が、あっしらみたいな小さい生き物の流儀で敬意を払われたって嬉しかないでしょう」
ヒトの卑小さに染まらぬ故に、結晶はどこまでも深く青い。
──旅商人モルの日記より
〈東洋 夏〉


これが、『星包』よ。過去に一回だけ星喰の討伐依頼があってね・・・。
依頼主は、どうやら私を殺すためにこんな依頼をしたみたいだけれど。
地形は変化せず、私は生き延びた。
・・・どういうことか分かったら、貴方を私の正式なパートナーにしてあげる。
〈泡沫美月〉


面白い人間を見つけた。
魔力も素質も才能がない、
ひ弱な若者。
それでも星喰の魔獣を使役する
召喚士になるのだ、と。
その心意気に惚れ込み、
私は頭を垂れ、
彼の者を我が主人と認めた。
しかし彼の者は、
私を拒んだ。
〈りりむ〉


Q「ほしくいはさみしかった?」
A「この結晶を取り出した個体は、ずっと空を見ていたんだ。剣が刺さっても魔法がぶつかっても人間を見なかった。星喰の心を知ろうと思った君は、良い感性を持っているね。大きくなったら一緒に研究しよう。星喰もきっとその日を待っているよ」
──結晶博物館の質問箱
〈東洋 夏〉


しかし、一体何を摂取したら、こんなに黒くなるのかしら?
・・・本当、調査のしがいがあるわね。
〈泡沫美月〉


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