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紡がれる物語【デスサムサの氷湖結晶】

極地デスサムサに複数ある氷湖の一つデスサムサ湖から採取される結晶。
各氷湖には特徴的な結晶がそれぞれ存在し、デスサムサ湖からは純白の雪と透き通る氷のような結晶が採取できる。
デスサムサ地域はギルド管轄下にあり、ギルドに認められた者のみが立ち入りを許される。


「――答えよ冒険者。何故に貴様は、この結晶を望む?」
冒険者レプターは、通称『デスサムサの番人』の前に、膝をついていた。
全く歯が立たない。傷一つ付けることは疎か、近づくことさえままならなかった。
だが、結晶は手に入れねばならない。
何故ならば。
レプターは口を開く。
「……それ、は――」

***

「……で、『デスサムサの結晶』を手にしたんだ」
「何だよそれ!お前の言った理由は何だったんだ!」
「教えねーよ……番人との約束だからな」
憐みを含んだ笑みを浮かべた『デスサムサの番人』の姿は、今も忘れられない。
レプターは、墓の前に置いたあの結晶を想いながら、笑みを浮かべた。
〈n00ne〉


どうも、こんにちは。結晶を採取しに来ました。もちろん、ちゃんとした依頼として来ていますよ?手続きだって…
「本当に相応しいか、証明してみせろ」?・・・いいじゃない。やってあげるわ。そちらの事は、既に調査済みなので。
〈泡沫美月〉


「デスサムサの立入り許可基準? 精神力です」
管理官は私に書類を突き返した。
「寒さは心を奪うもの。頑なであれば割れ、やわであれば凍ります。氷湖は精霊の領域で魔力も乱れますし。ああこれ本物ですよ」
ならば我が掌に乗った結晶は、強き心を育むものとして商おうか。
──旅商人モルの日記より
〈東洋 夏〉

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