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[45]彼岸花 三句

あぜ道に野火走るごと彼岸花

時を知り巡礼するや彼岸花

彼岸花稲穂見守る六地蔵


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秋の陽射しを湛え、
稲田はいちめんの黄金色だ。
そしてその黄金色は日に日に色を深めていく。

その変化を楽しんでいると、
ある日突然、
その黄金色を切り裂くように一筋の真っ赤な炎が走る。

彼岸花だ。

あまりに突然に、
あまりに一斉に、
あまりに鮮烈で、
その時の私には
一瞬で野を走る野焼きの炎のように激しく見える。

そしてある時の私には、
あぜ道に仲良く肩を寄せ合って
日向ぼっこしながら風に揺られている、
繊細で可憐な存在に見える。

ある時には、
整然と静かに佇んで、
田畑の実りを祈り見守るお地蔵様を想像する。

彼らはただ粛々と、
然るべき時に然るべきことをしているだけなのだけれど。


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