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寝具だけでは解決しない睡眠の悩み

「眠れないんですけど、枕が悪いんでしょうか?」ということを言われることがあります。寝具にお金をかけて、快適な睡眠を求めることはとても重要です。睡眠は身体を回復する為に必須のことですし、健康でいよう、命を大切にして、日々の生活を楽しもうと考えると、具体的に睡眠の問題に取り組まなくてはならない。

そういった意味で言うと、枕やマットレスなど寝具を選択するのも効果的なやり方です。しかしまぁ寝具って高いですね。快眠と健康を担う寝具に高いなんてあるのか、と言われたらさすがにおっしゃる通りでして、自分の命よりも大切なものがこの世にあるはずがない。というより、自分の命より値段が高いものがあるはずがない、とは思います。しかしですよ・・・。

整体の観点から申しますと、眠れないのは寝具の問題だけではない。もっと言うと寝具の問題は誤差でしかありません。もちろん整った寝具の方が快適に眠れるでしょう。しかし、それよりももっと大切なのがお身体そのものです。

整体の考え方に全生というものがあります。文字通り全身全霊で生き切るということです。全身全霊で身体の隅々まで活用したら、自然と眠る。そしてまた次の朝に目覚め、全身全霊で全身を使って生を楽しむのです。

しかし現代社会においては全身をくまなく活用することは難しい。個人的な問題ではなく、社会的な問題でもあります。お仕事でたくさん目や頭を使う。身体を使うというよりはそういった労働が多い場合、身体疲労よりも神経疲労の方が強い。お仕事をしてきて疲れているのにベッドに入った途端、目がさえるという人は神経系の偏り疲労がある人です。神経が過敏状態になっているので眠れないのです。

そういった人は神経過敏の調整をしてから眠るとしっかり眠れます。お手当ての例で言うと目の蒸しタオルをする。これは蒸しタオルがいいです。その他の器具ではあまり効果がない。むしろ悪影響になることもありますのでご注意ください。

目の蒸しタオルをすると目の緊張から解放され、神経の緊張も緩んできます。高価な寝具を購入するのもよいですが、目の蒸しタオルはお湯を沸かすだけですから、費用対効果は計り知れません。寝具を検討する前に目の蒸しタオルをなさってはいかがでしょうか。

目の蒸しタオルのデメリットはふたつ。
ひとつはやけどをしないこと。目の周辺の皮膚は薄いですし、神経過敏となっている目は過剰に熱さを感じることがあります。それとは反対に神経過敏が故に感覚が鈍くなっていて、熱さをあまり感じないこともあります。どちらにせよ、蒸しタオルの熱によるやけどに注意が必要です。
もうひとつはめんどくさいこと。寝る前に新しいことをやるのはとにかくめんどくさいです。それ故に忘れてしまう日も出てきて、ついにはしなくなる。で、結局は「蒸しタオルなんて効果ないじゃん」って結論付ける。

たしかにめんどくさいですが、寝る前に台所に立って、お湯を沸かして、やけどしないように蒸しタオルを作って、目に当てる。それがご自分の神経緊張を和らげ、安眠でき、健康につながるのであれば、何をそんなにめんどくさがることがあるのだろう。

「先生、蒸しタオルをする時間がなくって」と言われるたびに、このように思います。お湯を沸かして、蒸しタオルを作って、目に当てる。これを3回繰り返しますが、時間としては10分から15分くらいです。この人にはそれくらいの時間もないのだろうか?と。そして目の蒸しタオルをする目的は安眠する為、神経の緊張を休めるため、ひいては健康になる為、そしてご自分の命を守るため。それ以上に大事な用事って何なのだろう?と。

眠りはとても大切です。眠る環境を整えること、それには寝具ばかりではなく、お身体の調整も含まれているように思います。

読んでくださってありがとうございます。とてもうれしいです。