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咳をする身体

 整体をやっていますと、その人それぞれの訴えといいますか、その人その人によって症状は異なるわけです。正座をして、おじぎをして、いかがですか?とお聞きして、それからああだこうだと言うのはその人その人によって違うのですが、まぁそれはそれぞれの生活様式が違いますし、考えていることも違うわけですから。訴えが異なるのは当然のこと。

 しかし、整体に来られる人というのは、たいていが同じような身体の異変を訴えられることも事実です。

 同じ、腰痛なのだという訴えをする人。そのなかでも、それぞれ特徴的でありますし、同じようなものはないものです。たとえば同じ腰痛でも肉体労働者の腰痛とデスクワークの人の腰痛は同じようでまったく違います。男性と女性の腰痛でも異なります。

 同じ、腰が痛いんだという訴えでも全然違う考え方をしないといけないわけです。


 ですが、その身体ひとつひとつは異なるのにもかかわらず、同じような形と言いますか、形状、反応を示していることもあります。


 今回、そういった経験をしましたのでちょっと考えてみようかな?と思います。


 ぼくはこれまで週に2回ほど大阪に出張し、整体をしてきました。つい先日も行ってきたのですが、そこにはいろんな人が来られます。年齢や性別もまちまちです。膝が痛い、腰が痛い、肩が痛い、もう全部痛いって言う人もいます。困ったもんでしょう?

 そのときはちょうど春分の日を過ぎたあたりでしたから、春のことも考えていました。


 愛光流では季節の身体というものを考えていきます。早い話が春であるのに春でない身体をしていると体調を崩すのです。

 季節は移りかわり、立春を過ぎ、花咲く春がやって来ています。まだわずかに朝晩の冷え込みを感じる日もありますが、概ね春らしい陽氣となっています。桜もボチボチ咲き出したそうです。そういうのにも関わらず身体はまだ春を迎えていない人がいます。そういう人はあれこれと体調の不具合を生じるのです。

 このように季節に応じた身体でない人、そういう人が春は春らしい身体になるように導いていくのがわれわれの仕事なのです。


 ちょうど大阪で来られた方の身体を観ていて思ったことなのですが、春の身体にまだなりきれていない人が多いように思いました。とはいえ、春の身体になるのはそう簡単なことではない。簡単なんですよ、簡単なんだけど現代人においては簡単じゃない。

 季節は大きく分けてふたつあります。単純に言うと気温が高いか?低いか?です。春と夏は気温が高い。秋と冬は気温が低い。これは改めて言われなくてもわかっていることです。春と夏、秋と冬をそれぞれ同じグループだと考えると、それぞれの極みである夏と冬。これはわかりやすく対称的です。しかし、その移行期間である春と秋は切りかわりが難しい。そのため、体調の不具合を起こす人が春と秋に多くなるのです。冬の身体が夏に向けて変化していく。その移行期間と言うべき春には身体の異常が出やすいのです。

 愛光流ではそれぞれの季節に対応した身体へと導くために整体操法を設計していきます。それぞれ五臓を中心とした操法の組み立てがあり、それらはある程度確立されています。


 さて、春の身体になりきれていない人には春のことを考えればいいのですが、ちょっとあれ?って思った部分もありました。それは比較的、呼吸が浅い人が多かったこと。

 呼吸が浅いと眠りもよくないですし、緊張も取れにくい。この場合の緊張は、精神的な疲労と言うか頭の疲れと言った類のものです。まぁそういう具合に緊張しているもんですからよく眠れるはずもありません。

 なにか悩みごとでもあるのか?とも思いますが、正直言って悩みごとのない人なんて存在しません。

 誰でも悩みのひとつやふたつあるものです。多い人ならもっとあるでしょうけれど。その悩みがどういったものであっても、たとえ他の人からしたら悩むまでもないことだったとしても、本人からしたら大真面目に悩んでいたりします。

 これは逆に考えると呼吸が浅いから悩みが増えるとも言えます。呼吸を深くすることで悩みごと自体はなくならないかもしれませんが、悩みごとの大きさ自体は小さくなると思います。


 春だから悩むのか?悩みがあるから悩むのか?呼吸が浅いから悩むのか?

 

 今回とくに感じたのはわきの下が硬い人が多かったですね。肩で息をするという言葉もあります。肩で息をするという言葉は荒い呼吸、息苦しい呼吸というイメージがあります。身体がつらいときにする呼吸です。そもそも肩が硬い人は息が浅く、身体の熱を放散しにくいという特徴があります。そういう人は熱を放散するためにコホンと咳をしているのかもしれませんね。

 そう考えるとコホンと咳をする人は単に春への道をたどっている人なのかもしれません。今、街中でマスクをせずにコホンと咳をするだけでも白い目で見られることがあるかもしれません。わきの下を緩めることで春の身体への移行がスムースになるかもしれません。

 医療崩壊が叫ばれる現在。整体の知識を生活に活かしていくことも考えていただきたい。正当に恐れて正当に対処していくことが肝心です。みんながみんなパニックになって病院へかけこむと医療崩壊が起こります。そうならないためにも、健康に対する知識、身体に関する知識を増やしていくことがたいせつです。


 本日もお読みいただき、ありがとうございます。


 




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