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みぞおちを柔らかく

深く息をすることって案外難しい、ってよく言われます。みぞおちを柔らかくして、ゆっくりと呼吸してください。そういったことを整体操法が終わったときに言うのですが、「はい、わかりました」って終わる人。「こうですか?」って目の前でやってみる人。

目の前でやってみる人の大半が「息をするのって難しいんですね」って言う。


息が浅くなりがちで、でもそういったことに気が付くこともなく、日々の業務をこなしていますと、なんだか妙に疲れたような気分になる。

肩が凝ったのか?頚が凝ったのか?なんだかよくわからない。

ご飯を食べても寝てもあまり変わらない。

深呼吸のひとつでもしてみたらいいんだけども、案外難しい。

深呼吸をしようと思っても、あれ?そんなに吸えないや。

吸うと息苦しくなって、すぐにはいてしまう。

吐く息も勢いはあるものの、すぐ終わる。

腹式呼吸が推奨されているけども、いざやってみると難しい。

そうか。息をするってほんとうは難しいことなんだ。


現代社会はスピードが命。メールを返したり、返事をしたり、yesかnoかの決断をしたり、代替え案の提案も、それに対するyesかnoかの返答も。とにかくスピードが命。

とくにビジネスの世界ではスピードが命。他人の時間を強制的に奪う電話は嫌がられ、メールなどの電子文書でのやりとりが大半を占める。

そういった社会。そんなスピードに対応するために人間は息を止め、息をこらえることでスピード社会に適応してきた。

息つく暇もない。

そういった速度で社会が進む。ビジネスに、経済に支えられた社会だからだ。ビジネスや経済が停滞すると社会が停滞する。

別に社会が停滞してもいいじゃないか?

そうはいっても世界中がそうなのだから、自分だけがそれで済むこともない。また、目を見張るようなスピードで社会が廻り始める。


人間はまた息をこらえ、息を止めてそのスピードの中に身を置く。

普段から息をこらえていると、次第に呼吸は浅くなる。胸式呼吸が常となり、急に腹式呼吸をやって、と言われてもできないのだ。

息を変えろというのは、別の生き物になれ、ということ。それくらいの違いがある。


浅い呼吸でいると重心がだんだん上昇してくる。重心の位置が変わる。重心が上に上がって、少しでも自分の持っているスピードを上げようとするのだ。俗にいう仕事ができる人と言われている人に多い。

重心が上に上がっている状況というのは自律神経における交感神経が優位なパターンに多い。

これも言い切るのが難しいのだけれど、いろいろなものに追い立てられるようにあわてて、スピード重視で対応している人は交感神経優位なパターンの人が多い。

そして、重心の位置が腰椎の1番あたりにまで上がっている。

だいたい重心は腰椎3番あたりと言われているから、けっこう上にある。上にあっていい人もいるが、上にあったらいけない人もいる。

頭による情報処理速度が重視される社会では、そこに存在する多くの人が息をこらえ、重心を高くして生きている。

そうなると、息が深くならないから、息苦しい社会になるのは当然だ。日本は何で息苦しいんだろう?みんなの息が浅いから。そういった速度を社会が求めているから。

100M走をする人とマラソンをする人の呼吸の違いは何だろう?

100M走のような社会でゆっくり息をしている暇はない。ゆっくりしていたら置いていかれる。いったん置いていかれたらたいへんだ。その一息が相手との絶対的な差として現れる。


そんなスピードの中で一生懸命バランスをとっているんだから、みぞおちが硬くならないはずがない。

みぞおちが硬くなる。これが行き過ぎたら心臓の異常となる。行き過ぎる前だと肩が凝る程度なものだ。

これから経済が動き出す。身体の変化にもどうか目を向けていただきたいと思っています。



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