同級生の死

私が大学生の頃、高校の時の同級生が
亡くなった。

ある夏の終わり。

台風が近づいてきていて、海に波を見に行った
らしい。

男の子達、3人。

サーフィン仲間だった。

1人は小学校からの同級生のホシダくん。
高校ではバレー部。

女の子達から人気があって、
私も小学生の頃は好きだった。

後の2人は、高3の時に理系クラスで一緒だった。

オオモトくんとシュウちゃん。

シュウちゃんは、クラスのムードメーカー。
いつも明るかったな。

亡くなったのは、オオモトくん。

病気か何かで1年留年していて、
ちょっと悪い感じの大人びた人だった。

３人で、サーフィンの波を見に行った時

気が付いた。

小さい子が海で溺れていた。

オオモトくんがまず飛び込んで、その子を
助けた。

次にシュウちゃんにリレーした。

子供を受け取った、シュウちゃん。
ホシダくんにリレーした。

そしてオオモトくんの方を見た。

シュウちゃんは、
オオモトくんが波に呑み込まれていくのを見た、

どうしようもなかった。

自分自身が溺れないように必死だった。

2人がやっとの思いで、海岸に辿り着いた時には、

子供はどこかに行ってしまっていた。

シュウちゃんは、
俺が子供を受け取った時、
彼の手を離さなかったら、
子供と一緒に彼の手も掴んでいたら
と声をあげて泣いた。

ホシダくんも、俺が一番先に行ってたら、
と自分を責めた。
一番泳ぎが達者だった。

2人とも、しばらく立ち直れず
悲しんで、自分を責めて、廃人みたいだった。

助けた子の親に名乗り出て欲しいと
新聞広告を出したが、反応はなかった。

オオモトくんのお母さんは
せめてどんな子を助けたのか、
一目会いたいと願って出した記事だったのに。

以上がオオモトくんを大好きだった
同級生の女の子が、語ってくれた一部始終。

思い出す度に
３人の同級生は、どうすればよかったんだろう。
と思う。

あれからもう、40年近くたった。

皆どうしているだろう。

今日はここまで。
ありがとうございました。