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『ゆとりですがなにか インターナショナル』~役者たちが楽しいドタバタ・ホームコメディ

(C)2023「ゆとりですがなにか」製作委員会

2019年の日テレドラマの映画化。宮藤官九郎脚本、水田伸生演出という同じ座組、同じメインキャストが再び集結。「野心も競争意識も協調性もない」と揶揄(やゆ)されてきた「ゆとり世代」の男たちを描いたドラマで、岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀たちのキャラクターと役者たちの面白さをクドカンの脚本が引き出していて面白かった。今回も楽しそうな映画に仕上がっているような気がしたので観に行った。

「ゆとり世代」の彼らも三十代半ば。夫婦仲も家業の酒屋もうまくいかない坂間正和(岡田将生)、いまだに童貞というのはさすがに無理がある設定だと感じてしまった小学校教師・山路一豊(松坂桃李)、中国での事業に失敗して帰国したフリーターの道上まりぶ(柳楽優弥)。それぞれのどん詰まり具合を描きつつ、働き方改革、コンプライアンスなどで時代の空気が窮屈になっていく感じや、テレワークに多様性、グローバル化など、めまぐるしい変化に対応しきれない戸惑いなどが面白おかしく描かれている。特に坂間家の日常を隠し撮りして、中国へネット配信してしまういい加減な感じの柳楽優弥がなかなかいい。さらに岡田将生の鬼嫁の安藤サクラも余裕のない子育て奮闘ぶりを好演。焼き鳥屋が韓国の焼き肉屋に代わり、その韓国人社長を演じた木南晴夏も笑える。吉田鋼太郎は、こういうコミカルな役だと面白かったテレビドラマ『おいハンサム!! 』(2022年/東海テレビ×日本映画放送共同製作/山口雅俊 脚本・演出)を思い出す。

いずれにせよ肩の力を抜いて楽しめるドタバタコメディだ。古き良きドタバタなテレビホームドラマも思い出す。外国人も多く住むようになってきた多様な人びとの自由な集まりを肯定できるような寛容な社会への希求もチラッと感じられる。続編も作られるようだ。

2023年製作/116分/G/日本
配給:東宝

監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
製作:澤桂一 松本達夫 市川南 宮本典博 藤本鈴子 加藤幸二郎
エグゼクティブプロデューサー:飯沼伸之 田中宏史
プロデューサー:藤村直人 仲野尚之
撮影:中山光一
照明:市川徳充
美術:内田哲也
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
編集:和田剛
音楽:平野義久
主題歌:感覚ピエロ
キャスト:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀、中田喜子、吉田鋼太郎、吉岡里帆、島崎遥香、木南晴夏、上白石萌歌、手塚とおる、高橋洋、青木さやか、佐津川愛美、矢本悠馬、加藤諒、少路勇介、長村航希、小松和重、加藤清史郎、新谷ゆづみ、林家たま平、厚切りジェイソン、徳井優、吉原光夫、でんでん

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