両陣営による情報操作を非難する

今回のウクライナ侵攻において、両陣営による激しい情報戦が繰り広げられたことは周知の事実であるが、僕はEU諸国やアメリカやイギリスのメディアだけでなく日本においてもウクライナ側に偏った報道が多いいことを危惧している。しかし、僕が知る限り情報操作、情報の誇張、情報の捻じ曲げはロシア側、ウクライナ側双方において行われていることである。時間のある人は是非ロシアやウクライナのメディアのウェブサイトを直接見てほしい。翻訳機能などを使えば日本語で読むことも容易である。

国営メディアなどを読んでみると、20世紀とは違い現在はインターネットが発達しているからロシア側、ウクライナ側双方が直接情報の改ざんをしている形跡はない。裏で双方のハッカーによるハッキング合戦が行われており、明らかに正体が怪しいメディアや個人による偽情報が発信されているのは確かであるけれど、これは多少面識がある人ならば見抜くことが容易である。現在は戦争という緊急事態である。根拠に乏しい情報が即座に双方から飛び交うことはある程度仕方のないことではあるけれど、ウクライナの国営メディアとロシアの国営メディアの情報が食い違っている例がしばしばみられた。特に戦闘に関する部分で。

また、双方の意図による激しいプロパガンダ合戦が行われているのがみてとれた。論調の違い程度ならばある程度容認できるけれども、明らかな情報の誇張や縮小、捻じ曲げが行われている。日本の公共メディアは比較的正しい情報を伝えているけれど、それはNHKにとって正しい情報を伝えることがブランド価値の向上につながるからである。NHKには企業のスポンサーも付いていなくて、日本において資本主義の原理から最も遠いい場所にいるメディアである。冷静に事実を伝える役目を果たす余裕があるのだろう。

しかし、日本メディア全体を見てみると明らかにウクライナや西欧諸国やアメリカやNATO側に偏った報道をしているのが見て取れる。根拠は何であろうか。彼らのスポンサーが西欧諸国やアメリカ寄りの企業だからであろうか。日本政府の立場が西欧諸国やアメリカ側だからであろうか。または、明らかに西欧諸国やアメリカ側の情報を多く浴びている記者の条件反射的なものなのだろうか。つまるところ、ウクライナや西欧側についていた方が彼らの利益になるからであろう。金が儲かるからであり、身の安全や立ち位置の保証につながるからである。そこには、剝き出しのエゴイズムが渦を巻いている。

僕はこの戦争は非常に多くの側面を持った戦争であると思う。結果として全面戦争という事態になってしまったことは双方にとって残念なことである。ウクライナが地政学的に非常に重要な場所であることは間違いがなく、ロシア側、NATO側双方がその場所を非常に欲しがっていることは間違いがない事実であろう。東欧諸国の多くがNATOに加入した、今、ロシア側にとってウクライナは最後の防衛ラインだ。また、NATOにとっては緊張の緩衝地帯であり双方ともに手放せない場所であることがわかる。

このような言葉はなるべく使いたくないのだが、かつてのナチスドイツによるプロパガンダ、太平洋戦争末期の日本における大本営発表を知っている人は多いいと思う。過去においていかに多くの情報が改ざんされ、操作され、支配者や体制にとって都合のいいように捻じ曲げられ、メディアもそれに乗じてきたか。歴史で学んだことを思い出して欲しい。

これは、戦争であり非情な殺し合い、殲滅のさせ合いである。今回の戦争においては、どちらにも絶対的に正しい道理は見当たらない気がする。

双方国営メディアによる情報操作について告発する記事を僕は、今、書いたけれど、各メディアには是非「事実を正しく伝える」というメディア本来の役割を忘れないでもらいたいものだ。

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