Re : start


見慣れない番号


人生で最高の恋愛をした。

死ぬ直前に思い出す相手の顔って
誰かと問われたら


間違いなく、彼女だ。

振り返る度にお互いに笑い合った記憶で溢れてる
そんな3年半を共に過ごしてもらった相手。



彼女の笑顔を見ることを無くなってもう丸二年を迎えるのか。


やっとこさ「メンタル」が安定してきた2023年の暮れに近い11月。


っとその前に忘れもしない9月28日。


職場の上司二人にに呼び出され


【解雇通告】

まっ、厳密には
社長から僕に「うん」と言わせろって事だったんだと思う。

「会社都合退社」を「自己都合退社」に体良く変える為にギリギリ1ヶ月と2日前に呼び出し

無理矢理納得させると言った手法だった。



入社して分かったことだが

嘘で塗り硬められた会社で



最後の最後でさえ

そんな終わり方を求められた。




そんな会社だから

別に1ミリの未練も後悔もない。

なので後々面倒くさいことにしたくなくて
受け入れた。


勿論生活が激変するのは想像に難くなく。

収入も激減するのも分かっていた。
でも来月で退社しろと言われて

頭を下げてまで年明け2月いっぱいまで在籍させてくれとは言えなかった。



数ヶ月居心地悪い中で過ごす程の会社ではない。

そもそも居心地の良い会社なら辞めることもない。


2月いっぱいと言ったのは
3月から正社員として
新しく迎えてくれる会社がすでに決まっていたからだ。


予定より少し早く新しい会社に
アルバイトとして働きだした。


そんなモヤモヤの中ので生活をして 


新しい環境でのストレスと楽しい刺激に忙殺され



迎えた11月中旬の事だった。




登録されていない番号から電話が鳴った。



直感でどうせいつもの不動産投資だろうと思った。

普段なら登録されていない番号なんて出ない。
この時家の駐車場まで50mのとこだった。


たまたま電車ではなく
車で通勤したそんな日。


出て一言、二度とかけてくるなと
言ってやろうと何となく出てみた。





僕「もしもし?」

相手「…(無言)」



ガチャ

切れた。


出て切られたことに無性にイライラして
掛け直して説教してやろうと思った。





プルルル…

相手「はい?」


相手が出た。
女性の声だ。


僕「もしもし?今掛かってきて、出たら切られたんですけど?」

相手「◯◯(僕の苗字)さんですか?」

僕「はい」


相手「〇〇〇〇(僕のフルネーム)さんですか?」


僕「はい」


すごくゆっくりな話ぶりにイライラした。
しかもこちらの名前を知っている様子。

不動産投資の営業だと思っているのでめちゃくちゃ冷たい対応。
相手がこちらの情報だけ知ってるのって気持ちよくない。


相手「〇〇(相手の名前)です、〇〇〇〇(相手のフルネーム)です」


聞き覚えのあるその名前に

一瞬、ほんの数秒だが言葉を失った。
2度話すことはないと思っていた相手からだった。




ましてやこちらは名乗られるまで不動産投資だと思っているので
軽いパニックだ。


いっその事冷たくあしらって切ってしまおうか?
いやいや、電話をかけて来た勇気を認めてあげなきゃ。

そんな葛藤が頭を巡ったように思う。



彼女の声を聞いてすぐに
人生で一番幸せな3年半が蘇った


強がらずに話さなきゃって
ストンと心が納得した瞬間だった。

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