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たぶん、夢の話

我ながら、わかりやすい人間だと思う。

この日はどう?と言われた日に
予定が入っていても、
いいですよ〜と承諾してしまうし、

最近本を読むんだよね、
と聞けば、
次の日には本屋に駆け込んでいる。


ああ、恋してるんだな、と思う。

プレイリストに積み重なる曲が、
いつのまにか恋愛ソングばかりになってて、
“あの日”を思い出しては
頬が緩んで、の繰り返し。


初めてご飯を誘った時、
彼は風邪を引いたから行けない、
とひとつ席が空いた飲み会になった。


2回目のあの日は、
猛暑日にも関わらずマスクをしていた。
「風邪ですか?」
と聞くと、驚きながらも彼は頷いた。

無理してまで来なくても、
と言いながらも、
嬉しかった。
楽しみにしてたから、
と言われて、
嬉しかった。


一番効く風邪薬を選んであげた。
おすすめののど飴も教えてあげた。


風邪は引いてたけど、
たくさん笑ってくれた。
心から笑ってくれてたらいいなと思った。


帰り道、
彼が途中で乗り換えるのが淋しくて、
1秒でも話をしてたくて、
同じ駅で乗り換えた。

電車を降りてからも、
淋しくて、
しばらく話をしてた。

淋しかったけど、
風邪なのにありがとうございました、
と手を振った。
彼の目には、私はどう映っていたのだろうか。



乗り換えた電車に、ひとり。

淋しさを抱えたまま揺られていると、
通知がなった。


彼が元気になるなら、
風邪を移されたってへっちゃらだし、
むしろその方がいいのに、とさえ思った。


「本当に楽しかったから、風邪拗らせてでも行ってよかった」
なんて、信じていいのかな。


「私といたら、
これからの人生100倍楽しくなりますよ?」



なんて、言えたらいいのにな。

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