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初恋が泣いている

あいみょん、新曲出したね。

MVを観ようと思ってYouTubeに飛んだ。



画面の中で、
あいみょんが泣いていた。
ビールを片手に泣いていた。
焼肉屋で泣いていた。
大盛りのご飯を食べて泣いていた。
ひとりで泣いていた。



率直な感想は、
美しいだった。


まず私は、
まだビールを片手に泣いたことなんてないし、
ひとりで焼肉屋に行ったこともない。
恋愛で泣いたことなんてたぶん片手で数えられるほどしかない。
だからそんな恋愛における悲しみを、
ひとり焼肉をして、ビールで流し込みながら噛み締めることが、
私には美しくて尊くて羨ましくて守りたいものに見えた。

初恋を、
涙が溢れるほど本気ですればよかったと思った。



私は、
恋する自分に恥じらいを抱いてしまう。
だから小学校ではじめて両想いになった彼とは、
片想いが実って嬉しかったはずなのに、
恥ずかしくて、
彼の告白をすぐに返事ができなかった。
彼とは目を見て話すことはできなかった。
すごく、好きだったけど、
二人きりで遊ぶことも、
二人きりの写真もなかった。
2年間も両想いでいたけれど、
中身のない2年間になってしまった。

だから、
同じ中学校に上がって、
自然消滅して、
彼に1つ年上の彼女ができたと聞いた時は、
ひと匙も涙は出なかった。
「彼氏」「彼女」の名前が付かなくても、
そこらの恋人同士と同じくらい、
お互いのことは想っていたと信じたい。
だって、
付き合う前にはお互い同じ友達に相談していて、
彼女からは青い話をたくさん聞いていたし。
両想いになるまでたくさんの時間をかけていたし。
ちゃんと、好きだった。
恋人とは言えなかったけど、恥ずかしくて。


初恋で泣きたかった。
素直に、悲しいとか、悔しいとか、むかつくとか、
そういう感情をぶつけたかった。
もったいないことをした。


そんな弱い私は、
大人になって、
まともに恋愛などしておりません。
恋愛で泣いたのなんて、
去年の秋からないです。

だから、
大学卒業するまでに、
社会人になるまでに、
恋をして、
涙をビールで流し込む「大人の美しさ」を経験したい。
失恋をしたいわけじゃないけど、
それだけは経験させてほしい。


泥臭くて美しい大人な恋がしたいなあ。

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