見出し画像

13.娘のこと

夫の退院後、子どもたちのケアに気を配りました。

きょうだい児のケア

特に、小さい頃から自我が強いわりに繊細だった当時小学2年生だった娘。心のケアが必要そうでした。

夏の終わりにふと気づくと、円形脱毛症になっていました。

娘には余計な心配をさせたくなく、こっそり3人で受診していましたが、学校でも担任の先生が突然いなくなってしまったり、何か感じるストレスはかなりあったのだと思います。

いろいろ考えて、娘には状況を正直に話すことにしました。

あまり勉強も見てやれなかったので、九九を覚えるのにも苦労していた娘ですが、常染色体優性遺伝について話すと、ちゃんと理解できたようでした。

「弟の子どもがマルファンでなかったら、終わりなんだよね。」

そうなのです。次世代にも続く心配なのです。

その後、自分はマルファン症候群ではないのか、はっきりさせたいなど、自分なりの意見をしっかり持って受け止めてくれています。

幸い「きょうだい児」という概念について、NPO法人しぶたねさんの活動で知っていたので、病気でない子どもこそ同じように、いや、それ以上に目をかけてやらないといけないと思い、その後も育てました。

強く意識しすぎたのか、それはもう、姉という意識がなくのびのびと育ち…(笑)

ある日娘が、

「ねえ、ママ!普通はお姉ちゃんって下の子のために我慢するらしいよ!」と驚いて帰ってきた際には、私の方がひっくり返りそうになりました。

自分だけ遺伝しなかったことへのサバイバーズギルドのようなものは、あるような、ないような…

その後、今に至るまで、弟がこれから背負うことに対して思いを馳せて、何度か涙ぐむ姿は見られました。

医師を志す

そして、あれほど勉強が苦手だった娘ですが、小学4年生の頃、医師になりたいと言い出しました。それは女性も経済的に自立できる資産が必要だと私を見て反面教師的に学んだ影響が大きいようです。父や弟を見て、病気を治したいという理由はほんのちょっぴり。

勉強より身体を動かす方が好きな娘のやりたがることは全て応援してきて、バレエ、能、水泳、空手、ピアノと必死で送迎してきたので、それらをやめて勉強に専念すると言われた時は、子ども時代が終わるのか...と涙が出てしまいました。習い事の送迎地獄ではあったのですが、本番に緊張しない強心臓の娘の舞台は見ていて楽しく、1番のサポーターとしての喜びでした。

医師になる道は険しく、なってからも厳しい道です。この家に生まれたからこそなりたくなってしまった職業だと思うと、申し訳ない気持ちになり、全力で応援することにしました。

元々勉強が得意ではないからこそ、いろいろ考えて、本人の希望もあって中学受験をすることにしました。私は地方出身なので、首都圏の中学受験事情にはびっくりすることも多々ありました。親のサポートの必要性も半端なく…想像以上でした。

けれども、その忙しさは、息子と夫の病気への過度の心配から目を背けさせてくれました。そうでなかったら、ノイローゼかうつ病になっていたかもしれません。夫の退院後、息子の通院先を見つけることで苦心した流れから中学受験に突入、私は数年分の疲労で本当にくたくたボロボロになり、燃え尽きることになるのですが、意志が強く、粘り強く、本番に強い娘はおかげさまで志望校に合格。中学受験ネタは、これまた豊富すぎるので割愛します。

今や心強い理解者であり味方です。やはり勉強はさほど得意ではないので、苦戦しており、医学部は厳しそうではありますが、努力は続けています。親としては、医師になってほしいような、ほしくないような…。ただ不思議なことに、娘が第一志望にしている大学、診療科からご縁をいただき、なんと私が先に勤めています。(鍼灸師としてですが)

あとはかわいいだけ

夫の退院2日後の記録には、娘の勉強の遅れについて思案する様子が書かれてしました。まさかこの子が、こんなに勉強するようになるとは…。目的意識がはっきりしていて、計画的に勉強に取り組む姿には、「パパとママの子どもとは思えないよ、えらいねえ。」と親バカながら感心するばかり。

あとはしっかりご飯と教育費を提供して、応援するだけの状況です。2歳くらいから永遠のイヤイヤ期と言われていた娘ですが、中学生になると反抗期もすっかり落ち着いてしまいました。「まさかもう1回くる?」と尋ねると「もうない」と本人も言うので、ホッとしています。

あとはもうかわいいだけ…。自分の容姿や友人関係について悩める姿すら厨二らしくて愛おしい!かわいいねえ、かわいいねえ、とハグハグしてしまいます。こんな猫を愛でるような育て方でいいのか、不安ではありますが、あとは母は働いて支えるのみです。

大好きなラグビーネタで絡めますと、医学部を目指す福岡堅樹選手にはやはり注目!

福岡選手がセブンズに専念する直前のPanasonicワイルドナイツの試合にも、娘と学校と仕事明けで夜行バスに乗って駆けつけました。よい刺激になったようで、ちょっと油断していた勉強姿勢も気合が入ったようでした。

「私もラグビーやりたい♡女子チームないのかな…」発言まで…むしろそっちの刺激かい…と。

以前は息子と行っていたラグビー観戦に、今度は娘が付き合ってくれるようになり、人気爆発のトップリーグに朝から出かけるのは楽しい冬の週末でした。

2020シーズンは中学受験も終わって晴れて全節制覇できるかと思いきや…コロナの影響で観戦できなくなり…来シーズンが待ち遠しい今日この頃です。

退院2日目の日記

(術後16日目)
久々の家族揃った週末でした。
夫と息子がテレビを見てお留守番している間に、午前中は娘の小児科+歯医者+ピアノのクリスマス会のプレゼント交換の品の買い出しに…。
まずは、鼻水が喉に流れ、ゼロゼロした咳をしているを連れて、小児科へ行きました。普段ならこれくらいなら行かないけど、娘にも鼻がつまると頼まれ、慎重になっているのもあり、やむなく…。
「そんなの早く寝てりゃ治る!」という気もするのですが、娘の自分も病気扱いされたい願望も感じました。

その後、矯正の歯医者さんへ。
クリスマスに東京バレエ団の「くるみ割り人形」が観たいと前から言っていた娘。思い切ってチケットを購入しました。誰かが風邪を引いたらチケットが無駄になってしまうので、新たなプレッシャーがかかりました。
慌てて帰宅し昼ごはん。
娘の九九に付き合い、その後スイミングの送迎。

娘のクラスは担任交代などのドタバタでまだ九九が終わっていません。
さらに娘は記憶力がトコロテン式で6の段を覚えると2の段を忘れてしまいます。
私もバタバタしていて勉強を放置してしまったので、こちらのケアも大変です。
オトナになると無意識にやっているけど、自分の頭はどうなっているのか考えると、数字にキャラ付けや色のビジュアルイメージがあって計算できる気がします。
娘は数の概念がいまひとつで、記号や呪文でしかない様子。

先日の個人面談でも、先生が1-10の数のイメージが一年生で定着していないといけないことだと話してくれました。
担任が急に来られなくなってしまった、娘のクラスを急遽担当してれることになったベテランの先生。
算数の教え方が本当にすばらしいので、その感動を伝えたら、先生も気付いてくれた⁉︎と盛り上がってしまい…特に中高を見据えた算数教育について1時間話し込んでました。

どんなクラスでも10%の子は100点が取れるそうですが、それ以外の子の学習能力は指導者の力量に依るそうです。
娘は残念ながらその10%ではないのが、私にも昨年1年を通してわかりました。

正直、娘の学力には戸惑うことばかり…あれこれ試したのですが、いい意味で諦めがつき…。
何より、夫と息子の病気のことが価値観を変えたかもしれません。
娘の場合、健康なだけでありがたい…(T_T)

それだけで可能性もたくさんあるということが素晴らしいし、学力はあるに越したことはないけど、それが幸福や安定には直結するわけではないし…。
気立てがよければ、どこでも生きていけるはず。

勉強スイッチは、本人がやる気になればいつでも入るはず…と。
好奇心旺盛で、楽しいことが大好きな娘。遊ばせてばかりです…。
「あーん、○○の脳みそ、腐ってる‼︎」
と自分で言いながら、九九を唱える姿が、笑えます。

…が、ついていけなくなると、勉強はどんどんつまらなくなってしまうのも私自身、高校、大学時代に経験済みなので、もう少し付き合わないと…。
宿題の面倒も任せていた元教員の母にも、「かなりヤバイよ…」とこっそり報告を受けており…(T_T)

今の時期は勉強より身体表現が大事で、思った通りに身体が動くようにシナプスをつなげる方が優先…と考えていたのですが、算数もできたら楽しいから体感しながら理解してほしい…。

いい先生に出会えたのだけど、娘はちんぷんかんぷんだそうで…。もったいない…。学校にお任せしたいけど、家でも、もうちょっと意識を向けてみます。