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1ページマンガ#13「釣り人知らず」

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マンガを描きました。テーマは「学び」です。

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以下、雑文。
 このマンガのテーマにもなりましたが、趣味は利便性が過ぎると面白くなるなと思いました。自主性がなくなるからだと思います。機械に任せるのは楽だけど楽しくはないです。
 生活の面倒なことは便利になるのは良いことですが、楽しむことに関してはある程度は面倒くささが必要なのだと思います。それはこだわりだったり、自分で考えて行動するからです。

 また、主に趣味の音楽について書いていますが、これを絵を描くことと繋げて考えたりしています。仕事で絵を描いていると、どうしても効率やシステム化が必要ですし、そもそも楽しむことについて分からなくなってきたりするので、趣味だと何の責任もなくただ「楽しい」か「楽しくない」かで捉えることができます。逆に音楽も作る側のことも考えて聴いたりすることになるので、良い循環になっています。

クリック音の弊害
 この前、その音楽についての面白い話を聞きました。音楽制作の過程で「クリック音に合わせて録音するのはあまり良くないのではないか」という話です。(クリック音というのは、テンポを合わせて録音するためのメトロノーム的な役割の音です)これが音楽を縛っている一つの原因かもしれないという話でした。
 クラシックやジャズでは曲の最中にテンポが変わることがよくあります。テンポが変わることでも曲全体のダイナミズムを作ることができるというのが一つ。また、楽器のパートによってテンポに対して走ったり(テンポに対して前にズレること)タメたり(逆に遅くズレる)があって、全体のグルーヴができたりするようです。
 YMOやキリンジなどは演奏者のリズムのとりかたの違いで、素晴らしいグルーヴを生み出しています。バラバラに演奏を録音すると、どうしても全体のバランスを感じれなくなり、リズムのとりかたが違うだけになってしまいます。
 これも制作が便利だからと言って、システム化してしまうことの弊害だと思います。ザ・クロマニヨンズは「なんか良い気がする」という理由で一度に録音しているようです。おそらくですが、上記のようなライブのグルーヴ感が出るからではないかと思います。
 オリジナル・ラブの田島貴男さんは、古いジャズなんかは録音機材がマイク一本とかなので、マイクの信号によるズレもなくなるため、モノラルでもすごい迫力のある音が録れている、と何かのインタビューで読んだことがあります(これもうろ覚えですが・・・)。
 利便性や数値だけでは情報の塊である全体を把握できないのです。ただ聴いていると「なんか知らないけど、こっちの方がすげぇな」と思うわけです。

蓄音器はすごい
 テレビ番組の「ヨルタモリ」でタモリさんと甲本ヒロトさんが、蓄音器とSP盤の話をしていました。タモリさんはジャズ喫茶のマスターと、初めて蓄音器(おそらくかなり状態の良い)でジャズを聴いたときに「我々は今まで(様々な技術で作られたオーディオを使ってきたが)何をしてきたんだ・・・」と二人で顔を見合わせたそうです。演奏者が何を考えながら演奏しているかがわかるくらいの音だと言っています。
 甲本ヒロトさんは別の雑誌のインタビューで「蓄音機でエルビスを聴くと、俺の中の女がキャー!!ってなる」と言っていました(笑)このような話を聞くと、どうしても聴いてみたくなります。

絵もそうなっているかも
 今の録音機材が悪いと言うのでは全くなく、どうせなら迫力のある音で聴いてみたい、楽しいなら(機材はなんでもよくて)そっちのほうがいいと思っています。SP盤はとても割れやすく、針の寿命も短いのでとっても面倒ではあるのですが、技術的にはできるのに作らないのは何かもったいない気がします。
 僕は絵に対しても以上のような事が起こっているのではないかと思っています。絵を職業にしている人間として、流される(消費される)絵だけではなく、長く楽しめる絵を描く。両方が大事なことだと思っています。

聴く側の利便性
 今度は聴く側の話です。音楽の聴き方にしても、ストリーミングが増えているのは、聴き流す人が増えているからだと思っています。流行りのLofi Hip-HopはBGMに丁度良いです。RockはうるさくてChillしたいときに聴くには向いていないと思います(曲によるだろ笑)
 ここで書きたいのは、リラックスしたり何か仕事をしながら聴き流す音楽が良いか悪いかではなく(良いに決まってる)、音楽を趣味にしたり楽しむことに関してです。音楽の楽しみ方が増たけど、自分にとって一番楽しいのはどれだろうと考える事が大事な気がします。そこで得られる経験が自分の財産だと思います。

カセットテープの今
 以前の雑文でカセットテープは音が良いと書きました。しかしポータブル・プレイヤーが悪いので外では聴かないとも書きました。しかし、色んな記事を読むと、やはり昔のポータブル・プレイヤーは音が良かったようです。需要があって競争があったのでメインで使われていた時代のものは必然的に音が良いです。今はとりあえず聴ければ良い(売れる)なので、これも必然的に音が悪いです。質を良くして値段が高くなったら誰も買わないのです。
 しかしそんなことをしてしまったら、「なんだこんなもんか」ってなもんで、カセットテープを聴かなくなってしまいます。その先の音楽の楽しい部分まで引き込んでこそなので(好きな人は呼ばなくても来るけど)これは勿体ないのですが、商売にならない限り高い中古のポータブル・プレイヤーを薦める店はないでしょう。せっかくカセットテープが見直されようとしているのに残念な感じになっています。

雑文でしたが
 絵をずっと描いていると、楽しいとかよりも「仕事だから」とか「描かなければいけない気がする」とかになってしまって、楽しみ方を忘れてしまいがちなのですが、楽しめる趣味があれば「そうだよな」とちょっと離れて見る事ができて良いのです。ただし、お金と時間がかかるので、それを絵の方に回せたらとも思います(笑)以上。

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