【一般向け】肩板断裂と言われたら日常生活はどうしたらいい?【作業療法士が解説】

この記事では、作業療法士のわたしが、
肩の痛みに対する日常生活の過ごし方や注意点を解説します。

結論から言うと、
①痛みの出る動作を避ける
②痛い動きは反対の手で補う
③肩以外の関節が固まらないようにする

この3つを守りながら日常生活を過ごすことが大切です。

記事の信頼性:この記事は作業療法士(医療系国家資格)が書いています。

肩が痛い、挙がらない。その症状、腱板断裂かも。

一般的に肩の痛みといえば、
「40肩」「50肩」を思い浮かべる人が多いと思います。

日常生活で肩の痛みがあり、動かせる範囲が狭くなり、
頭を洗うことや、背中を洗うことが難しくなります。

「40肩」や「50肩」以外にも、
肩の痛み(特に夜間就寝時の痛み)や
動かしにくさの原因になる病気があります。

それが『腱板断裂』です。

『腱板断裂』とは、
腕の骨(上腕骨)と肩の骨(肩甲骨)を
つなぐ腱が切れてしまった状態です。

切れ方にも程度があり、
傷ついているだけの場合もあれば、
完全に断裂してしまっている場合もあります。

必ずしも痛みが出るわけではありません。
しかし、夜間痛が出現し受診する人も多いです。
動かしづらいだけの人もいます。

腱板断裂、治療法は?

大きく分けて『手術する』と『手術しない』があります。

『手術する』場合は、手術内容によって
して良い動き、したらダメな動きがあるので
担当医や療法士に確認することが大切です。
目安として3ヶ月程度のリハビリテーションが必要になります。

『手術しない』場合、どうするのか。
まずは、肩を安静にする必要があります。

明らかな原因(こけた時から痛い、重たいものを持った時から痛い)が
ある場合は、三角巾などで2週間程度安静に保ちます。

医師ができることとしては注射。
理学療法士や作業療法士ができることには、
運動療法と日常生活指導があります。

患者さん本人ができることには、
以下の3つがあります。
①痛みの出る動作を避ける
②痛い動きは反対の手で補う
③肩以外の関節が固まらないようにする

①と②は言い替えれば、『肩を安静にする』ことです。
③は肩以外の関節を動かすということなのですが、
安静にしろと言ったり、動かせと言ったりややこしいですよね。

少し詳しく解説します。

肩を安静にする

肩の安静と肩以外の関節を動かすことが大切という話をしました。

まず、なぜ安静にする必要があるのかをお話します。

腱板断裂で肩が痛い原因は、
肩に炎症が起こっている、
日常生活で負担がかかっている。
この2点があります。

どちらも、肩を安静にして休ませる必要がある状態です。

具体的な日常生活の注意点を紹介します。

基本的には、痛みがある方の手で、
手をついたり、重たいものを持たない。
といったところです。

ですが、困ったことにそれだけではありません。
着替えや、お風呂、食事などさまざまな場面で腕を使います。
痛いてが利き手ならなおさら困りますよね。

着替えでは、着るときは痛い方を最初に通し
脱ぐときは痛い方を最後に脱ぐ。

食事では、痛いときは反対の手で食べる。
痛いときはお茶碗も持たない。
スプーンやフォークを使う。

お風呂では、痛い方の手で頭を洗ったり、背中を洗ったりといった
負担がかかる動作は避ける。

このような工夫が必要になってきます。

肩以外を動かす

次に、肩以外の関節を動かすということについてお話します。

肩を安静にしていると、そちら側の腕は動かさなくなります。
例えば、右肩が痛いとしましょう。
「右肩を安静にしてください」と言われると、
問題のない肘や手、肩甲骨まで動かさなくなります。

動かさない状態が続くと、
健康な関節や筋肉まで固くなってしまいます。

そうすると、肩の痛みが取れて動かそうとした時に
「他のところまで固くなってしまった。」
ということが起こりかねません。

肩以外の関節が固くならないようにする。
とても重要なことはなんとなく伝わりました?

自分でできる運動の例を紹介しておきます。

①肩甲骨の運動
 胸を張るようにして肩甲骨を背骨に近づけるように内側へ寄せます。
 この時、腕は開かずに肩甲骨だけを動かすように注意してください。
 *痛みが出る場合は無理しない。

②肘の曲げ伸ばし
 肘を1番曲がるところまで曲げて、1番伸びるところまで伸ばす。
 この時、肩が動かないように肘だけを動かします。
 反対の手で肩と肘の間を胴体の方へ固定するとやりやすいです。

③手首のストレッチ
 反対の手を使って
 指を伸ばした状態で手首を反らします。
 反対に、指を曲げた状態で手首を曲げます。

④指の運動
 指をグーパーしたり、指の間を開いたり閉じたりします。

まとめ

肩が痛い時の日常生活の過ごし方を解説しました。
①痛みの出る動作を避ける
②痛い動きは反対の手で補う
③肩以外の関節が固まらないようにする

この3つを守りながら日常生活を過ごすことが大切です。

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