映像制作会社の思い出 おねえの照明技術さん

TV番組やスタジオ収録の際に、カメラマンさん、音声さん、照明さん。この技術集団3柱が必要となる。さて、どんな人間がやっているかと言うと、、、技術会社にもよるかもしれないけれど、TV撮影の専門家は年齢が高く、若くて30代、うじゃっと多いのは40代から50代の男性たちだ(内、女性技術さんは2割くらい)

私がよく一緒にTVロケに出ていた照明技術屋さんのおじさんたちは、おねえぽい人達が多かった。返事は『は〜い!』と高い声で、スタッフの名前に『XXXちゃん』とちゃん付けしたがる。妖婦のような穏やかなしゃべり方で、現場が押してしまい撮影が深夜を回っても、同じテンションで柔らかくいる。ちょっと間違えても絶対に怒らない!ロケ弁当を食す時間が遅くなっても態度が悪くならない!いま思うと、過酷な状況でロケしても文句言わないなんて天使のよう!!天使と言えば、年齢は50代〜60代くらいで、見た目も女方歌舞伎役者の坂東玉三郎のような雰囲気。TVの技術さんって肉体労働系のオラオラおっさんが多い中、ちょっと不思議なおじいちゃん集団だった。同僚からは『あそこの会社、シルバー人材センターなの!?』とつっこまれていた。

撮影現場は、いつもピリピリと緊張の連続。撮影準備の順番は、照明→撮影(カメラテスト)→キャストをいれて、ディレクターが演出と言う形なので、一番最初に準備する照明さんはスタッフ全員から『早くしてほしい』というまなざしで、時間を急かされる立場。新人AD時代に、おねえ照明会社さんを知らず、局から紹介された照明会社と働いた時、日本軍人のようなおじさん集団が『おらー!どけやー』とか『はやくセンチュリーもってこい!!!ゴラー!!』と叫び、アシスタントがミスすると『てめーふざけんな!!ゴラー!』と罵倒が飛んでいた。お弁当が遅れると『この現場はまともにメシねえんかい!!』とキレられた。まさにヤクザ、オラオラの世界。精神的に疲れてしまった。ちなみにそのロケは、こどものキャストを入れての撮影だったので、現場に入る前の荒れた模様を見て子役が怯えて固まっていたのを覚えている。

きっと、おねえの照明屋さんは、そんな現場の空気を踏まえて全てにものごし柔らかく、現場が進みやすいように自分たちのキャラクターを演出していたのかもしれない。

でも、あるロケで『いっくわよ〜』と言って、照明をセッティングしていた時は、キャストの女子たちがドン引きしていた(笑)

素敵な技術のおじいちゃんたち、また仕事できたらいいな。