見出し画像

#98 こども×経済学

経済学は、わたしたちを取り巻く経済の仕組みや,様々な経済活動の仕組みを研究す る学問です。

経済」という言葉は、明治以降に日本で生まれた、つくられた言葉です。それまで経済という言葉はありませんでした。明治維新で日本が鎖国を解くと、海外からいろいろな言葉が入ってきましたが、「エコノミー」という言葉もこのとき入ってきて、これを何と訳そうかということになりました。
いろいろ考えた結果、中国に「経世済民」という言葉がある、じゃあこれを使おうかということになりました。
経世というのは「世を治める」の意味です。「済民」は「民を救う」という意味です。世を治め民を救う、この4文字の言葉から「エコノミー」は「経済」と訳したらどうかということになり、そのまま経済という言葉として定着しました。

経済学とは、そもそも何のための学問なのだろうか?
著者が解説~池上彰氏(1)

そのため、経済学は社会のさまざまな分野に顔を出します。

身近なところでいえばミクロ経済学があり、私たち消費者や家計がどのような消費行動をとるのか、また生産や雇用など企業がどのような行動をとるのか、細かいメカニズムや法則性を見つけて分析します。

そんな経済学ですが、子どもをどのように育てるのがよいかについても、論じられています。

例えば、こどもに「勉強をしなさい」という発言の効果はどの程度あるのかや、「ゲームばかりしていないで勉強しない」と叱る親の労力に対してどれほどの効果があるかなど、一見社会的に当たり前に行われている行動について実際にデータをとり結果を見ることにより、投資の効果を高めより良い結果を生み出すために貢献しています。

昨今、どの分野においても科学的根拠を社会は求めるようになりました。

エビデンスはあるのか!」などと、相手を口論で追い詰める時にも使われています。科学的根拠とは、つまりは再現性のある結果を生みだすための仕組みであり、そこに因果関係があるということになります。

因果関係とは、「Aという原因によってBという結果が生じた」ということです。また、因果関係と似ている言葉で相関関係というものもあります。

こちらは、「AとBが同時に起こっている」ということです。

重要なことは、相関関係とは、2つの出来事のうちどちらかが「原因」で、どちらかが「結果」であることを明らかにするものではありません

例えば、読書をする子は学力が高くなるといわれていますが、これは因果関係ではなくどちらかといえば相関関係の方が強い。

しかし社会的には、親は子に本を買い与えれば学力が高くなるだろうと考え、闇雲に本を買い与える人がいます。

直接的に読書することが学力を向上させる効果は薄いにもかかわらず、一度そのようなことがメディアで取りだたされると、あたかもそこには相関関係があり、そうすることによって簡単に望む結果が得られると人は錯覚するのです。

過去にもリビング学習で子どもの学力は上がると紹介され、大手住宅メーカーはリビング学習に適した間取りを取り入れた住宅を販売していました。

読書の効果とリビング学習の効果を生み出すためには大前提として、学習する子どもの家庭内環境が必要です。

経済学者が統計(実験)をとってみると、学力の高い子どもは読書を好んでしていたことや、勉強机で勉強せずリビングで勉強している子が多かったようです。

そのような結果の特徴的傾向に注目し公表された事実を、第三者がその一部を歪曲させ相関関係のように報道し錯覚させ、流布されたものを鵜呑みする別の第三者がそれを信じ実行するというフローができあがるのでしょう。

このことからわかることは、巷に溢れている主観的成功論などのマニュアルにさほど効果はなく一断片的でしかないといえるでしょう。

では、科学的根拠に基ずく教育ではどのような行為に有意性があるといっているのでしょうか。

まず「お金と子どもの関係性」についてですが、子どもの学力を上げるインセンティブを与えるために報酬を与えるやり方がありますが、これについてお金を与える行為そのものは投資効果はあるといわれています。

インセンティブ:動機付け

経済学には「教育の収益率」という概念があり、「1年間追加で教育をうけたことによって、その子どもの将来の収入がどれくらい高くなるか」を数字で表すそうです。

そして、教育投資への収益率は、株や債券などの金融資産への投資などに比べも高いことが、研究で示されています。

以前、マシュマロテスト(Wbasic)でお話しした通り、子どものみならず人間はには目先の利益が大きく見えてしまう性質があります。

遠くの未来のことなら冷静に考えより良い選択ができても、近い未来になると、たとえそれが小さい利益だしても、すぐに得られる満足を選択しやすいのです。

例えば、来年のお正月に渡すお年玉5000円を1月1日ではなく1月8日の一週間後まで待てば5000円を6000円にしてあげると言われれば、多くの子どもは一週間後の6000円を選択します。(どちらも今もらえるものではないため)

しかし、今あげる5000円を一週間待ってくれれば6000円にしてあげると言われても「一週間我慢するくらいなら5000円を今貰う」と多くの子どもは言います。

当然、そうではない子もいると思います。「僕は一週間待つよ」といって我慢して一週間後に6000円をもらうでしょう。

このような子は、マシュマロテストのときにマシュマロを食べずに待っていられる子です。

つまり自己管理能力が高い子どもで、のちの人生を上手に設計できるわけです。


つづく


参考文献「学力の経済学 中室牧子著」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

Hama-Houseさん画像を使用させていただきました。

毎週金曜日に1話ずつ記事を書き続けていきますのでよろしくお願いします。
no.98 2021.12.24






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?